2H

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作品情報

日本劇場公開日 2000年11月25日
製作国 日本

新着感想・ネタバレ

changpianの感想・評価
 日本製DVDで鑑賞。『靖国 YASUKUNI』で話題になった李纓監督のデビュー作。モノクロ映像によるドキュメンタリー映画の形式を取りながら、実は非ドキュメンタリーの部分も織り交ざる構成。この映画で焦点化されるのは100歳近い老人の馬晋三(馬崇六)。雲南省大理出身で雲南講武堂・日本の陸軍士官学校で学び、北伐戦争以来軍人として功を遂げる。日中戦争時は雲南・ビルマ方面で活躍し、戦後は汪兆銘の墓を爆破するなどした伝説的人物であり、香港を経て日本に渡った後は書道を教えるなどしていたらしい。
 この伝説的人物は、東京の片隅で、一人で死を迎えようとしていた。過去の栄光とは打って変わった零落の日々。お手伝いとしてやってくる女性たちにも癇癪を起こす。日本人の知り合いもいるらしく、近況を尋ねる電話がかかってきたりするが、流暢な日本語で応対する。ヘルパーの女性たちも、中国語の中に時折日本語が混ざったりして、言語の面でも彼らのディアスポラ性が浮き彫りになる。かいま見える過去の栄光と孤独。そして香港返還などのニュースなどへの態度から見て取れる、祖国への諦念。そして迎える死。達筆な遺書。
 20世紀中国の激動の歷史を生きた老人。過去を饒舌に語るわけではない。むしろ、零落の日々を送るだけである。しかし、その姿と過去の栄光とのギャップが心を打つ。そして、いつしか日本と中国の歷史や現状について考えさせられるのである。
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