ルック・オブ・サイレンス

ルック・オブ・サイレンス

作品情報

原題 The Look of Silence
製作年 2014年
日本劇場公開日 2015年7月4日
製作国 デンマーク・フィンランド・インドネシア・
上映時間 103分

あらすじ

虐殺で兄が殺害された後、その弟として誕生した青年アディ。彼の老いた母は、加害者たちが今も権力者として同じ村に暮らしているため、半世紀もの間、亡き我が子への想いを胸の奥に封じ込め、アディにも多くを語らずにいた。2003年、アディはジョシュア・オッペンハイマー監督が撮影した、加害者たちへのインタビュー映像を目にし、彼らが兄を殺した様子を誇らしげに語るさまに、強い衝撃を受ける。 「殺された兄や、今も怯えながら暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい―――」 そう願い続けたアディは、2012年に監督に再会すると、自ら加害者のもとを訪れることを提案。しかし、今も権力者である加害者たちに、被害者家族が正面から対峙することはあまりに危険だ。眼鏡技師として働くアディは、加害者たちに「無料の視力検査」を行いながら、徐々にその罪に迫る。加害者たちの言葉から浮かび上がるのは、“責任なき悪”のメカニズム。さらには、母も知らなかった事実が明らかにされてゆくのだった。半世紀もの間、恐怖によって“沈黙”を強いられてきた被害者たちの想いが、いま溢れ出す…。 『アクト・オブ・キリング』が加害者に密着し、彼らの内面に寄り添うことで“悪の正体”に迫った一方、『ルック・オブ・サイレンス』は被害者側から加害者の姿を見つめることで、被害者にとって、恐怖が日常生活のすぐ近くにあることを強く印象付ける。兄を、息子を殺した加害者は、今も同じ村の権力者であり、知人であり、時にはごく近い親戚でもある。あまりに身近な恐怖のために、被害者たちが沈黙を強いられ続けている様子が、アディや母、家族たちの葛藤を通して浮き彫りにされていく。そしてもう一つ、アディが目の当たりにしたのは、加害者の誰もが、虐殺を自分の責任とは捉えていないという事実。長い沈黙を破り、加害者と対峙したアディの勇気によって、殺人の実行者たちが、責任を感じることなく大罪を犯し得る心理的メカニズムが浮かび上がってくる。

新着感想・ネタバレ

hima_takeの感想・評価
s_p_n_minacoの感想・評価
続けて観た『アクト・オブ・キリング』続編は、犠牲者遺族の視点で対をなしていた。先に「雄弁な虐殺」があるせいで、言葉以上に広がりを持つ「沈黙の眼差し」。検眼メガネがまるで真実を見よ、と迫るかのよう。同じく加害者が悪びれなく再現する映像も交え、次世代である犠牲者の弟が虐殺に関わった者たちと対面していく。そうしてより上の権力者(といっても町議員レベル)や身内の加担者まで、前回以上に深く核心を突くことになる。そこに伴うリスクがまず心配されるが、観る側としてはインタビュウする弟自身の知性が救い。何とか覆い隠していたかさぶたが剥がされ、カメラの前で明らかに動揺を見せる様子がお互いに残酷だ。事実に狼狽しつつ反射的に言い訳を並べてしまう家族の反応や、何より人々の分断がいたたまれない。自分だけ教育の嘘を知ってしまった子供は今後どうなるんだろう…。
Junichi__Nakamuraの感想・評価
ciatrをフォロー: