パリ3区の遺産相続人

パリ3区の遺産相続人

作品情報

原題 My Old Lady
製作年 2014年
日本劇場公開日 2015年11月14日
製作国 イギリス・フランス・アメリカ
上映時間 107分

あらすじ

パリの3区と4区にまたがるマレ地区。マティアス・ゴールド(ケヴィン・クライン)は疎遠だった父親が亡くなり、相続した遺産のアパルトマンを調べにニューヨークからこの街にやって来た。離婚3回、子どもはなく、持ち家を処分しても借金だけが残った彼にとって負け犬人生をリセットできるチャンスかもしれないのだ。アパルトマンは部屋数が多く、しかも庭付きとわかり、高く売れそうだと期待するが、誰もいないはずのアパルトマンには、イギリス生まれの老婦人マティルド・ジラール(マギー・スミス)が住んでいた。驚いたことにフランス伝統の不動産売買制度「ヴィアジェ」によって、元の所有者であるマティルドが亡くなるまで売却できない上、毎月2,400ユーロを年金のように支払い続けなければならないという。憎んでいた父親から相続したのは負債だとわかり、最後にまたしても裏切られたと怒りがこみあげるマティアスだったが、持ち金もなくニューヨークにも帰れず、仕方なくマティルドに部屋を借りることにする。夜になると仕事から帰って来たマティルドの娘クロエ(クリスティン・スコット・トーマス)と鉢合わせし、月末までにお金を支払わなければ不法侵入で訴えると脅される始末だ。クロエは、母親が亡くなったらアパルトマンが売られ、自分は住む家を失うと不安に駆られていたのだった。 マティアスは、アパルトマンをヴィアジェ込みで買い取りたいと申し出ているビジネスマンのフランソワ・ロワと会って交渉するが、クロエはロワがいずれはアパルトマンを取り壊して、地域に近代的なホテル建設を考えているのだと反対し、家族の歴史を残したいと言う。 一方、マティアスは少しでもお金を稼ごうと部屋の中から売れそうな家具を探しているうちに、ある写真を見つける。そこに写っていたのは、マティアスの父親とマティルドだった。写真には「あなたに愛されないなら、誰の愛もいらない」と書かれていた。 写真を突きつけられたマティルドは、「あなたのお父様と愛し合っていたわ」と告白する。長年の父の裏切りを知りショックを受けたマティアスは部屋を飛び出し、大荒れのひと晩を過ごして部屋に戻ると、クロエに母親が目の前で自殺したことを明かすのだった。クロエも母親が別の男性を愛していることに10才で気づき、ずっと傷ついてきたが、英語学校で教えている妻子持ちの男と不倫関係を続けてきたことで、自分も母親と同類だとジレンマを感じていた。それぞれが抱えて来た心の痛みに共感し合い、二人はその夜結ばれる。一方マティルドは、病死だと聞かされていたマティアスの母親の死の理由を初めて知り、マティアスとクロエの行く末に思いを巡らすのだった。 アパルトマンの売買契約を交わす期限が近づいてきた。マティアスの決断は? そしてクロエとの恋の行方は?

新着感想・ネタバレ

HMworldtravellerの感想・評価
パリ3区。セーヌ川右岸の中でもお洒落で個性的なショップやカフェが多くクリエイターも多く集まる場所だ。中心部に近くメトロも多く通っている地区だから資産価値はとても高いだろう。そんな地区のアパルトマンを相続した主人公が意気揚々と乗り込む気持ちはわかるが、それも束の間 いきなり出鼻を挫かれる。その原因は「ヴィアジェ」。ヴィアジェ?ヴィアジェって何? と主人公と同様 目が点になってしまった。

ヴィアジェはフランスに古くからあるユニークな不動産売買システム。売り主は住居を売却後も死ぬまで住み続ける権利があり、買い主は買ってもすぐに住むことができない。売買契約成立時に前払い金を支払い、その後は売り主が亡くなるまで毎月定額支払う。売り主のメリットは不動産を担保に死ぬまで毎月定額を受け取れること。 高齢者が生活費を得る手段として まるで年金のような役割をはたしてくれる。買い主のメリットは通常の売買に比べ破格の安値で不動産を買えること。だが総支払額がいくらになるかは売り主の寿命次第(◎_◎;)。

例えば月額20万で契約後1年で売り主が亡くなれば前払金+240万だが、20年生きた場合は前払金+4800万となる。ギャンブル性が高いのはもちろんだけど、人の死に賭けるみたいで不謹慎なシステムだなぁと感じてしまった。犯罪を助長したりはしないのだろうかという素朴な疑問が湧いてくる。高齢の売り主にとっては安定した収入が保証されるし ...
s_p_n_minacoの感想・評価
前半は確かにコメディタッチだけど…予告や邦題から想像するハートウォーミングコメディでなく、結構ドロドロッとしてた。わかるようなわからないような「ヴィアジェ」なるフランス独特の不動産売買制度がカギ。おかげでパリの家を相続したらそこに暮らす老婦人と娘がセットで付いてきて、ケヴィン・クラインとマギー・スミス、クリスティン・スコット・トーマスの同居が始まる。家を遺した亡き父とマギー・スミスの関係は察する通りなんだが、遺産と共に2つの家庭の因果まで重々しく受け継がれてしまう。親同士、親子、子供同士へ悲劇が悲劇を生む連鎖。なるほど、このキャストでただのコメディじゃ勿体ない、と納得の芝居だった。そして元が舞台劇というのも納得。
それでも軽快さは失われず、不条理なようで条理に適うべく導かれた人たちがヴィアジェによって救われる。不動産屋ドミニク・ピノンも粋な味わい。
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