ぐるりのこと。

ぐるりのこと。

作品情報

新着感想・ネタバレ

haaaru30の感想・評価
夫婦って、時間が経つにつれて「2人の間にあったもの」が重要でなくなっていくような、忘れられていくようなイメージがありました。しかし、お互いの人生でどうしようもないことが起きたとき、そんな情けない姿を認めてくれるのはやっぱり「旦那」であり「妻」なのだなと思うと、「2人の間にあったもの」は重要でなくなったわけでも、忘れられたわけでもなく、ずっとそこに存在していたんだな、と思いました。ある意味、離れようとも離れられない関係、みたいな。しかしそれは、とっても幸せなことです。
HMworldtravellerの感想・評価
毎日毎時間、生きていれば たゆみなく押し寄せ 積み重なる様々な感情。喜び、悲しみ、怒り、幸福感、失意、安堵感、不安、高揚感、寂しさ、切なさ・・。1つ1つのその感情とどう向き合い、誰とどんなふうに分かち合うのか。生きていくってそういうことなのかなと思う。

産まれて間もない子供を亡くした1組の夫婦の10年を描いた物語。何気ない一言とか、ちょっとしたふるまいとか、誰かとの間に流れる空気とか、まなざしとか、肌ざわりとか、あらゆるものに感じる様々な温度や重みや質感。温かかったり冷ややかだったり、ズシンときたりふわふわしてたり、厳しかったり柔らかかったり。淡々としているのにそれがすごく伝わる。連続ドラマか小説のように章ごとに少しずつ少しずつ進む。

見渡すとそのへんにありそうなリアルで卑近な日常と紡がれる感情が、なんだかとても愛しくなる映画だった。

リリー・フランキーの言葉がとても素敵だった。静かな語り口なのに溢れんばかりの感情や想いを感じる。
「いつも思い出してあげればいいじゃん。忘れないようにしてあげればいいんじゃないの。」
「お前はいろんなことが気になり過ぎる。みんなに嫌われてもいいじゃん。好きな人にたくさん好きになってもらったらそっちのほうがいいよ。」
「かっこ悪くても生きてるだけ大したもんじゃないですか。」
____RiN____の感想・評価
数年前に鑑賞して、その時もリリーさんに恋をするきっかけになるくらい惚れこんだ作品なんですが、「恋人たち」を鑑賞してから観ると、もう愛おしすぎて走り出したいくらいです。とある夫婦を描く、とてもクローズな群像劇。まるで二人の守護霊になったかのような近さが生々しく、窮屈で、だからこそ深く深く、ふたりを愛してしまう映画でした。

法廷画家として社会を見つめていくカナオと、とある事件をきっかけに心を疲れさせてしまう翔子が、それでもなんとか二人の未来を模索していく姿が、橋口監督らしい自然な会話劇で形作られており、そのセリフにいちいち心を掴まれました。
序盤のふたりの住む部屋での掛け合いの中で、リリーさんが「決断力あるなあ、好き」って言うシーンがあるんですが、凄くないですか。超何でもないシーンなんですよ、でも集約されてるの、カナオのテキトーさとか、禿げ散らかしてるのにモテる感じとか、翔子がもう!ってなりながらも惚れぬいてるとことか、そのセリフだけでわかるの。なんだこれ、ですよ。
そういういちいちが、この映画の中で「人間」を作り上げていくから、なにかあって傷付けばいっしょになって傷付くし、救われれば救われていく。凶悪事件の、ともすれば特殊に見える人間の当たり前の肉声にはっとさせられたり、癒えたように見得た傷から血が流れていたり、もどかしくて、胸が苦しくなる。そんでもって、ラストシーン。祈るようなあのシーン。
人間全部、どんなひとでもいろんなもん抱えて生きてるからできるだけ優しくしなきゃだめだぞ、って諭されたような気がしました。あとやっぱり、夫婦っていいね。
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