手紙は憶えている

手紙は憶えている

作品情報

原題 Remember
製作年 2015年
日本劇場公開日 2016年10月28日
製作国 カナダ・ドイツ
上映時間 95分

あらすじ

最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程もの忘れがひどくなった。ある日彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。「覚えているか?ルース亡き後、誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―」2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙とかすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった―

新着感想・ネタバレ

HMworldtravellerの感想・評価
原題 Remember の意味は言うまでもなく『覚えている』あるいは『思い出す』だ。人の記憶というのは 健常者であっても結構曖昧なもの。年配者なら尚更だ。本作はナチスによる大量虐殺という普遍的テーマを扱いながら、記憶と忘却をプロットとして巧みに埋め込んでいる。ジャンル的にはホロコーストだけれど舞台は現代。忘れ得ない心の傷みと執念の 側面から戦争の爪痕を描いた作品だ。

アウシュビッツ収容所の生き残りで 今はアメリカの老人ホームで静かに暮らす年老いた男。男は足元もおぼつかない上に認知証が進みつつあり、つい最近 最愛の妻を亡くしたことさえ 忘れがちである。だが、そんな状態にも関わらず ある日彼は決意の元にホームを後にする。彼には人生最後の時間をかけて果たすべきことがあった。彼と同じく何とか生き延びることができた友人との約束で、家族を殺したナチス兵士を探して自身の手で復讐することだ。

90歳になる認知証の老人が復讐のために旅をするという危うさと不安。どこへ向かい何をしようとしているのかの自覚さえ たびたび失い、そのたびに友が書いた手紙を読み現実を突きつけられ 狼狽える。老体に鞭打って1人、また1人と訪ねる姿は痛々しいと言うより他に無く いつしか彼のシャドウのように同じ目線で観てしまっていた。

その後の顛末に触れるのはご法度な作品なので あまり多くを書けないけれど、やはり思うのは『戦争に勝者などいない』と...
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