2017年7月6日更新

趣はいろいろ!シチリア島を舞台にしたおすすめ映画9選

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カオス・シチリア物語

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シチリア島を知っていますか?

地中海の潮の香りと、オリーブやワインの匂いが島を包む、イタリアのシチリア島をご存知ですか? 島の面積は日本の四国地方の1.4倍。世界遺産でもあるバロック様式の古い町並みや、エトナ山が一般的には知られ、島民も陽気で明るい気質な人たちが住んでるとわれています。 今回はイタリア・シチリア島の風景や島民の生活など、シチリア気分が味わえそう映画を厳選して9選をご紹介していきたい思います。

古きシチリアで、気骨な根性を見つめた映画

『揺れる大地』(1948年)

シチリア島の貧しい漁村を舞台にした話。アントニオは、村の網元が漁師から漁獲を搾取するのに不満を持ち、組合をつくることを呼びかけます。しかし、網元の手下の妨害によってアントニオは、警察に逮捕されてしまいました。 釈放されたアントニオは、村の漁民たちが自分の言葉に耳を傾けないのを知り、一人で網元から独立しようと決心するのですが…。 この映画は、巨匠ルキノ・ヴィスコンティが、シチリア島でオールロケをおこない、なんと全員が素人の俳優さんだとか。 ネオ・レアリズモを代表する1本といわれ、古きシチリア島民の生活がリアルに描かれているのが特徴です。

シチリアにゆれた愛と、男女のゆくえを見つめる問題作

『情事』(1960年)

この話は、外交官の娘アンナは、倦怠期になった恋人サンドロと親友クラウディアの3人で、地中海にヨットでクルージングにでかけるところからはじまります。 途中立ち寄った小島でアンナはこつ然と姿を消してしまい、残された2人はアンナの行方を捜す旅にでかけます。しだいにサンドラとクラウディアは親密になり、新しい恋が始まるかに見えたのですが…。 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の後になって「愛の不毛」3部作と呼ばれる第1作。 こちらの映画では、地中海やシチリア島の風景を60年代のオシャレな感覚として見ることができる映画です。1960年のカンヌ国際映画祭にて審査員賞受賞しました。

シチリア貴族のやんちゃぶりが見れる喜劇映画

『イタリア式離婚狂想曲』(1961年)

シチリア島の貴族フェルディナンドが、17歳のアンジェラと恋に落ち、再婚を望んでいる場面から始まります。 しかし、フェルディナンドにはれっきとした妻がおり、法律上、離婚は許されません。そこで、フェルディナンドは、妻ロザリアを殺す口実を考えます。それが、妻が他の男性と恋に落ちるように仕向けることだったのですが…。 シチリア貴族のフェルディナンド役をイタリアの名優マルチェロ・マストロヤンニが演じています。 マストロヤンニといえば、シチリア島どころか、イタリア人の色男の象徴的な人物そのもの。ちょっとエッチでやんちゃな気質は、見ている観客を楽しませてくれます。 アンジェラ役のステファニア・サンドレッリも、色気のあるコミカルな演技も見物です。 また、「イタリア式コメディ」(Commedia all'italiana)という、ジャンル名は本作がきっかけだとか。この作品は、1961年の米国アカデミー賞にて脚本賞受賞しました。

シチリアにも影を落とす、美しきイタリア貴族の没落を見る映画

『山猫』(1963年)

1860年春、イタリア全土がブルボン王朝から、国王ビクトル・エマニュエルへと変化した時代を、シチリア島の名門をサリナ公爵家を舞台に一家の没落を描いた作品。 この作品は、シチリア貴族の末裔であるジュゼッペ・ランペドゥーサの体験をもとにした長編小説が原作です。ルキノ・ヴィスコンティは、もともとはイタリア貴族の出身でした。イタリア貴族の没落を描いた意味では、ヴィスコンティが自分自身を語った作品とだとも評されています。1963年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞しました。

シチリアの血がファミリーの絆、ドン・コルニオーネを見る映画

『ゴッドファーザー』(1972年)

ニューヨーク郊外の高級住宅街の一角を占めていた、イタリア系アメリカ人のマフィア、コルレオーネ家を舞台にした大河映画といえる本作。マフィア一族の「ファミリー」の絆のもとで、血で血を洗う抗争が繰り広げられていくというもの。 マリオ・プーゾの小説『ゴットファーザー』を映画化した作品で、単なるマフィア一家の抗争を取りあげた物語ではなく、イタリア人が家族や親類を大切に思う気質がうかがえる映画になっています。 シチリアに旅行に出かけるシーンがあるのですが、アメリカへ移民したコルレオーネ家の血の原点に立ち返る重要な意味があります。 また、この映画は当時の興行記録を塗りかえる大ヒット作になり、1972年米国アカデミー賞にて作品賞・主演男優賞・脚色賞を受賞。その後続編が作られたことでも有名ですね。1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されました。 ニノ・ロータの名曲「ゴットファーザー 愛のテーマ」も忘れることはできません。

寓話的に美しいシチリア島を見つめる映画

『カオス・シチリア物語』(1984年)

この作品は7編のエピソードで構成されたシチリアの人々の壮大な人生と、美しい詩情を描いた作品。 このようなエピソードをオムニバス映画というわけではなく、混沌とした矛盾の世界を生きる人々を全編の流れのなかで描き、シチリア島の人々の歴史と、心の苦悩を幻想的なノスタルジーで見つめる映像叙情詩となっています。 巨匠パオロ・タヴィアーニと、ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟監督が、”矛盾する世の中にあっても、人は地に足をつけて強く生きている”という姿を、シチリア島の風景とともにリアリティやユーモアを織りまぜながら美しく描いています。

原作者:ルイージ・ピランデッロ

この映画の原作者はシチリア島の出身で、ノーベル賞作家でもある ルイージ・ピランデッロ。 タイトルにある『カオス』は生まれ故郷の村の名前からつけました。意味は「混沌」です。

シチリア島民が「映画」と「キス」を見つめた映画

『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988年)

物語は、アルフレードの死を知らせる1本の電話から始まります。 幼い頃の少年サルヴァトーレは、映画館パラダイス座の映写技師アルフレードと親友になり彼を慕うようになりました。やがて青年になったサルヴァトーレは、映写技師となり初恋や徴兵を体験します。しかし、アルフレードは映画青年なったサルヴァトーレにシチリア島を出るように勧め…。 この作品を製作中のジョゼッペ・トルナトーレ監督は弱冠29歳でしたが、古き良き時代の映画館を舞台に、映画を愛し映画館に通ったシチリア島の人々の人生模様をみごとに描いています。 また、シチリア島の港をいかした夢のような野外映画会や、広場でのゲリラ上映会も見所のひとつです。映画のラストシーンは、映画史に残る場面といっても過言ではありませんね。 他にも、映画館では、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『揺れる大地』上映されたり、「キス」を集めた大切なフィルムのひとつには、同じくシチリア出身のフランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』のキスシーンもありました。 ジョゼッペ・トルナトーレ監督、先輩監督たちへ敬意の思いがあるのでしょう。そんなところも絆を大切にするシチリア島の気質がうかがえます。

シチリアの郵便配達人の「言葉に書かれた愛」を見つめる映画

『イル・ポスティーノ』(1994年)

マリオの暮らす小さな島に、ある日チリから偉大な詩人であるパブロ・ネルーダが国外追放となり、島に亡命者としてやって来ます。島の郵便局には世界各国からファンレターが送られてくるようになり、その配達人として字が読めるマリオが雇われることになりました。 やがて詩人はマリオに詩を読んで聞かせ、詩の隠喩について教えはじめます。はじめは、有名な詩人の名前を利用して女の子に近づこうと考えていたマリオでしたが、やがて詩の魅力に惹かれ、自分も詩人になりたいと思うようになり…。 映画のロケ撮影につかわれた小さな島は、シチリア島から北東に位置するサリーナ島です。 アカデミー賞5部門にノミネートされ、日本は単館上映ながら大ヒットした作品。『イル・ポスティーノ』を観たことで、日本人にサリーナ島は知られ、美しい自然にふれたいと訪れる日本人観光客も多いそうです。 また、残念ことにマリオ役を演じたマッシモ・トロイージは、撮影終了の12時間後に心臓病により死去しました。そのことが、いっそう涙をさそう作品となりました。

シチリア美女とシチリア男、美しき思い出をみつめた映画

『マレーナ』(2000年)

1940年の戦争がはじまる頃のシチリア。12歳の少年レナートは、村一番の女神のように美しい女マレーナと出会います。 レナートに出会う2週間前に結婚したばかりのマレーナ。しかし夫は早くも戦線に送られてしまい、1人でひっそりと暮らしていました。レナートは恋心をつのらせ、マレーナのことで頭がいっぱいになり、毎日のように彼女の後を追いまわし見守っていました。 やがて敗戦とともに平和が訪れたと思ったのもつかの間、ある日、マレーナのもとに夫の戦死が伝えられると女神のような彼女は…。 こちらの作品も監督は、ジュゼッペ・トルナトーレ。シチリア島の青く美しい風景をふんだんに絡めながら、妖艶な人妻に憧れた少年の大人への成長を見つめています。シチリア出身のトルナトーレ監督にとって、島の人たちのロマンチックな思いを描いた、郷愁を感じさせる思春期ドラマは得意分野と言えますね。 また、モニカ・ベルッチは、シチリアの風景の美しさに劣らないほどの美貌の持ち主。イタリアの宝石と評されたモニカ・ベルッチは、2015年には『007 スペクター』のルチア役でボンドガールをつとめました。

シチリア島が生んだ監督たち

最後に、シチリアの風土が産み落とした、二人の世界的に有名な映画監督を紹介します。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督

まずは『ニュー・シネマ・パラダイス』で一躍有名になったジュゼッペ・トルナトーレ監督。『ニューシネマ・パラダイス』以外にも、小津安二郎の傑作『東京物語』にオマージュを捧げたといわれる『みんな元気』【1990年】や、前述の『マレーナ』【2000年】など、シチリア島を舞台にした作品を多数撮っていますね。 2016年9月22日には新作『ある天文学者の恋文』が日本公開され、再び注目が集まりそうです。

フランク・キャプラ監督

そしてもう1人、『素晴らしき哉、人生!』【1946年】などで知られる巨匠フランク・キャプラ監督もシチリア出身です。フランク・キャプラ監督は、シチリア島にあるブドウ園の息子として生まれ、6歳でロサンゼルスに家族で移住しました。 なんと、米国アカデミー賞の監督賞を3度も受賞したイタリアが生んだ大物監督です。