2017年1月7日更新 514view

おすすめアニメ映画ランキングTOP50【21世紀編】米映画サイトThe Playlist選出

21世紀に入ってからアニメーション映画のクオリティは世界中で向上し、世界中でヒットを飛ばすスタジオが増えました。アメリカの映画サイトThe Playlistから、21世紀に製作されたアニメーション映画ベスト50をご紹介します。

21世紀のおすすめアニメーション映画ベスト50をご紹介!

『アナと雪の女王』

(C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

この20年間ほどでアニメーション映画は大きく発展しています。90年代には、トップシェアを誇ったディズニー作品でさえも、そのほとんどが子供向けと考えられていました。

しかし20世紀が終わり、状況は劇的に変わります。ディズニーとピクサーの提携は、コンピューターアニメーションを爆発的に発展させ、2Dの手書きセル画アニメーションをほとんど駆逐してしまいます。

日本のスタジオ・ジブリは世界中でファンを増やし、各国の独立系アニメーターたちも自らの作品をより多くの人々に届ける方法を見出しました。

風立ちぬ

(C)2013 二馬力・GNDHDDTK

そして、一時は停滞していたディズニーも、より強くなって復活しています。

そんな進化した21世紀のアニメーション映画は見逃せない作品がたくさん。米映画サイトThe Playlistの記事から、ベスト50をご紹介します。

50位から41位の作品

50位:女性を主人公にしたピクサーには珍しい作品【2012】

他の多くのピクサー作品に比べ女性キャラクターが主に活躍する『メリダとおそろしの森』は、すでに古典のような雰囲気を持っています。マーク・アンドリューズとブレンダ・チャップマンが作り上げた本作は、”スコットランドの勝気な若き王女が自分の母親を熊に変えてしまう”ピクサーとしては型破りな作品。

ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジョン・ラセターよりも、宮崎駿やトム・ムーアの影響を強く感じさせました。

『メリダとおそろしの森』は、紆余曲折を経て最終的におたがいの愛を確認し合う母と娘、という珍しいテーマを持っています。本物の魔法が散りばめられ、ピクサー作品のなかで最も感動的な結末を迎える本作は、観た人に賞賛され広がっていくでしょう。

49位:モンティ・パイソンのような破天荒なアニメ映画【2012】

『マウス・タウン ロディとリタの冒険』(2006)や『アーサー・クリスマスの大冒険』(2011)などの失敗の後、『パイレーツ! バンド・オブ・ミスフィッツ』はアードマン・アニメーションズがトップに返り咲くためのささやかな成功をもたらしました。

シリーズ小説を原作としたこの作品は、ピーター・ロードとジェフ・ニュイットがおバカなアプローチで監督し、ヒュー・グラント演じる海賊のキャプテンが生物学者のチャールズ・ダーウィン(デヴィッド・テナント)とチームを組み、「年間最優秀海賊賞」を目指す物語です。

他にもマーティン・フリーマンやサルマ・ハエックら有名俳優が声優として参加しており、莫大な予算をかけた他の多くの派手なアニメーション映画に対する、ちょっとした反抗となっています。

48位:ベストセラー絵本を映画化のため大幅に脚色【2009】

メインストリームの観客にフィル・ロードとクリス・ミラーの独特な繊細さを最初に紹介した『くもりときどきミートボール』は、ディザスター・ムービーのパロディである児童書を原作とした、あまり成功する見込みのない作品でした。

しかしロードとミラーの手によって、ビル・ヘイダー演じるエキセントリックな発明家フリント・ロックウッドが故郷の町に食べ物の雨を降らせるマシンを発明し、ローランド・エメリッヒ監督作のような世界規模の危機を引き起こす物語に仕上がり、幅広い年齢層の観客が素晴らしい3Dの映像を見ながらお腹の底から笑える作品となっています。

47位:今敏監督の型破りな作品【2003】

『東京ゴッドファーザー』

2010年に惜しまれつつも亡くなった今敏監督ほど、幅広い作品を持つ日本のアニメーション監督はいないでしょう。『東京ゴッドファーザーズ』は、彼の最も型破りな作品です。

アルコール依存症のギン(江守徹)、元ドラァグ・クィーンのハナ(梅垣義明)、家出少女のミユキ(岡本綾)の3人のホームレスがゴミ捨て場で赤ん坊を発見し、両親の元へ返そうと奮闘するこの作品は、イタリアン・ネオリアリズムと『スリー・メン&ベビー』(1987)のちょうど中間のような物語になっています。

この映画には、ずさんなプロットや感傷的な表現など、他の今監督作品には見られない欠点があります。しかし、3人のメインキャラクターや、赤ん坊の本当の母親に対するあたたかさと同情心がそれらの穴を埋め、チャーミングな寓話として長く記憶に残ります。

46位:ティム・バートンの原点回帰といえるストップモーションアニメ【2012】

一度は才能を発揮し、独特な感性を持った映画監督であったティム・バートンの21世紀に入ってからの作品の多くは、大きな失望感を与えたとまともな人たちには同意してもらえるでしょう。しかし、これは玉石混交とも言える状態で、魅力的で美しい『フランケンウィニー』は、バートンを自らの原点に引き戻しました。

初期の実写短編映画をストップモーションアニメとしてリメイクした本作は、人々の関心をバートンに集めす。この作品は車に轢かれて死んでしまった愛犬スパーキーを、飼い主の少年ヴィクターがメアリー・シェリーが描いた物語のように蘇らせる、絆の物語です。

印象的なモノクロのストップモーションアニメと、バートンの大きな目のキャラクターの組み合わせが視覚的な喜びをもたらしています。また、ジョン・オーガストによる脚本も素晴らしく、ひとつの物語をフランケンシュタインをはじめ、数々のモンスター映画のオマージュに拡大することにも成功しています。

45位:動物たちのバディ・ムービー【2016】

2000年代の最悪のスランプを抜けて以来、ディズニー映画は見るべきものとなりました。ジョン・ラセターが経営に加わってから、『ボルト』(2008)から『アナと雪の女王』(2013)まで興行的にも成功を収め続けています。

ピクサーの作品を含めてもベストの地位を争ってきたと言えますが、2016年に公開された『ズートピア』は間違いなく最高の作品に最も近いものです。

「動物の世界」という思いつきはシンプルで手抜きとさえ思えますが、監督のバイロン・ムーアとリッチ・ハワードは魅惑的な世界観を作り上げ、驚くべきことに『チャインタウン』(1974)のような警官バディものミステリーを折り込みました。

『ズートピア』

(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

ディズニーの定番パターンに少し固執しすぎており、駆け引きは少しごちゃごちゃしていますが、映像と声の演技の質がそれらを補ってあまりあるものとなっています。

44位:芸術性を高めて成功した痛快なカンフー映画【2008】

主に『シュレック』シリーズから導き出されるドリームワークスのアニメーション映画の王道パターンは、有名俳優を声優に迎え、かわいい動物のキャラクターを登場させ、多くの映画のパロディを盛り込むことです。2000年代にはこうした映画は興行的に成功しましたが、批評家の評価はあまり芳しくなく、次第に先細りしていきました。

途中にいくつかのハイライトはあるものの、『カンフーパンダ』もそういった作品のひとつです。ジャック・ブラック演じるだらしないパンダが、カンフーの達人となり悪と戦う物語は、定番のパターンに沿っています。しかし、監督のジョン・スティーブンソンとマーク・オズボーンのおかげで、素晴らしい芸術性が発揮されました。

彼らの広い視野と野心が作品のドリームワークス色を薄め、しっかりとしたストーリーが心を揺さぶり、効果的なギャグや素晴らしいアクションシーンも盛り込まれています。2つの続編もよくできていますが、やはり第1作目は独特な作品となっています。

43位:往年の無声映画を彷彿とさせるコメディ【2015】

アニメーションの分野では、テレビの人気シリーズのスピンオフ映画を製作するとがっかりさせられるケースがよくあります。しかし、偉大なアードマン・アニメーションズは子供向けテレビ番組『ひつじのショーン』の映画版で、この傾向に逆らってみせました。

マーク・バートンとリチャード・スターザックによって比較的低予算で製作されたこの映画は、タイトルにもなっている主人公とその群れの仲間たちが、大都会で動物管理局員の男から逃げながら、家に帰る方法を探る物語です。

会社のトレードマークであるストップモーションの技法を使って美しくアニメーション化されたこの物語は、ほとんどセリフなしで進行します。バスター・キートンやチャーリー・チャップリン、ジャック・タチらとの共通点が見られるこの作品は、純粋に楽しい視覚的なストーリー進行で、笑いのタイミングも完璧に押さえています。

42位:狂気を感じさせる圧倒的な映像【2006】

パプリカ

悲しいことに、今敏監督は46歳でがんで他界するまでにたった4作の映画しか遺せませんでした。その4つの作品はすべて素晴らしいものですが、特に最後の作品となった『パプリカ』は彼のもっとも野心的な作品です。

筒井康隆の小説を原作に、人の夢のなかに入ることができる機械DCミニが盗まれてしまう物語です。巨大な赤ん坊や顔のある雲などが登場する熱狂的なシーンに至るまで、今監督は、息を飲むような映像を観客に投げかけてきます。狂気の中で物語は少しもたつきますが、重厚な幻覚のような映像に酔いしれ、欠点はあまり目につきません。今監督の早すぎる旅立ちほど、アニメーション界にとっての痛手はないでしょう。

41位:アニメ後進国の実力を見せつける【2014】

トム・ムーアと彼の会社カートゥーン・サルーンは、密かにアニメーションの強力な組織をアイルランドに作りました。アニメーション映画の歴史が浅い国ではありますが、ムーアが新作を発表するたびに成長しています。

彼の第2作目である2014年の作品『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』は、スタジオのトレードマークである簡素で丸みを帯びたキャラクターが語る、チャーミングな物語です。灯台守のベンと無口なシアーシャのきょうだいは、自分たちがアイルランドの伝説の妖精セルキー(半分人間で半分アザラシ)であることを知ります。

あたたかいハグのようにケルト民族の伝承とスタジオジブリの雰囲気を融合させた、感情のこもった忘れられない物語は、見かけとは違った過酷なものになっています。

『ソング・オブ・・ザ・シー 海のうた』

(C)Cartoon Saloon, Melusine Productions, The Big Farm, Superprod, Norlum

観客は、監督のムーアがまだ40歳にもならないことが信じられなくなるでしょう。彼はおそらくまだ自身の最高傑作を作っていませんが、その証拠と全身となるものはこのランキングの後半でご紹介します。

40位から31位の作品

40位:個人が製作し無料で公開された傑作【2008】

ほとんどのアニメーション映画は、文字どおり何千人もの人々が何年も携わり、数100万ドルの予算をかけて作られています。しかし、この作品はそうではありません。アニメーターのニナ・パリーはたった一人で『シーター、ブルースを歌う』を製作し、オンラインで無料で公開。そしてディズニーやドリームワークスなどの後ろ盾がないにも関わらず、この作品は口コミでヒットを記録しました。

パリー自身の離婚経験を盛り込んだ非常に個人的なこの映画には、インドの神話「ラーマーヤナ」のストーリーに、1920年代後半に活躍した伝説のジャズシンガー、アネット・ハンショーの歌が織り込まれています。既存の作品に対する尊敬と不遜の微妙なラインに位置するこの作品は、楽しげで圧倒的な思い入れの強さが感じられます。最も良い意味でのアウトサイダー・アートとも言えるでしょう。

39位:チャーミングな映像で綴られる政治的寓話【2013】

伝統的にアニメーションを得意とする国だけでなく、新興国から素晴らしい作品が誕生するのを見るのは非常にわくわくするものです。ブラジルのアニメーション映画『父を探して』には、この国が近い将来、他にも素晴らしい作品を生み出すだろうという気配が感じられます。

もともと2013年に本国で公開されたこの作品は、2015年にはアメリカでも公開され、2016年のアカデミー賞にノミネートしました。仕事を得るため家族の元を離れた父親を探す幼い少年の冒険は、寓話的で見る者の心を動かします。

セリフもなく(キャラクターたちの会話は意味のわからない言葉で表現される)、これといったストーリーもない中で語られるのは、工業化やグローバル化、労働者の搾取に関するやんわりとした政治的な寓話です。しかし、チャーミングで華やかなファンタジーの手法によって、まったく説教くささを感じさせません。監督のアレ・アヴレウは注目すべき才能の持ち主です。

38位:ヨーロッパのアニメーションの未来を感じさせる作品【2015】

1981年の『ヘビー・メタル』を除いて、ヨーロッパの伝統的なコミックやグラフィック・ノベルの映画化はあまり成功例がありませんでしたが、最近の突発的なヒット作『アヴリル・アンド・ザ・エクストラオーディナリー・ワールド』は、将来に希望の持てる良い兆候と言えるでしょう。
 
クリスチャン・デマレスとフランク・エカンシが監督し、原作コミックの映画化というよりはオリジナルと言える出来ばえの本作は、19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスの帝国主義支配が進んだ別世界が舞台となっており、少女エイプリルが死んだと思われていた両親と、人間を不死身にする薬の追跡に巻き込まれる物語です。

シンプルですが美しい作画でスチームパンクの世界をスリル満点に描き、複雑なストーリーを驚くほど自然に紡いでいきます。

37位:パフォーマンス・キャプチャの可能性を存分に発揮【2011】

ヨーロッパのコミックといえば、スティーヴン・スピルバーグの『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』は、ついにベルギーの作家エルジェが生み出した少年探偵をハリウッドに連れてきました。正確にはニュージーランドで、映画監督ピーター・ジャクソンのVFX会社WETAのパフォーマンス・キャプチャを用いてこの作品に命が吹き込まれたのです。

スピルバーグの初めてのアニメーション映画には、あまり興味を持っていなかった人もいましたが、何が起こっているか知っていた人々は、この作品を楽しみにしていました。スティーヴン・モファット、エドガー・ライト、ジョー・コーニッシュの3人が手がけた脚本は、原作コミックの3つの物語をひとつに融合させた、ある意味でオリジナルとも言えるもので、主人公タンタンとハドック船長の友情を描いています。

結果としてこの作品はここ数年で最もエネルギッシュなスピルバーグ作品となり、監督は明らかにパフォーマンス・キャプチャの可能性にめまいがしたでしょう。

36位:シンプルなストーリーのなかに謎が潜む作品【2008】

『崖の上のポニョ』

(C)2008 二馬力・GNDHDDT

忙しすぎ、あまり観客の満足を得られなかった『ハウルの動く城』(2004)の後、宮崎駿はかわいらしい『崖の上のポニョ』を発表しました。人魚姫の物語を題材としており、魚と人間の交配種である幼いブリュンヒルデが家族のもとを離れ、宗介という少年とその母親にポニョと名付けられ彼らとともに暮らすことになる物語です。

ほとんど争いのない優しい映画で、それまでどんどんと壮大なものになっていた宮崎の作品からすると驚くほど小規模のものになっています。しかし、特に人間ではなく、なにかほかのものとして宮崎が注意深く描いた魅力的な主人公など、明確になっていない部分も多くあります。また、ほとんどはポニョの父であるフジモトの命令によって起こる見事なシーンも見どころです。

35位:フランスの喜劇俳優ジャック・タチへのトリビュート映画【2010】

『蒸気船ウィリー』やルーニー・トゥーンズから、ピクサーの短編映画や『ひつじのショーン』まで無声コメディはアニメーションに大きな影響を与えてきましたが、映画監督シルヴァン・ショメの作品ほど直接的に影響を受けている例は稀です。

2010年のまったく愛らしい映画『イリュージョニスト』は、ショメのヒーローの1人でフランスの伝説的俳優ジャック・タチへのトリビュートとして、タチの映画化されなかった脚本をもとに製作されました。

タチに似たマジシャンがパリからスコットランドに移り、アリスという少女と友達になる物語です。おそらくタチが仲違いした娘への謝罪と仲直りの願いを込めて書かれたもので、ショメはこうした物悲しい側面を残し、ぼんやりと靄がかかったような控えめな色合いと1950年代のスタイルで深い悲しみと強い想いを呼び起こします。しかし、タチの脚本のコミカルな部分もきちんと残しています。

34位:日本のアニメーションの将来を担う新監督の登場【2006】

『時をかける少女』

(C)「時をかける少女」製作委員会2006

今敏が亡くなり、宮崎駿と高畑勲が引退し、日本のアニメーションは真剣に新しい血を必要としています。そんななか、この10年ほどでもっとも将来を約束された存在として名前が挙がるのが、『時をかける少女』で監督として注目を集めた細田守です。

1967年の小説を原作としていますが実質的には続編のような物語で、限られた回数だけ時間を遡ることができる女子高生・真琴を主人公としている今作は、SFというよりもティーン・ムービーで、メロドラマになっていく前の前半は軽快さとウィットに富んでいます。細田は数年後、さらに派手な映像を製作しますが、この作品ほど自信ありげなものはありません。

33位:美しい手書きのアニメーションで語られる普遍的な友情物語【2012】

素晴らしいコメディ・アニメーション『A Town Called Panic(原題)』の監督陣であるステファン・オビエとヴァンサン・パタールが大きく舵を切り、ストップ・モーションの手法をやめ、もっと古典的な絵本の映画化に取り組んだ作品です。

非常に感動的な本作。もうひとりの監督にバンジャマン・レネールを迎え、ガブリエル・バンサンの絵本と原作としたこの映画は、歯医者以外になりたいと思っている(当然、ネズミは全員歯医者になります)勇敢なネズミの女の子と、エンターテイナーになるため弁護士をやめたホームレスの熊との友情を描いています。

風変わりに聞こえますが、疑いを乗り越えた友情を描く愛らしく普遍的な物語が美しい手書きのアニメーションで語られ、80分の作品がもっと短く感じられます。また、フォレスト・ウィテカーやマッケンジー・フォイ、ローレン・バコール、ポール・ジアマッティらによる英語版が、オリジナルのフランス語版と同じくらい良いのも珍しいことです。

32位:細田守監督の最初の傑作【2012】

『おおかみこどもの雨と雪』

(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

展開が早く、理解の難しいファンタジー『サマーウォーズ』の後、細田守は美しい『おおかみこどもの雨と雪』で、『時をかける少女』と同じジャンルに戻り、時代遅れの狼人間伝説になんとか新しい要素を付け加えました。

雪と雨という2人の子供は、狼男の父親と人間の母親の間に生まれましたが、幼い頃に父親を亡くしてしまいます。成長するにつれ、彼らの変身がコントロールできなくなっていき、母親とともに田舎に移り住みますが、すぐに姉弟はそれぞれ別の方法で、彼らの特別な人生に取り組むようになります。

かなり控えめな『トワイライト』と、是枝裕和監督の作品をミックスしたような映画ですが、思春期と狼人間を対比させる、本物に近い感情のこもったアプローチが非常に効果的で、新鮮です。細田監督の最初の傑作と言えるでしょう。

31位:ケルト神話をベースにした風変わりで実験的な作品【2008】

ここ数年、アニメーション業界はいくつかのすばらしい驚きをもたらしてきましたが、『ブレンダンとケルズの秘密』もそのひとつです。監督のトム・ムーアとノラ・トメイ、そして制作会社のカートゥーン・サルーンはすっかり自信に満ち、まったく独特な作品を完成させました。

ケルトの神話と歴史を下敷きに、少年ブレンダンと森の精アイスリングの友情と「ケルズの書」が作られる過程、そしてその本をヴァイキングや神話上の生き物などから守ろうとする様子を描いています。

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』よりもさらに様式化された風変わりで実験的な作品となっており、物語にはあまり注目していませんが、より特別で凝った映像はまったく新しいものです。

この作品がアカデミー賞にノミネートしたことで、制作会社とムーアとトメイの両氏はその後数年で新作を作る予定となっています。とても楽しみですね。

30位から21位の作品

30位:型破りでなんでもありのマイナーなディズニー映画【2000】

世紀の変わり目にディズニーは道を外れ、10年近くヒットに恵まれませんでした。それでもやはり、この期間にも輝く作品はあり、『ラマになった王様』はその中でももっとも楽しい作品です。この作品はもともとはミュージカル映画として企画されていましたが、のちに再編成され、他のディズニー作品とは違った独創的なコメディ作品になりました。

傲慢で甘やかされたインカ帝国の王様クスコは悪い相談役によってラマに変身させられ、親切な農民のパチャと協力せざるを得なくなってしまいます。

型破りで規模の小さなストーリーですが、なんでもありのユーモアで観客を飽きさせず、不条理な『ルーニー・トゥーンズ』と全盛期の『ザ・シンプソンズ』の間のような面白さがあります。とてもマイナーな作品ではありますが、他の多くの作品よりも楽しめるでしょう。

29位:実話をもとにした感動的なオーストラリア製ストップモーション・アニメ【2009】

オーストラリアのアニメーション映画と、実話を基にしたアニメーション映画はあまり見ないものです。しかし『メアリー&マックス』を見ると、その2つを私たちはもっと見るべきだと思わされます。

2003年にアカデミー賞を獲得した短編アニメーション映画『ハーヴィー・クランペット』の監督アダム・エリオットが初めて長編作品に挑戦し、自らのニューヨークに住む文通友達との友情をもとにしたこの作品は、オーストラリアに住む少女と自閉症のニューヨーカーの文通を通じた数十年にもわたる友情を、色を制限したストップモーションで描いたものです。

あまりにも癖のある作品ですが、孤独や憂鬱、いじめ、精神疾患、アスペルガー症候群など、アニメーション映画ではあまり描かれない題材を扱う大胆な姿勢、特に本物の感性や感情を描いている点は、歓迎すべきものです。エンディングでは、お互いにとって価値のあるふたりの絆に心を動かされます。

28位:大人気キャラクター初の長編映画【2005】

『ウォレスとグルミット』の短編作品で2つのアカデミー賞を受賞した後、監督のニック・パークとアードマン・アニメーションズは初の長編作品にかかる期待の高さに抵抗しながら作品を完成させなければなりませんでした。『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』は短編『ペンギンに気をつけろ!』や『チーズ・ホリデー』ほど完璧ではありませんが、それでも全体的には成功しています。

ヨークシャーに住む中年の発明家と彼の無口な飼い犬は、害獣駆除会社を立ち上げたことから半分人間で半分ウサギの怪物に脅かされ、昔のホラー映画のような状況に陥ってしまいます。感動的なシーンはありませんが、高速のアクションシーンや美しい街並みなどのデザイン、イギリスらしいウィットが欠点を補っています。

27位:ディズニー黄金期には作れなかった奇妙な名作【2002】

90年代後半から2000年代初頭は、ディズニーアニメーションの暗黒時代でした。『ブラザー・ベア』や『ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え!』などの作品は大失敗し、『アナと雪の女王』以前の作品では興行収入はほとんどありませんでした。しかし、そのなかで輝いていたのが(先に紹介した『ラマになった王様』と)『リロ&スティッチ』です。

表面的には『E.T.』を引用していますが、監督のクリス・サンダースとディーン・デュボワ(のちに『ヒックとドラゴン』を監督)はかわいらしく頭のおかしいスティッチのいたずら心をうまく歌い上げ、ハワイの設定を豪華に実現し、リロと児童福祉局から調査を受けている姉の驚くべき哀愁を表現しています。90年代初頭のディズニーの黄金期には作られなかったであろうこの作品は、とても奇妙で大満足させてくれます。

26位:原作絵本に忠実に映像化された愛すべきキャラクターたち【2011】

現代のテクノロジーの進化によって、いまの子供たちは子供時代に不可欠なものを見失っていると全ての世代の人々が感じているでしょう。しかし、ドン・ホールとスティーヴン・J・アンダーソンの監督によるディズニーの手書きアニメーション映画『くまのプーさん』は、その魅力とウィットで、物事がもっとシンプルだった時代を呼び起こしてくれます。

たしかにこの作品は幼い子供向けですが、以前のプーさんの映画に親しんだ大人にはどうもディズニーらしさが足りないと感じられるようです。しかし、この短く、落ち着いていて、ちょっぴりおかしな作品は、A・A・ミルンの素晴らしい原作絵本に敬意を払っているのがうかがえます。

25位:風変わりで愉快なトリップ映画【2011】

もし『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目がうまくいっていなかったとしても、奇妙で素晴らしい作品になったでしょう。ですから、今考えるとゴア・ヴァービンスキー監督がジョニー・デップをこのアニメーション映画にキャスティングしたのは、驚くことではありませんでした。ニコロデオン・ムービーズは、以前にも奇妙なアニメーション映画を作っていたからです。

スリラー映画『チャイナタウン』と古い西部劇を混ぜたようなこの映画は、動物のキャラクターたちと若干錯乱したハイな雰囲気の中で、デップの演じるカメレオンが水不足に苦しむ町で間違ってヒーローになってしまう物語です。

VFXスタジオのインダストリアル・ライト&マジックが魅力的な映像を製作する前に、俳優たちは衣装を着てリハーサルをしました(アニメーション業界では非常に珍しいこと)。子供向けの作品ということにはなっていますが、途方もなく愉快なトリップ映画です。

24位:抱腹絶倒のナンセンス・ストップモーションアニメ【2009】

穏やかでシュールなフランス語のテレビ番組をもとに、カンヌ映画祭で初めて上映されたストップモーションアニメであるという栄誉を受けた『A Town Called Panic(原題)』は、ベルギー人のステファン・オビエとヴァンサン・パタールが送る、ばかばかしい物語です。

田舎の家で一緒に暮らしているプラスチックでできたおもちゃのカウボーイとインディアン、そして馬は、説明のつかない面倒事に巻き込まれていきます。インターネットで50個のレンガを注文したつもりが、間違って5000万個注文してしまっていたために馬の誕生日を祝う計画がうまくいかず、レンガで壁を作ったものの悪意のある海の生き物たちに盗まれてしまい、犯人を追いかけて雪深い土地に行き、空を飛び、地下に潜り、森を抜け……。

プロットは全く意味不明で、ストーリーはかわいらしくぎこちないアニメーションと同じくらいマヌケな感じがします。しかし完全にいかれたエネルギーを持っており、一時的な相互作用と奇妙さが、全てのバカバカしいシーンに詰め込まれています。

23位:現実と映画が交錯する今監督の最高傑作【2001】

千年女優

今敏監督の作品は、これまでにも取り上げました。彼は日本だけでなくアニメーション全体にとって、もっともエキサイティングな才能を持つ人物の1人で、彼がこれから見せてくれたかもしれない作品を考えると胸が痛みます。彼の監督作はすべて、様々な面白さがありました。

しかし、彼の最高傑作が2001年に発表された第2作目『千年女優』であると言ったら議論が起こるかもしれません。他のアニメーション作品に比べてずっと成熟したこの作品は、年をとって引退した映画スターが、彼女の記憶の中にドキュメンタリー映画のクルーを連れて行き、ジャンルや形を変え、自らが演じた役と自分の人生とを織り交ぜて語るという魅力的なコンセプトを持っています。

はっきりとした物語が好きな人はがっかりしてしまいますが、そこには魅力的で豊かなパズルを解く楽しみがあり、今が得意とするテーマである現実の性質と芸術の力によって、うまく解き明かされていきます。

22位:深いキャラクター描写で面白さと哀愁を両立【2006】

明らかにロバート・ゼメキスのパフォーマンス・キャプチャを使った最高の映画で、ある程度は不気味にしようとしたためにそうなっていることと、実際にはゼメキスでなくギル・キーナンが監督したことで、『モンスターハウス』はティム・バートン風とスピルバーグ風の共存を成功させた珍しいアニメーション映画となり、山のような愛情と恐怖がストーリーに盛り込まれています。

ダン・ハーモンと彼の友人ロブ・シュラブが共同脚本を手がけた本作は、3人の冒険好きな子供たちが近所にある不気味な家を調査する物語です。キャラクターを掘り下げ、若い主人公たちを信頼できて好感の持てるある意味で子供らしい人物に仕上げることで、最高のギャグと哀愁を最も効果的にすることに成功しています。この作品よりも見た目のいい映画はいくつもありますが、これほど楽しい映画は少ないでしょう。

21位:ストーリーがすばらしいドリームワークス作品【2010】

まあまあの出来の作品(『カンフーパンダ』や『シュレック』)や驚くほど楽しい作品(『マダガスカル3』いや真面目に)、または全く作る意味のなかった作品(『シュレック』の続編や『シャークテイル』)など、どんな作品を送り出してもほとんどいつも、ドリームワークスはピクサーに次いで2番手と言われます。

例外は『ヒックとドラゴン』で、『E.T.』のような若いヴァイキングと彼の相棒となるドラゴンの関係を中心としたスリル満点の冒険譚は、3Dが可能にしたすばらしい空を飛ぶシーンや世界観を、ドリームワークス作品で最も絵画的なヴィジュアルで描き出しています。

ドリームワークスの作品は、映画のパロディや有名人を声優に起用する手法に陥りがちですが、この作品ではストーリーがいちばんの見どころとなり、結果、勝利を勝ち取りました。

20位から11位の作品

20位:これまでで最高のキャストで送る奇跡的な名作【2003】

私たちの心配は杞憂に終わり、『ファインディング・ドリー』は『トイ・ストーリー3』や『カーズ2』、『モンスター・ユニバーシティ』など他のピクサーの続編よりもいい出来でした。しかし、心配した私たちを責められるでしょうか?それほど『ファインディング・ニモ』はほぼ奇跡に近い作品なのです。

息子が海を越えて連れ去られてしまい、過保護な父の悪夢が現実となってしまう物語はめまいがするほどカラフルで非常におかしく、記憶に残るキャラクターたちがたくさん登場し、まず間違いなくこれまでのピクサーで最高のキャスティングとなっています。しかしその中心に隠された、父と息子のかみ合わなさが感情を強く揺さぶります。

19位:ピクサー史上もっとも愛される2人のキャラクター【2001】

2つのすばらしい『トイ・ストーリー』の映画と、まずまずの評判だった『バグズ・ライフ』の後、『モンスターズ・インク』はピクサーが単に前作の人気だけの会社ではないことを示唆しました。

この作品には『トイ・ストーリー』と同様に、子供時代のたまらなく魅力的な考えが詰まっており、クローゼットの中やベッドの下にいるモンスターたちの知られざる物語になっています。

ビリー・クリスタルが演じる一つ目のマイクとジョン・グッドマン演じる毛むくじゃらのサリーというピクサー史上もっとも愛すべき2人のキャラクターが、誤ってかわいらしいブーという女の子をモンスターの世界に連れてきてしまいます。

この映画はその後のいくつかのピクサー作品と同様に物語が完璧なだけでなく、魅力的にデザインされており、心温まる、満足のいくエンディングが用意されています。

18位:子供時代についてのすばらしい物語【2010】

『トイ・ストーリー2』から丸10年後、『トイ・ストーリー3』は簡単に手抜きの焼き直しか懐かしさに浸るだけのものにしたとしても、数千万ドルは稼げたでしょう。しかし、そのような作品を作る代わりに、ジョン・ラセターやアンドリュー・スタントン、そしてリー・アンクリッチ監督のクリエイティブチームは現実と同じように時間を進め、おもちゃたちの持ち主アンディを大学に進学させました。

おもちゃたちの冒険は、命の危機や少し暗い要素を含み、すでに大人になった観客にとっても、深く魂をえぐられるようなものになっています。『トイ・ストーリー』シリーズは、どの作品もだたのプラスチックのおもちゃの話ではなく、実際には終わってからしか感謝できない子供時代についての物語だったのです。

17位:人生の儚さを感じさせる大人のストップモーションアニメ【2015】

『アノマリサ』

© 2015 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

彼のいたずらっぽさを考えれば、チャーリー・カウフマンの監督第2作目がアニメーション映画であることに驚くべきではないかもしれません。それでも数年前、カウフマンがデューク・ジョンソンとチームを組み『アノマリサ』というストップモーションアニメを製作すると発表した時は目を丸くしました。

自分以外の全ての人の顔と声が同じ男性のものに見え、聞こえてしまうイギリス人の作家が、オハイオ州の空港のホテルで若い女性と一夜を過ごすこの映画は、厭世的で実存主義的な絶望と秘かなロマン主義をミックスした、カウフマンにしか作れないものです。

憂鬱と人生の岐路に関する物語が、寒々しくもどこか美しく語られ、カウフマンの得意とするテーマである自己嫌悪や孤独、人生の儚さにストップモーションアニメの技法を通して磨きがかけられています。

16位:ニューカマーの最高のデビュー作【2009】

近年では、以前より多くのアニメーションスタジオからクオリティの高い作品が発表されています。卓越した美しさを持つストップモーションアニメ『コララインとボタンの魔女』でブレイクしたポートランドのライカもそのうちのひとつです。

ニール・ゲイマンによる本を原作とし、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリックが監督を務めたこの作品は、ネグレクト気味の両親から逃れ別の世界にやってきた女の子が、そこが実は不気味な場所であったことを発見する物語です。

魅力的にデザインされたこの作品は、知的で感情豊か、雰囲気があり、豊かで、面白く、エキサイティングで変わっていて、公開されてからも良いワインのように熟成されています。同スタジオの『マラノーマン ブライス・ホローの謎』や『The Boxtrolls(原題)』も見る価値がありますが、最初の作品である『コララインとボタンの魔女』は、ライカが今までに公開した最高のものです。

15位:バカバカしくも意外な哀愁をもつアクションコメディ【2014】

理論上では、おもちゃだけでなくおもちゃのスーパーヒーローを原作にした映画というと、悪夢のように聞こえます。しかし実際には、『くもりときどきミートボール』のフィル・ロードとクリストファー・ミラーが監督した『レゴ(R)ムービー』は茶目っ気があり、めちゃくちゃで、目がくらむような楽しい作品です。

「選ばれし者」の物語をパロディにし、クリス・プラット演じるエメットは邪悪なおしごと大王に立ち向かう最後の希望となります。非常にバカバカしく、メタ的な要素のあるアクション・コメディには、意外な哀愁も漂います。

14位:他とは違う洗練されたピクサー作品【2007】

レミーのおいしいレストラン

© Disney Enterprises, Inc. and Pixar Animation Studios.

『レミーのおいしいレストラン』は、ピクサーの中では変わった作品で、それは製作の歴史(『Mr.インクレディブル』の監督ブラッド・バードが完成間近になって再編成した)のせいというよりも、登場人物が他のピクサー作品に比べて大人であるせいです。

料理の世界を舞台に批評家をターゲットとた物語は、わりとゆっくりとしたペースで描かれています。作家主義なこのアニメーションは、どうにかして世界中で何千万ドルも稼ぎました。

料理人になる夢と洗練された味覚を持つネズミの物語は、しゃべる動物の映画であり、ラブコメでもあり、パリ(街並みが美しい!)と食べ物へのラブレターでもあり、ピクサーでなければ作ることのできなかった作品です。他のピクサー作品にはもっと幅広い魅力もありますが、『レミーのおいしいレストラン』は、まさに洗練された作品です。

13位:『大脱走』を思い起こさせるとてつもない映画【2000】

アードマン・アニメーションズは複数の成功を収めており、このランキングにも4つの作品がランクインしています。なかなか良い成績ですが、慣れた場所から離れCGIの世界に移動すると、90年代に短編作品で世界中から称賛を集めたときと同じようにはいかなくなりました。彼らの最初の長編作品であり、何倍もの予算をかけた他のほとんどの映画よりもとてつもない映画『チキンラン』の存在のせいで、評価が厳しくなってしまいます。

自分たちが最終的にはパイになってしまうと知った雌鶏の群れが、うぬぼれ屋の雄鶏レッドに牧場から逃げる助けをしてくれるよう頼む物語は、とてもイギリス的で風変わりな魅力があり、『大脱走』を思い起こさせる楽しい映画です。

アードマンの短編作品に特徴的な完璧なデザインと古典的な体を張ったコメディ、スリル満点のアクション、それによく練られたストーリーで、このランキングにある他の作品の目を覚まさせるような結末が待っています。

12位:自伝をアニメーション化した鮮烈なデビュー作【2007】

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『ペルセポリス』は、同年同じくカンヌとオスカーにノミネートした『戦場でワルツを』と同様に脱出をテーマにしており、アニメーションの別の機能を主な観客層に受け入れさせた作品です。自伝という個人的で痛々しいほど政治的な内容は、実写よりもアニメーションに適していました。

マルジャン・サトラピのこの映画は感動的で、笑えて、観客の心を動かし、革命下のテヘランで育った彼女の子供時代が時折恐ろしい話を交えて、シンプルで殺風景なモノクロの映像で語られますが、主人公の視点は一風変わっていて、細部に人道的な配慮がされており、サトラピの映画監督としての才能を感じさせます。

世界中でもっとも活発で、遊び心がある風変わりな映画監督として鮮烈なデビューを飾りました。

11位:それまでで最もリスクを取ったピクサー作品【2008】

当時までに(もしかすると現在まででも)ピクサーがもっともリスクを取った作品が『WALL・E/ウォーリー』で、ラブコメ寄りの環境問題に関する寓話であり、どちらのジャンルにしても非常にたのしめるものです。

取り残された文明の跡地で、たった一人で働くゴミ処理ロボットを主人公とし、ハイテク探査ドロイドとの恋、人間が残したものへの再接続などを大胆に描いた本作。これまでの作品と比べて極端にセリフが少なく、ほとんど無声映画と言っていいこの作品は、ピクサーでもっとも簡素で皮肉に満ちています。

それだけでなくアンドリュー・スタントン監督の映画はあたたかく笑えるもので、ウォーリーのすばらしい感情表現とデザイン、オリジナリティのあるストーリーがかすかに光ります。

10位から1位はこの作品!

10位:ファンタジー色を排しながらもアニメーションでしか作れない名作【2013】

宮崎駿の引退前に発表された『風立ちぬ』は、アニメーションの巨匠の最後の作品としてふさわしい出来栄えとなっています。この作品は、宣言されていた通り(ほぼ)ファンタジー色を排した飛行機の設計者・堀越二郎の伝記映画です。

日本の戦前を描いた動く肖像画のようで、技術の進歩のための試験やテクノロジー、芸術さえも含めた監督の飛行機へのラブレターであり、なによりも、何かに熱中する若者の自叙伝となっています。

この作品をアニメーションとして政党に評価しない人は頭のネジが緩んでいるのでしょう。これまでの宮崎アニメと同じように魅力的で、現実的でありながらアニメーションでしか作れないものになっています。これが本当に宮崎駿の最後の作品となるのなら、痛切に惜しまれるでしょう。

9位:観客を戦争の真っただ中に連れて行くショッキングな映像【2008】

アニメーションがどれほど巧みな表現方法になり得るかを示したアリ・フォルマン監督の作品で、ドキュメンタリーと幻覚のような映像をうまく混ぜ合わせ、1982年のレバノン戦争に行った1人の兵士の経験を描きだす大胆な実験は、観客を悲惨な戦争のただ中に連れて行きます。

人権問題を扱う映画は残念ながら最近ではありふれたものになってしまいましたが、だからこそ非常に映画的な『戦場でワルツを』を製作したフォルマンの功績は決して小さいものではありません。フラッシュアニメと伝統的なアニメーションをミックスさせた映像は、フォルマン監督が若い頃に経験したショッキングな時代をはっきりと描き出しました。

マックス・リヒターによる印象的なオリジナル曲と時代にあった歌のミックスも、映画全体にパワーを与えています。エンターテイメントとしてよくできているからこそ、効果的で教育的で感情に訴える作品となりました。

8位:古風な手法を使った新しい映画【2009】

ストップモーションアニメとウェス・アンダーソン監督の相性が良いと証明した本作は、ロアルド・ダールの原作を映画化した甘酸っぱい作品です。

アンダーソン監督の最高傑作であることに議論の余地はありませんが、様々な意味で一流の”芸術家”としての彼の代表作でもあると言えるでしょう。結局のところ、過度にコントロールされた彼の作品は生きたアニメーションと言えるのではないでしょうか。

アンダーソンの遺産の中での位置付けを正しく理解するためだけにとどまらず、『ファンタスティック Mr.FOX』は見て美しく、現在まででもっとも面白い映画のひとつです。絵本の映画化は、アンダーソンにさらに幅広い表現をさせ、とぼけたユーモアさえも心地よく描かれています。

『ファンタスティックMr.FOX』

(c)2010 Fox and its related entities, All Rights Reserved.

60年代のストップモーションアニメのような古風な手法でも、うまくすれば新しいものを生み出せると証明しました。万人向けでありながら荒削りなこの作品を多くの人が気に入るでしょう。

7位:高畑勲のキャリア総決算と悲しい別れ【2013】

『かぐや姫の物語』

(C)2013 畑事務所・GNDHDDTK

『風立ちぬ』ほどは注目を集めませんでしたが、『かぐや姫の物語』は宮崎駿とともにスタジオジブリを設立し、『火垂るの墓』の監督としても知られている高畑勲の最後の作品で、アニメーションの巨匠のひとりからのいっそう悲しく、美しくほろ苦いお別れとなっています。

伝統的な「竹取物語」をベースに、とても美しい絵画的なスタイルでアニメーション化されたこの寓話は、竹の中から見つかり、つつましい両親に育てられたかぐや姫が、富を築きあげ、数えきれない男性たちからの求愛を受けても、結局は地球を去らなければいけなくなってしまう物語です。

表現もストーリーもシンプルですが、内容は非常に豊かで(男女同権や環境問題に関する深いテーマや、死すべき存在である人間に関する深い考察が含まれています)、繊細で牧歌的な映画となっており、高畑のキャリアの総決算と深い悲しみをもった別れの両方を提供しています。

6位:ピクサーのハードルをさらに上げた作品【2015】

ここ数年は続編ばかりだったピクサーはその輝かしい評判に比べ、最近の『アーロと少年』や『ファインディング・ドリー』では”まあまあ”という評価をされてしまいがちで、不当にがっかりさせられます。しかし、ピクサーの意欲作で最高の作品のひとつでもある『インサイド・ヘッド』は、そうではありませんでした。

サンフランシスコに引っ越し、感情的に混乱しているライリーという少女の頭のなかを舞台に、擬人化されたヨロコビとカナシミが心の奥底を冒険する物語は、驚くほどよく考えられており、我々の感情がどのようの働いているのかわかりやすく、悲しみは避けられないだけでなく必要なものだという、理解しにくい真実に向き合わせてくれます。並みの大人向けと言われる映画では避けるようなテーマです。

しかしピクサーの作品、さらに言えば『カールじいさんの空飛ぶ家』のピート・ドクターの作品であるこの映画は、やはり総合的には輝くようなよろこびにあふれ、エキサイティングで笑えるものになっています。

インサイド・ヘッド

(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド』は展開が早く、軽いタッチで、声の演技もすばらしく、途方もなく感動的です。ピクサー映画に対するハードルはまた上がりました。

5位:フランス製、至福の78分【2003】

シルヴァン・ショメの脚本には聞き取れる会話がなく、ほとんどランダムに進んでいき、観客はずっと内容を予想しながら見ることになりますが、奇跡的に魔法のような独特な世界にまとまります。

多くの人手を要して仕上げた、美しく古風で絵画的なアニメーションが見どころとなっており、かわいらしい女主人の自転車乗りの息子がマフィアに誘拐され、非道な賭博計画に使われてしまうへんてこなストーリーを生き生きと描きました。

彼女は自分を助けてくれた名義だけの3人組合唱団に入り、映画全体に音楽のよろこびを付け加えます。完全にオリジナルのストーリーで、ショメが題材をしっかりとハンドリングしながら監督しています。2003年にアカデミー賞2部門(長編アニメ映画賞と歌曲賞)にノミネートしていながらあまり知られていない作品で、どんな観客層でも楽しめるでしょう。

4位:監督をメジャーな存在にした傑作【2012】

特に『なんて素敵な日』のあと、アニメファンは長い間ドン・ハーツフェルトに賛辞を送ってきました。2011年の同タイトルの映画と、それ以前に発表した2つの短編映画『きっと全て大丈夫』『あなたは私の誇り』を合わせた、印象的で究極に奇妙な、人生を肯定する3部作はハーツフェルトのトレードマークである棒人間の線描で作り上げられ、皮肉で非常に暴力的で、精神疾患とアイデンティティに関する信じられない結末を迎えます。

遠回しですが奇妙にわかりやすく、よそよそしく超越的で、シンプルでいつまでも見ていられる、まさに傑作といえるこの作品は、メジャーな映画監督としてハーツフェルトの名を世に知らしめました。

3位:死のシーンから始まるよろこびに満ちた人生賛歌【2009】

『カールじいさんの空飛ぶ家』は3位にしました。カールとエリーの結婚生活を4分にまとめた映像だけで観客はボロボロに泣いてしまうでしょう。ヘリコプターにや空を飛ぶ家は、ピクサーがいままでに作ったもっとも満足のいくものというわけではありませんが、キャラクター製作と彼らの関係によるピクサーの錬金術の絶頂期の作品です。

この映画で、監督のピート・ドクターとボブ・パターソンはおかしな言動やカラフルな風船、舌足らずのボーイスカウトの少年やしゃべる犬に隠して、我々に最高の悲しい映画を届けてくれました。アニメーションではバンビの母以来の効果的な死のシーンからこの作品は始まりますが、『カールじいさんの空飛ぶ家』は、どんな年齢でもどんな高度でも、よろこびに満ちた人生賛歌に他なりません。

2位:最高のアニメーション映画であり最高のヒーロー映画【2004】

『Mr.インクレディブル』

© 2004 Disney/Pixar

ブラッド・バード監督のいまのところの最高傑作は、アメコミの神話と家族のドラマ、そしてすばらしいコンピューターアニメーションを融合させたものです。ピクサーの一連のヒットの最後にやってきたこの作品は、失敗作『カーズ』の直前に公開され、『レミーのおいしいレストラン』で軌道修正しました(本作と同じくバード監督に感謝)。

実際、この時期はピクサーにとって最良の時期でしたし、『Mr.インクレディブル』は正統派のスリル満載のアクション映画で、大人も子供も楽しめるキャラクターのドラマであり、2016年現在多くのさくひんが作られているスーパーヒーロー物の需要を的確に受け取ったものでもあります。

50年代風の郊外の住宅とオフィスの風景が巧みにデザインされ、2つのストーリーが絶えず補い合い、高め合う脚本も良くできており、『Mr.インクレディブル』は全ての時代を通して最高のアニメーション映画であるだけでなく、全ての時代を通して最高のスーパーヒーロー映画です。

1位:多くのアメリカ人にとって初めてのジブリ作品【2001】

『千と千尋の神隠し』

(C)2001 二馬力・TGNDDTM

アニメーションの最大の強みが、製作者のイマジネーションの限界まで潜入できることだとすれば、現役で最も包括的で美しい映像を作る宮崎駿の『千と千尋の神隠し』以外に1位の作品はないでしょう。

両親を豚に変えられてしまった少女が魔法の世界にあえて立ち向かう訓話は、話が進むにしたがってさらに奇妙で気まぐれに、不確かなものになっていき、簡素で倫理的に白黒のつく子供向け映画の世界とは対極の存在になっていきます。

グロテスクで怖くスリルがありながら美しく、西洋のアニメーションとは全く違ったものです。アカデミー賞を受賞し全米で広く公開されたため、多くのアメリカ人にとって初めて見る宮崎駿、またはスタジオジブリの作品となった『千と千尋の神隠し』は、観客の心の特別な場所を占めることになりました。

『塔の上のラプンツェル』

© Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

これで基本はほとんど押さえましたが、全てではありません。我々のランキングには入らなかった『ハウルの動く城』、『The Boxtrolls(原題)』、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』、『アナと雪の女王』、『塔の上のラプンツェル』、『シュガーラッシュ』、『ベイマックス』なども人気があります。

『シュレック』や『DEAD LEAVES』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』も注目に値する作品です。ぜひ、お気に入りのアニメ映画をみつけてみてください。

参考URL
theplaylist.net

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