2017年7月6日更新

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』あらすじ・キャストまとめ【カンヌパルムドール獲得作品】

このページにはプロモーションが含まれています
『わたしは、ダニエル・ブレイク』

AD

2016年パルムドール映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』は要注目作品!

『麦の穂をゆらす風』に次ぎ、『わたしは、ダニエル・ブレイク』で2度目のカンヌ映画祭パルムドール(作品賞)を受賞したケン・ローチ監督。彼は映画を通してイギリスの様々な社会問題を描く事で知られています。 今作ではイギリスで深刻な問題となっている、貧困と格差社会に苦しむ人間の苦しみを描く為、引退を撤回して制作をしました。 映画のあまりのリアルさに、多数のイギリス国民だけでなくイギリスの政治家までもが心を奪われ、国中で熱い論議が行われてしまうほどに発展する注目の作品です。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』のあらすじ

主人公はイギリスのニューカッスルに住む59歳の大工、ダニエル・ブレイク。心臓発作をきっかけに職を無くし、国から雇用支援金を求めるが複雑なシステムに苦しむ事になりました。 ダニエルは、同様に国からの支援金を求める2児を育てるシングルマザーのケイティと出会います。同じ苦しみを味わう者として共感し、悪戦苦闘していく中で絆を深めていく2人。 人生の難しい現実を描くストーリーはユーモアや人情、そして絶望など様々な感情に溢れ、観客の心を動かしてくれます。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』のキャストをご紹介

ダニエル・ブレイク/デイブ・ジョンズ

今作の主人公、ダニエルを演じるのはデイブ・ジョンズ。デイブはスタンドアップコメディアンとしてキャリアをスタートさせ、イギリスにて多数のクイズ番組に出演した事をきっかけに知名度が上昇。 有名な俳優より、実力や映画のイメージに合うかどうかを重要視するローチ監督の目に止まり、メジャー映画への出演を果たしました。 初主演した映画がパルムドールを受賞した上、主人公を見事に演じきった事からデイブの人気は一気に上がり、今作をきっかけに一気に知名度を上げました。

ケイティ/ヘイレイ・スクワイアズ

ヒロイン役でシングルマザーのケイティを演じるのはヘイレイ・スクワイアズ。 ヘイレイはイギリス南部出身の女優です。今作に出演するまでの女優としてのキャリアは、複数のテレビ映画とイギリス映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』に脇役に出演したのみで、パルムドールを受賞した今作に主演した事をきっかけに知名度を上げました。 知名度では無く実力で役者を選ぶ事で有名なケン・ローチ監督に抜擢された事実だけでも素晴らしい実績ですが、難しい役にかかわらず素晴らしい演技を披露し、今後の女優としての活躍が非常に期待されています。

デイジー/ブリアナ・シャン

ケイティの娘を演じるのは、ブリアナ・シャン。今作で映画初出演を果たしました。子役ながら素晴らしい演技を披露し、可愛らしい笑顔が魅力的。 パルムドールを受賞し、世界的に注目を浴びる『わたしは、ダニエル・ブレイク』に出演した事で、今後イギリス映画だけでなく、ハリウッドにも進出するかもしれません。

ディラン/ディラン・マクキールナン

ケイティの息子を演じるのはディラン・マクキールナン。子役ながら自然な演技で息子役を見事に演じてくれます。 人生初の映画出演は巨匠ケン・ローチ監督作品。さらに、パルムドールを受賞した作品に出た事により、今後の活躍も注目されています。

カンヌ国際映画祭では異例の字幕付き上映!

イギリスのニューキャッスルが舞台の『わたしは、ダニエル・ブレイク』。実はニューキャッスルの住民は聞き取りにくいほど強い訛りの英語を使う事で知られてます。その独特な訛りを使用する人たちは"ジョーディー"と呼ばれる事でイギリスでは有名です。 リアルさを重視するローチ監督は、強い訛りを残したまま撮影する事に踏み切りました。観客が映画を理解をしてくれない事を懸念したローチ監督は、英語とフランス語の字幕を付けた事を決意した経緯があります。 また、主人公を演じたデイブ・ジョンズはコメディアンであり、字幕の事を聞かれたところ、下記のように冗談交じりに発言しております。
「字幕を付けたのは私が"ジョーディー"だからかな?」

『わたしは、ダニエル・ブレイク』がイギリスの福祉制度を変える!?

『わたしは、ダニエル・ブレイク』は生活保護を受けられない人が増えている問題をリアルに描くストーリー。 ローチ監督はキャリアを通して多数の政治的映画を製作しており、これまでも数々の論争を生み出しましたが、今作も例外ではなく、今作がきっかけで多数のイギリス国民の心に火をつけました。 映画の主人公、ダニエルとケイティのように、身体に障害がある為に働けない人や、子供の世話と仕事の両立が難しいシングルマザーなど、厳しい環境にいながらも生活保護を受けれない国民が現実世界でも増えています。 映画がきっかけで実際に政府に対して怒りを爆発させる国民が急増。政府も怒りの対応に追われており、福祉制度が実際に良くなる可能性があると、今イギリスではかなり注目されています。

映画に対してイギリスの労働年金省が激怒!!

労働者階級の苦悩を描く今作。「不公平な映画だ」と、労働年金省の秘書官を務めるダミアン・グリーン氏から映画に対する強い批判を浴びてます。グリーン氏はインタビューに対し、映画について下記のようなコメントを残してます。
「この映画はフィクションでありドキュメンタリーではない。そのため国の支援制度に一切関係していないのだ。」
「私が思うに、労働年金省に努める従業員に対して極めて不公平な映画だ。彼らは複雑で難しい仕事内容にも上手く対応し、非常に良心的である。」
また、グリーン氏はまだ映画を観たことが無いが、予告編なら何度も見ているとも発言しています。

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を監督したのは、政府に反論するケン・ローチ監督!

1960年代から映画監督として活躍してきたケン・ローチ監督。デビュー当時からイギリスの社会問題を描く作品を撮る事で知られ、特に1993年に『レイニング・ストーンズ』がカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した事でも世界的に知名度を上げました。 そんなローチ監督が、労働年金省の秘書官、ダミアン・グリーン氏から映画の批判を浴びた事に対してケン・ローチ監督が「政府は無能だ」と反撃しました。ローチ監督は記者会見にて以下のように強く反論しています。
「政府は国民に対して何をしてしまっているのかを理解していないのであれば、無能であり統治させるべきではない。もし、政府はわかっていて国民を苦しめているのであれば、統治する資格がない。」
パルムドールを受賞しただけでなく、貧困と格差社会問題をリアルに取り上げた事により、今イギリスではかなり注目を集める映画です。