2017年7月6日更新

映画『サウンド・オブ・ミュージック』の曲に込められた深い意味

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『サウンド・オブ・ミュージック』

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映画『サウンド・オブ・ミュージック』とは?

『サウンドオブミュージック』は、1965年公開のミュージカル映画です。監督は、同じくミュージカル映画の傑作として名高い『ウエストサイド物語』(1961年)のロバート・ワイズで、主演は『メリーポピンズ』(1964年)のジェリー・アンドリュースが務めました。 映画の舞台は1939年のオーストリア。家庭教師マリアと、トラップ一家の7人の子供たち、そして父親トラップ大佐との間で繰り広げられる涙あり笑いありの物語です。 ミュージカル映画の魅力は何といっても音楽です。映画の楽曲を担当した作曲家のリチャード・ロジャースと、作詞家のオスカー・ハマースタイン2世は、コンビで数々の名作ブロードウェイミュージカルを世に出しました。 『サウンド・オブ・ミュージック』の楽曲も、1959年に開幕した舞台版をベースにしています。その後、映画の成功により世界的に知られるようになりました。映画を知らない方も、「ドレミの唄」や「エーデルワイス」を、一度は聞いたことがあるでしょう。今回はそんな名曲たちに纏わるエピソードをご紹介します!

「丘は息づく」

主人公マリアは孤児で、親戚の無神論者の一家に育てられましたが、大学生の時に転機が訪れます。聖枝祭の日に聞いた教会の説教に心を動かされたのです。修道女になることを決意したマリアは、教員訓練を受けたあと、ザルツブルグにあるノンベルグ修道院に入りました。映画はここから始まります。 修道女として暮らすマリアでしたが、宗教とは無縁の環境で育てられたため、修道院の厳しいルールと日課になかなか慣れることが出来ません。修道院の外に出て美しい山々の中で歌う冒頭のシーンの裏側で、実はマリアは葛藤を抱えていたのです。 ちなみに曲名を見て、あれっ?と思われた方もいるでしょう。「丘は息づく」は「サウンド・オブ・ミュージック」の別名です。

「自信をもって」

初めてトラップ家を訪ねる道中で、マリアはこの「自信をもって」を歌います。 背景として使われているザルツブルクとザルツガンマーグート湖水地方の景色が印象的。ザルツブルクは有名な街で、映画の中でも大聖堂やレジデンツ広場、馬の噴水などの名所を見ることができます。

「もうすぐ17才」

リーズルはトラップ家の長女です。リーズルの叶わぬ初恋は、マリアにとっても向き合わなければならない課題の一つでした。リーズルは家の敷地にある展望台で、ひそかに恋人ロルフと会います。 この時に歌う二人のデュエットは、若者たちの恋愛をテーマにしています。時代を超えたテーマですね。この展望台はザルツブルグのヘルブルン宮殿に現存しています。元々、レオポルドスクロン宮殿にありましたが、アクセスしにくい場所にあったため現在の場所に移されました。

「ドレミの唄」

映画でもっとも楽しい場面の一つは、マリアが子供たちに「ドレミの唄」を教えるシーンです。「ドレミの唄」はこの映画の音楽に対する強い思いと、子供たちと家庭教師マリアの関係性を表しています。

「ひとりぼっちの羊使い」

マリアは、トラップ家の子供たちをいたずらから遠ざけるために、人形劇をしました。このシーンのルーツは、映画の舞台になったザルツブルクの人形劇場で、現在も盛んに上演されています。演目の中には人形劇版の『サウンド・オブ・ミュージック』もあります!

「エーデルワイス」

映画でもっとも心が痛む瞬間の一つは、トラップ大佐が音楽祭で、「エーデルワイス」を歌うシーン。 これはザルツブルグにある有名なコンサートホール、フェルゼンライトシューレで撮影されました。ザルツブルクでは、世界最大の音楽祭の一つであるザルツブルク音楽祭が、毎年開催されています。

「何かよいこと」

マリアとトラップ大佐のゆったりとしたデュエット曲で、映画版で新たに追加された曲です。夜のバルコニーで、2人が互いに愛を告白する、ロマンチックなシーンで使われました。

「普通の夫婦」

これも同じくマリアとトラップ大佐のデュエット曲で、舞台版のみの曲です。「普通の夫婦」が歌われたシーンは、映画版では「何か良いこと」に変更されました。

「私のお気に入り」

どんなに落ち込んだ時も、これを聞けば元気になれる、そんな曲です。劇中でこの曲が象徴するのは、マリアと子供たちの関係性の構築です。その後、ジャズの巨人ジョン・コルトレーンによってアレンジされ、同じく名曲として知られています。

「誰にも止められない」

これは“アンシュルス”(オーストリア併合)についてを歌った曲です。一見すると陽気な曲ですが、内容はハードです。ヒトラーの暴力に対してマリアたちはなすすべもありません。映画版では使われませんでした。

「すべての山を登れ」

感動的な曲で、夢を追うことの素晴らしさを歌っています。劇中ではペギー・ウッド演じる修道院長が歌っていますが、実は口パク。ペギー・ウッドはよく知られた歌手でしたが、この時すでに72歳。限界を感じ、吹き替えを別の歌手に頼みました。 しかし当時の技術では、口パクの映像と音声を合わせるのが困難でした。結果的に、歌うペギー・ウッドの顔はほとんど画面に映りませんが、それがかえってドラマチックな演出になりました。

「恋の行方は」

舞台版の『サウンド・オブ・ミュージック』をご覧になってないと、馴染みのない曲でしょう。 トラップ大佐の友人マックスと、大佐の恋人エルザの、魅力的なデュエットです。皮肉のきいた成熟した大人の曲ですが、子供には退屈だと判断されたのでしょうか?これも映画版では使われませんでした。