2017年7月6日更新

映画『ディア・ハンター』あらすじ・キャスト・ネタバレ解説【デニーロの名作戦争映画】

このページにはプロモーションが含まれています
ディアハンター

AD

映画『ディア・ハンター』!ロバート・デ・ニーロ主演のベトナム戦争映画の最高傑作

1978年公開のアメリカ映画『ディア・ハンター』(The Deer Hunter)はマイケル・チミノがメガホンをとり、ロバート・デ・ニーロが主演を務めた戦争映画の傑作です。 ベトナム戦争の過酷さを描いた本作は、アカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞など5部門を受賞しました。

映画『ディア・ハンター』あらすじ【ネタバレ注意】

ロシア系移民の町ペンシルバニアのクレアトンの製鉄所で働くマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サヴェージ)たち。3人は同じ日にベトナム戦争へ出征することになっていました。 スティーヴンの結婚式と3人の壮行会を兼ねたパーティーが開かれます。教会で行われる厳かな式の後は町の人々が集まる賑やかな披露宴。皆で踊り酒を飲み、田舎町のあたたかな一コマが映しだされます。 宴も終盤に近づいた頃、ニックはリンダ(メリル・ストリープ)にプロポーズ。パーティーの帰り道、ニックはマイケルに「大事なものは全てここにある。万一自分に何かあってもこの町に帰してほしい」と語ります。 翌朝、仲間達は皆で鹿狩りに出かけ、マイケルは見事に鹿をしとめました。 場面は一転し、ベトナムの戦場へ。マイケルは戦地でニックとスティーヴンに再会しますが、すぐに3人とも北ベトナム軍の捕虜になってしまいます。3人は連行された丸太小屋の収容所でおそろしい光景を目にすることに。 それはロシアンルーレットでした。ベトナム兵たちは捕虜に一発だけ弾の込められたリボルバーを渡し、それを順番に自らのこめかみに向け引き金を引かせる命を賭けたゲームをさせ、楽しんでいました。恐怖のあまり精神錯乱に陥るスティーヴン。 マイケルは発狂したふりをして、ベトナム兵に実弾を3発に増やすよう提案。弾の入った銃を手にしたマイケルは、隙をついてベトナム兵に反撃し、ニックとスティーヴンを連れて脱走することに成功しました。 3人が丸太にしがみついて濁流を下っているところをアメリカのヘリコプターが発見。ニックのみがヘリに救出され、マイケルとスティーブンは力尽きて川へ落ちてしまいました。 スティーブンは足を負傷したものの、かろうじて川岸にたどり着いた2人。「帰りたい」と泣くスティーブンだけを通りかかった軍のジープ乗せ、マイケルは歩いて町へ向かうことにします。 一方救出されサイゴンの軍病院に収容されたニックは、医師の問いかけにもまともに答えることができないほど強い精神的ショックを受けていました。リンダに電話をかけようとするも何かを考え込むとやめてしまい、そのままサイゴンの夜の街へ。 ロシアンルーレットの賭けに興じる集団を目にしたニック。「プレイヤーにならないか」という怪しげな男の誘いをいったんは断ったものの、何かに取り憑かれたように銃を奪い自分のこめかみに当てて撃ちます。弾は出ず、ニックはそのまま男と夜の闇へ消えていきました。 マイケルはその一部始終を見ていましたが、どうすることもできませんでした。 その後マイケルは故郷に帰還。町の人々は無事を祝ってくれますが、マイケルは以前のように人々と接する事ができません。友人とささいなことから口喧嘩になり、相手の額に銃をあてて引き金を引こうとします。 自分の心がここではない遠いどこかにあるような感覚を、マイケルは持っていました。仲間と鹿狩りに行きますが、仕留めることはできません。やがてマイケルとニックの婚約者リンダは、お互いの寂しさを埋め合うかのように結ばれます。 両足を失い病院で療養生活を送るスティーブンを訪ねたマイケルは、スティーブンの元へサイゴンから入金があることを知らされます。 ニックの生存を確信してサイゴンへ向かうマイケル。舟で川を下り辿り着いた小屋は、ロシアンルーレットが行われる賭場でした。 プレイヤーとなりロシアンルーレットに没頭するニックを発見し連れ帰ろうとしますが、彼はマイケルを覚えていないと答えます。 ニックの記憶を呼び戻すために、マイケルは自分の命を懸ける決心をします。自分もプレイヤーとなりニックと対峙するのです。 6発のうち1発の弾が入ったリボルバーが二人の間に置かれ、マイケルはニックへの思いを語り家へ帰るよう説得しながら引き金を引きます。 マイケルがかつての鹿狩りの思い出を語ると嬉しそうに微笑むニック。次の瞬間、自らのこめかみを銃で撃ち抜きました。倒れるニックを抱きかかえ泣くマイケル。 こうしてニックの遺体はマイケルによって故郷に帰され、かつてスティーブンの結婚式が行われた町の教会で葬式が行われたのでした。喪服姿の仲間たちが食事を囲み献杯を捧げるシーンで本作は幕をおろします。

『ディア・ハンター』出演のキャスト

マイケル/ロバート・デ・ニーロ

鹿狩りの名人だったマイケル。冷静な判断で北ベトナムの兵士たちから仲間を連れて逃れることができましたが、故郷に帰還した後も心に傷を背負い続けます。 ロバート・デ・ニーロは1943年ニューヨーク州出身。1973年にマーティン・スコセッシ監督の『ミーン・ストリート』への出演で注目を浴び、『ゴッドファーザー PART II』(1974)で若きドン・ヴィト・コルレオーネの役を演じアカデミー助演男優賞を受賞。この役のためにイタリア語をマスターしマーロン・ブランドの声を真似るよう練習したそうです。 『タクシードライバー』 (1976)や『ケープ・フィアー』(1991)などスコセッシ監督作品の多くに出演。実在のプロボクサーの自伝をもとに同監督がメガホンを取った『レイジング・ブル』(1980)ではアカデミー主演男優賞を受賞しました。 頭髪を抜いたり20キロも体重を増やすなど、作品に応じて徹底した役作りを惜しまないストイックな俳優として知られるデ・ニーロ。本作でも撮影数ヶ月前から舞台となったピッツバーグで偽名を使って暮らしたそうです。

ニック/クリストファー・ウォーケン

人懐こくムードメーカー的な性格だったニック。出征前には生まれ育った町への愛着を語っていました。捕虜になったことで心に深い傷を負い、サイゴンでロシアンルーレットに没頭するようになります。 クリストファー・ウォーケンは1943年ニューヨーク州出身。子役としてキャリアをスタートさせ60年代からブロード・ウェイで舞台俳優として活躍。1971年に『ショーン・コネリー/盗聴作戦』で映画デビュー後、ウディ・アレン監督の『アニー・ホール』(1977)などへの出演で徐々に有名となり、本作ではアカデミー助演男優賞を受賞しました。 現在に至るまで数多くの作品に出演。『007 美しき獲物たち』(1985)での悪役からミュージカル映画『ヘアスプレー』(2007)での主人公の陽気な父親役までシリアスからコメディまで幅広い役柄をこなす名優です。 舞台ミュージカル出身ということで、出演作品中のどこかにダンスシーンがあることの多いウォーケン。本作でも結婚式のダンスシーンではさりげなく軽やかな身のこなしを披露していますね。

スティーヴン/ジョン・サヴェージ

結婚式を終えた後に出征することになったスティーヴン。戦争で両足を失い、帰還後は故郷に戻るのを嫌い療養施設で暮らします。 ジョン・サヴェージは1949年ニューヨーク州出身。14歳から舞台俳優としてキャリアを積み、1972年に映画デビュー。本作への出演を機に注目を浴びることになります。 俳優としての活動を続けつつも、1988年から1996年まで南アフリカ共和国でネルソン・マンデラ氏のもとで反アパルトヘイト運動に参加していたとされています。 他の代表作に『カッコーの巣の上で』(1975)のミロス・フォアマン監督のミュージカル作品『ヘアー』(1979)やイタリアのホラー映画の巨匠ルチオ・フルチ監督の『ヘルクラッシュ!/地獄の霊柩車 』(1992)などがあります。

リンダ/メリル・ストリープ

出征前のニックからプロポーズを受けるリンダ。しかしマイケルも密かにリンダを想っているようです。 メリル・ストリープは1949年ニュージャージー州出身。イェール大学演劇大学院を卒業後、舞台女優として活躍。映画女優に転身しようと思ったきっかけは、ロバート・デ・ニーロ主演の『タクシードライバー』(1976)を見て衝撃を受けたからだと語っています。 本作ではそのデ・ニーロと初共演を果たし、彼はメリルのことを自分と最も息の合う女優と語りました。 ダスティン・ホフマン主演のヒューマンドラマ『クレイマー、クレイマー』(1979)、クリント・イーストウッド主演のロマンス映画『マディソン郡の橋』(1992)、アン・ハサウェイ主演のコメディ『プラダを着た悪魔』(2006)をはじめ、多くの名作へ出演し、アカデミー賞に俳優として史上最多記録である19回ノミネートされている大女優です。 彼女は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)で、アカデミー主演女優賞を受賞しました。

『ディア・ハンター』監督

マイケル・チミノ

1939年ニューヨーク州出身。テレビコマーシャルの監督としてキャリアをスタートさせ、クリント・イーストウッド主演で朝鮮戦争世代の中年男とベトナム戦争世代の若者との友情を描いた『サンダーボルト』(1974)で監督デビュー。本作『ディア・ハンター』ではアカデミー監督賞を受賞しました。 代表作にクリストファー・ウォーケン出演の『天国の門』(1980)やニューヨーク市警刑事とチャイニーズ・マフィアの死闘を描いた『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985)などがあります。2016年7月2日に自宅で死去。77歳でした。

戦闘シーンがほとんど描かれない戦争映画

ベトナム戦争映画の最高傑作とも称される本作ですが、銃撃や爆破を伴う戦闘シーンはほとんど描かれていません。戦争を描いた場面は、捕虜となった3人が北ベトナムの兵士たちからロシアンルーレットを強要されるシーンのみ。それも3時間を超える作品の中で30分ほどです。 かわりにじっくりと描かれるのは、3人の出征前とマイクの帰還後の、ペンシルバニアの田舎町での淡々とした日常の風景。過酷な経験をした帰還兵の目を通して描かれる「日常の変化」は、私たちによりいっそう戦争の悲惨さを訴えかけています。 前半の結婚パーティーや酒場での和気藹々とした様子と終盤のニックの葬儀のシーン。同じ場所と同じメンバーにもかかわらず、全く違った雰囲気のシーンです。マイケルとスティーブンの戦争体験やニックの死を挟んだ両シーンの対比に注目してください。

『ディア・ハンター』のCiatrユーザーの感想・評価を紹介!【ネタバレ注意】

戦争前後の3人の変化が悲しく虚しい

kotito07 戦争に参加するとはどうゆうことなのかを問う作品。暗いテーマを扱っているのに、あまりそうゆう印象を受けないのは(心を揺さぶられはするが)、日常をゆったりと丁寧に描いているからだろう。(それとも一人で観るのにビビって2日に分けて観たからかな?)ロシアンルーレットのシーンが取りざたされる事が多い映画だが、見所は戦争に行く前と後。悲惨な体験をした後、変わってしまった若者達が悲しく、虚しい。他国の民主制を助けるという名目でアメリカが本当にやりたい事とアメリカ国民がやらされている事が明るみに出ないのはベトナム戦争に限った事ではない。今も終わらない戦争が何のためなのか、彼らがボロボロになって得たものは何なのかを考えさせられる。

とても考えさせられる作品

Miki_Satake 高倉健さんのドキュメンタリー番組で、健さんがこの作品について触れていました。 それから気になって見たのですが、とても考えさせられる映画でした。 悲しく残虐なシーンもある作品ですが、また戦争映画に対してあまりこうゆう言い方は良くないかもしれませんが、何故だか品格や、ある種の美しさを感じました。

エンドロールが涙で見られなかった

theskinheads ロシアンルーレットっていうものを世間的に有名にした映画、らしい。 ベトナム戦争の映画ってたくさんあるけど(それもアメリカが唯一敗戦した大きな戦いだかららしい)自分の中では群を抜いて印象に残ってる大好きな映画がこれ そもそもなんでこの映画を見ようと思ったかっていうと少し興味のあったアーティストがcavatinaって曲を歌っててそれってこの映画の曲に歌詞をつけたものなんだよね。歌詞だけ見るとありがちなスロバーラード。何度も彼女を愛してるよっていうような歌詞が続くタイプの歌詞と同じだよ。 まぁ、そんな曲が理由で観たんだけど最初からその曲が流れちゃって個人的にはもういいかなとか思っちゃったんだよね。だってこの映画3時間もあるし、特に最初の1時間なんて「本当にこれって戦争映画!?」ってことを繰り返してる。まぁ、それが後々いい味を出してるくるんだけどその時は何もわからないから正直、退屈だと思ってた。だって結婚式の様子を何十分も見せられるんだもん、誰だってそう思うよ。 でも、結婚式の翌日にベトナム戦争に行くところからちょっとずつだけど惹かれていった。といっても戦争映画としては特に目立ったところはなかったけど単純に自分がそういうジャンルの映画をよく見るから惹かれたって言った方が正しい。 時間でいうとどれくらいなのかわからないけどストーリーの後半、デニーロを含めた3人が戦争から帰って来てからがまぁすごく好きなんだけど、きっとみんなそうだろうと思うんだよね。でも戦争映画でメインが戦争じゃなてその後の話っていうのってあんまりないんじゃないかな。 3人がバラバラになってね、デニーロは健全に帰ってこれたけど、1人は脚を失って、一人はロシアンルーレットをやるギャンブラーになった。 デニーロが止めに行った時向こうに唾を吐かれるシーンがあるんだけどあれはアドリブらしいっていう豆知識。 ロシアンルーレットのシーンは本当にドキドキしたよ。2人が掛けをしあうなんてね、どっちも負けて欲しくないんだから。 ネタバレ防止のためにすべては言わないけど最後みんなで歌を歌うシーンからエンドロールまでずっと涙が止まらなかったね。やっぱり人の死だとかそういうのって重いもんだよ。 エンドロールも涙で観れなかった映画って今でもこの1本だけだなぁ #ネタバレ

人生観が変わるほどの衝撃

TORABISU777 ベトナム戦争を舞台にした映画。 人生観が変わると称されるほど深く染み渡るディープな作品。俺はこれを観てからと言えば、だいぶ物腰が柔らかくなった。 少し長いけど一生に一回は必ず観ておくべき。おすすめ。 デニーロ最高!!!