2020年8月6日更新

【ネタバレ】映画「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」謎が残る結末の意味って?声優陣&あらすじも紹介

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(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
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アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」ラストシーンの意味や声優陣を紹介!【ネタバレ注意】

20年前の実写映画をアニメ映画化!

謎が残るラストシーンの解釈や豪華な声優陣が揃ったことで話題となった、2017年公開のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。 本作はもともと、フジテレビ系列の『if もしも』という1話ごとにストーリーが異なるオムニバス形式のテレビドラマ内で、岩井俊二が監督を務め制作された作品です。 その後、ドラマの内容を編集し直した実写映画版が1995年に公開。2017年に公開された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、これが新房昭之監督によってアニメ映画化されたものです。 この記事ではそんなアニメ映画版の本作について、謎が残る結末や隠された伏線、豪華な声優&スタッフ陣などについてまとめて解説します! ※この記事には『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のネタバレが含まれます。作品を未鑑賞の方、結末を知りたくない方はご注意ください。

まずは主要な登場人物&声優陣を紹介!

及川なずな/声優:広瀬すず

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
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主人公・及川なずなは、小学6年生にしては大人びた雰囲気を持つ女の子。両親の離婚やそれによる転校という現実から逃げるように、クラスの男子と駆け落ちを考えるなど、小学生にしては大胆な行動を取る一面もあります。 そんな主人公・なずなの声優を務めたのは、女優の広瀬すずです。彼女は2016年公開の実写映画『ちはやふる』で主人公・綾瀬千早役を演じました。また2019年にはNHK連続テレビ小説『なつぞら』でヒロインを務めるなど、活躍を続けています。

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島田典道/声優:菅田将暉

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島田典道は、同級生のなずなに片思いする少年です。友人である祐介には、友達を裏切らない誠実な人物だと思われています。 島田典道役を演じたのは、大人気の若手俳優・菅田将暉は。彼は2009年『仮面ライダーW』で、シリーズ最年少の初主演を果たしました。 そして2016年の映画『溺れるナイフ』での演技が高く評価され、若手実力派として評価されるように。2020年には中島みゆきの名曲をモチーフにした映画『糸』に出演しています。

安曇祐介/声優:宮野真守

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なずなに片思いするもう1人の少年・安曇祐介。父親が医者をしており、典道が怪我をした際には父親の医院で診てもらうよう勧める場面もあります。 安曇祐介を演じるのは、人気声優の宮野真守。アニメ『DEATHNOTE』(2006年〜2007年)の夜神月役や、洋画「ファンタスティック・ビースト」シリーズの主人公ニュート・スキャマンダー役の吹き替えなどで知られています。

アニメ映画版「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」のあらすじ

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
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両親の離婚がきっかけで転校することが決まった主人公の及川なずな。ある放課後、なずなは同級生の典道と祐介と共にプールの清掃を任されました。 誰も真面目に掃除をせず、遊んだりプールサイドでじっとしたりしている中、祐介は典道にどちらが先に50メートル泳げるかの勝負を提案します。そんな2人を見て、なずなはこのゲームで勝利した方と“駆け落ち”をしようと考えました。勝負は結局、祐介の勝利となります。 なずなは勝利した祐介をその日の夜開催される花火大会に誘い、“駆け落ち”を提案します。その目的は、再婚してしまう母親のもとから逃避すること。しかし母親はそんなことを許してくれるわけもなく、見つかって怒られてしまいました。 一方、勝負に勝てなかった典道は、好きな女の子が困っている姿を前にして、何もできなかった不甲斐なさを感じます。そのイラつきから典道はたまたまプールで拾ったボールを投げ捨てますが、そのとき時間が巻き戻って……。

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【ネタバレ注意】結末を解説!ラストシーンってどういう意味?

本作は夏休みが終わり、2学期の初日を迎えたシーンで幕を閉じます。このシーンはとても短く、いったいどういう意味なのか、鑑賞者の間でも疑問の声が上がりました。 ここでは、その意味深なラストシーンについて2つの解釈を紹介します。

解釈①:なずなと典道は別世界に行ってしまった

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なずなとの駆け落ちを成功させるため、「誰にも見つからない世界」を望んだ典道。そして2人は、文字通り彼ら以外には誰の姿もない世界にたどり着きます。 しかしそこに花火師が登場したことで、ここが2人以外「誰も“いない”世界」ではないことが分かりました。花火師はもしも玉を打ち上げますが、それがどんな結果をもたらしたのか明確には描かれていません。 その後に続くラストシーンを観ると、なずなと典道は“もしも”の世界に行ったきり帰ってきていないと解釈することも出来るのではないでしょうか。

解釈②:なずなは予定通り転校、典道は学校をサボった

ラストシーン。出席簿になずなの名前はなく、典道は何度も名前を呼ばれていることから、2人の状況は明らかに違うことがわかります。

なずなは当初の予定通り転校したため、出席簿に名前がないと考えるのが自然でしょう。逆に典道は本来ならそこにいるべきなので、何度も名前を呼ばれています。では彼はどこに行ったのでしょうか。 本作の最後に画面に映し出される花畑は、2人の思い出の場所です。典道は学校をサボってそこにいたと考えられます。 典道が望んだ“もしも”の世界は、花火師が打ち上げた「もしも玉」が砕けたことで現実世界に戻ったのです。そこで彼はなずなからキスをされ、彼女の好意を知りました。そして彼女のいない2学期の初日、典道は寂しさを埋めるため、最後の抵抗として学校をサボったのではないでしょうか。

【ネタバレ注意】花火が伏線だった?「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」の謎を考察

「もしも玉」っていったい何だったの?

本作の重要なアイテムである「もしも玉」は、いったいどんな力を持っていたのでしょう。

簡単に言えば、典道は「もしも玉」を使うことで“もしも”の世界に移動していきました。最初の「50メートル競争で祐介に勝った世界」や、最終的にたどり着いた「誰にも見つからない世界」がそうです。 ここで注意しなければいけないのは、「もしも玉」のちからは“時間を巻き戻すこと”ではない、ということです。“もしも”という現実とは違う世界に移動していく典道たちは、だんだんと現実から遠ざかっていきました。

花火のかたちが伏線になっていた!

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
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「打ち上げ花火は、下から見たときと横から見たときでは形が違うのか?」という疑問は、本作ではタイトルになるほど重要な問いです。実はそこに、作品を読み解く伏線がありました。

現実世界で見られるような昔ながらの丸い打ち上げ花火は、球体の花火玉の中に「星」と呼ばれる火薬の玉がぎっしりつまっています。そのため下から見ても横から見ても、もし上から見たとしてもそのかたちは遠円形です。 しかし作中では、平べったい形の花火が登場するシーンが。円形でない花火は、その世界が現実ではないことを示していると考えられます。

「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」は元々オムニバス作品の1つだった

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、もとはフジテレビ系列で放送されていたオムニバス形式のテレビドラマ『if もしも』の作品です。 『if もしも』は、2020年現在もスペシャル番組として放送されている『世にも奇妙な物語』の、レギュラー放送終了後の枠で流されていたドラマ番組。1話ごとにストーリーが異なり、ドラマに登場する人物が「もしもこの時、別の行動をとっていたら?」という“もしも”の世界が描かれるドラマです。 その中の岩井俊二監督による『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、オムニバス作品の1つでありながら「日本映画監督協会新人賞」を獲得し、のちに実写映画として作り直されました。

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【ネタバレ注意】1995年に公開された実写映画版のあらすじと結末

実写映画版では、主人公たちの年齢設定は小学6年生となっています。勝負に祐介が勝ち、なずなが“駆け落ち”を提案。祐介が約束をすっぽかし、典道が不甲斐なさを感じるところまでは、アニメ版でも踏襲されています。 しかしここでアニメ版に出てくる不思議なボールは登場せず、プールでの競争で典道が勝った場合の物語がスタート。 典道となずなは花火大会に行くことになります。そして、祐介と同じく「駆け落ちしよう」と言われるのです。典道は話に乗りますが、なずなは急に「やっぱり帰る」と言い出しました。その後プールに忍び込んだ2人は、服が濡れるのもかまわずはしゃぎます。 その帰り道、典道は祭りに来ていた学校の先生に「花火は横から見たら丸いのか」と尋ねました。先生は彼を花火師の所に連れて行き、真上に打ち上がる花火を見せてくれます。 ちょうど同じ頃、祐介も灯台に登ってその花火を真横から見ていました。そこで少年たちは、花火が下から見ても横から見ても丸いことを知るのです。

アニメ映画版の豪華なスタッフ陣を紹介!監督は「まどマギ」の新房昭之

アニメ映画版の本作で監督を務めたのは、数多くの人気作品を手がけた新房昭之です。彼の代表作であるアニメ『さよなら絶望先生』(2007年〜2009年)は、文化庁メディア芸術祭でアニメーション部門審査委員会推薦作品を受賞。 また同じく彼が監督を務めた大人気アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)は、劇場版が深夜アニメ初の興行収入20億円突破を記録するなど、高く評価されています。 独特な表現を用いる新房昭之監督の作風は、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』でも発揮されました。 脚本を務めたのは、今作で初めてアニメ制作に携わった大根仁です。彼の手がけた人気漫画の実写化映画『バクマン。』(2015年)は、全国300スクリーン以上で上映され、累計興行収入13億円を超えました。 また興行収入21億円を超えた森山未來主演の映画『モテキ』(2011年)でも脚本を務めています。

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圧倒的な映像美!制作会社は「まどマギ」のシャフト

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
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『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のアニメーション制作を行ったのは、先ほど紹介した新房昭之のもと、劇場版『魔法少女まどか☆マギカ』や「絶望先生」シリーズを手がけた会社「シャフト」です。 特に本作で注目すべきはその映像美。リアルな水の描写や打ち上がる花火の美しさには、ついつい見とれてしまうほどです。 新房昭之監督がシャフトと組んで制作した作品は、色彩や文字、背景の小道具を使った独特なアニメーション演出が特徴的で、多くのファンの支持を集めています。

主題歌は米津玄師×DAOKOによる「打ち上げ花火」

アニメ映画版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』では、米津玄師が作詞作曲・プロデュースを務めた主題歌も大きな話題となりました。 彼は女性アーティストのDAOKOと共に、独特で切ないメロディの主題歌「打ち上げ花火」を歌い上げています。 また映画の挿入歌として、もとになったテレビドラマの主題歌「Forever Friends」をDAOKOがカバーした楽曲も使用されました。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で描かれるノスタルジックな夏

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

小学生の淡い恋をテーマに、誰もが1度は考える“もしも”の世界を描いた『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。本作はそのミステリアスなストーリーと、美しい映像が見どころとなっています。 ぜひ夏のノスタルジックさを感じさせる本作を観て、懐かしさに浸ってみてくださいね。