2017年1月17日更新 6,333view

映画『この世界の片隅に』が面白い20の秘密

口コミで広がりを見せ続ける『この世界の片隅に』。作品をより楽しんでもらうためにあらすじ、考察から映画では描かれなかったエピソードまで、『この世界の片隅に』が面白い20の秘密をご紹介します。

全国拡大中!映画『この世界の片隅に』

2016年11月12日より公開された映画『この世界の片隅に』。SNSの口コミで広がりを見せ続ける、こうの史代原作の映画『この世界の片隅に』が面白い20の秘密をご紹介します。

映画『この世界の片隅に』あらすじ

第2次世界大戦真っ只中の1944年、絵が得意で天真爛漫な少女・浦野すずは広島市江波から呉市の北條周作のもとへ嫁ぎます。戦争で物資が不足する中、不器用ながらも工夫をこらし、人々と協力し合い”普通”の暮らしを守ろうとするすずですが…。

1.原作はこうの史代による漫画

『この世界の片隅に』

原作者のこうの史代は広島出身の漫画家です。出世作の『夕凪の街 桜の国』では被爆者の戦後の人生を描き、手塚治虫文化賞を受賞しています。

今作の『この世界の片隅に』は、2006年から2007年にかけて主人公・浦野すずの幼少期がテーマの3編の短編作品を発表したあと、”漫画アクション”にて2007年1月から2009年に連載されました。単行本は上・中・下巻と前編・後編の両形式で発売されています。

2009年には第3回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞しています。

2.こうの史代の亡き祖母への思いから描かれた話だった

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(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

この作品が生まれたのは、呉に住み戦火を生き抜いた、こうの史代の亡き祖母への思いからだったそうです。

原作者・マンガ家「祖母からは、ちょっとだけ呉戦災の話は聞いたことがあった。
でも私は、あまりそれをまじめに聞いてこなかった。
祖母は亡くなって聞くことはできない。
そこらへんの後悔の念はあった。

祖父母とか、話をできなくなってしまった人々と、書くことで対話をしているような、そういう人たちのことを追いかけるように丁寧に書ければいいなと思った。」

こうして、こうのは当時の暮らしや道具など材質まで細かく調べ、この作品が描かれたそうです。

3.監督・片渕須直が6年の歳月をかけ映像化

監督・片渕須直が2012年にTwitterで制作発表をしました。

片淵は初めて原作に読んだ時、映像化への強い思いを抱いたそうです。

「原作を読んだとき、すずさんがとても愛らしく、愛おしく、健気に思えました。戦争はそんな人の上にも容赦なく爆弾を落とす。その感触を表現したいと思ったんですが、大型出資は見込めなかった。そこで作品に込める熱を関係者やファンに理解してもらうことから始めました。まずは広島取材の経過や、原作の素晴らしさを報告するイベントを1年間、続けたんです」

ここから、片渕須直は6年もの歳月をかけこの作品を完成させました。

4.クラウドファンディングで約4000万円を集金

2015年3月に、スタッフ確保や出資企業を募るためのパイロットフィルムの制作のために、クラウドファンディングサイト・Makuakeで支援者を募集しました。2000万を目標に開始された資金調達は、最終的に3912万1920円を調達し、支援者は3374名となり、その後、2015年6月に製作委員会が発足し映画制作が正式に決定しました。

5.忠実に再現された当時の街並み

『この世界の片隅に』劇中写真

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

当時の広島・呉を再現するために、片渕は何度も広島に足を運び調査をしました。時には深夜バスで現地に向かい、その日の深夜に東京に帰ってくる日もあったと言い、何度行ったか数えたらきりがないそうです。

6.熱意に動かされ”映画を支援する会”が発足

作品化のためのイベントや、広島に何度も訪問した片渕の熱意に動かされ、広島では”映画を支援する会”が発足されました。戦争を体験した市民の方が町の再現に協力。中には貴重な写真を提供してくれる方もいました。

8.作中には協力してくれた市民の姿も


片渕は、戦火を生き抜いた市民の話を聞き、街並みだけではなく、協力してくれた市民やその家族も作中に描きました。普通の人たちがいた事、そこにいた人の気持ちがわかる、と観客に思ってもらうものを描きたかったそうです。

9.”のん”改名後、初の出演作品


元・能年玲奈こと”のん”が改名後、初めて出演した事でも話題となりました。また、広島弁に挑戦し演技の評価も得ました。

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2016.12.06 立川シネマシティ 極上音響上映
これまでに見た戦争映画ドラマアニメとは違い淡々と”普通に生きようとする”人々の暮らしをリアルに描いているという印象。
予告を見た時は「のんwww」ってなってしまったのですがいざ見てみるとすずさんの雰囲気ピッタリでした。
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感情の波に揺られて溺れそうだった。映画でこんなに泣いたことがなかった。
序盤はすずさんの穏やかな声と相まって展開は早々としていたのがわざとなのか、尺が足りないのかどちらせよ、ぼーっとしていると言われるすずさんらしくて良かった。柔らかなタッチの絵に、のんさんの優しい声が合っていた。

また、のんの抜擢理由について

片渕監督の抜擢理由が、「コメディ演者としての自覚や表現へのこだわりが強く、生活感をフラットに出せる演者であったこと」とあったように、主人公すずのコミカルでおおらかな性格にぴったりフィットした抜擢は、大当たりでした。

とあり、観客も納得するほど主人公・すずのおおらかな性格にピッタリのキャスティングでした。

11.主人公・すずが見た風景

『この世界の片隅に』

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

『この世界の片隅に』は主人公・すずの”私小説”のような物語です。天真爛漫なすずを通してみる情景は、緊迫した戦時下でものんびりとした優しく、幻想的な風景が描かれています。

11.当たり前の日常を懸命に守る人々

『この世界の片隅に』劇中カット

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

物資が高騰し生活を圧迫していく中、人々が協力し合い、知恵と工夫で少しでも日常を守ろうとする人々の姿が淡々と描かれています。

『この世界の片隅に』劇中カット2

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

北條家や浦野家の食事シーンは作中で何度も描かれ、お米と漬物のみの質素なご飯でも、そこには普通の日常があります。

12.迫りくる厳しい現実

『この世界の片隅に』劇中カット4

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

”普通”の女性の生活を描くことで、戦時中の厳しさを際立たせる演出が取られています。

ささやかな生活を守ろうとするも、徐々に失われていくさまが”すず”の生活感覚の中に描かれることで、静かに重苦しさが伝わってきます。

12.”結婚”から始まる恋愛物語

戦時中の日常生活を描いた作品ではありますが、同時にすずと周作の恋愛映画でもあります。見知らぬ家に嫁入りした”すず”が、日常生活や苦楽を共にすることで周作に惹かれ、”本当”の家族になっていく様子も見所の一つです。

13.すずの心の変化

絵を描ことで自分の居場所を見出していたすずは腕を失った事で、声を出して自分を表現するようになります。
夫と口喧嘩をしたり、姑に甘えたり出来るようになったすずはようやく『この世界の片隅に』自分の居場所を作り出したのでしょう。

14.復興の希望・ヨーコ

ラストシーンで、広島の焼け野原を彷徨っていた孤児・ヨーコ。すずと周作はヨーコを連れ家へと帰りました。エンドロールでは少し成長したヨーコが、すずと径子に洋服を作っているシーンがあります。モンペや着物ではなく”洋服”を作り上げていく様子は、戦後の日本の復興と重なって見えないでしょうか。

ヨーコは子供ができないすずと周作にとっての娘、空襲で我が子を失った径子には我が子のような、希望を象徴する特別な存在なのだと思います。

15.傘の問答はなんだったのか

嫁入り前のすずが祖母・イトより、新婚初夜に婿から「傘を一本持ってきたか」から始まる問答を教えてもらうワンシーン。
この問答は、新婚初夜の夫婦が意思疎通をするための”合言葉”です。

実際に昭和初期の日本には”柿の木問答”という、「あんたのとこ柿の木あるの」から始まる問答があり、イトが教えた傘のやりとりは、これの一種だと考えられています。

16.大切な友人だったリン

映画では一度きりの出会いとして描かれていた遊女・リンとの関係ですが、原作では、すずが呉の中心街へ行くと必ず会う大切な友人として描かれています。
しかし、大空襲でリンが働いていた朝日遊郭の瓦礫の中に、りんどう柄の茶碗の欠片が落ちていた事から、大空襲で亡くなったことが伺えます。

17.座敷わらしの正体

すずの幼少期、親戚の家で昼寝をしているときに天井裏から現れた座敷わらしはリンだと考えられます。実際、リンだと明言されてませんが、作中でのセリフは回想シーンなどから正体はリンだと考えられます。

18.原作では複雑な三角関係

映画では省略されている、周作と遊女・リンの関係。周作はすずと結婚する前に、リンに熱を上げ妻に迎えようとしていました。しかし、家族の反対にあい、すずと結婚することになります。結婚後、周作の過去の縁談話や”りんどう柄の茶碗”、リンが見せてくれた大学ノートの切れ端などから、すずは周作とリンが過去に関係があった事に気付くのでした。

19.フォトブックや公式ガイドブックなど発売

フォトブック

すずの声を担当したのんのフォトブック『のん、呉へ。2泊3日の旅』が2016年12月14日に発売されています。のん自身の案で『この世界の片隅に』に登場する広島・呉市で撮影されたもので、もんぺを製作する様子などが掲載されてるのだとか。

また、公式アートブックや劇場アニメ公式ガイドブックも発売しています。

公式アートブックはアニメの製作過程や時代背景の説明・解説、漫画原作の設定資料集などが掲載されており、公式ガイドブックでは、映画製作の裏やロケハン写真のほかに、監督・片渕須直や原作者・こうの史代などのロングインタビューも掲載。映画をより理解するのにピッタリではないでしょうか?

20.『この世界の片隅に』の感想

『この世界の片隅に』感想

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
Rockin_Wild
当時の生活をそのままリアル描いてる。リアルだからこそ、何気ないほのぼのとした雰囲気や喪失感がまじまじと伝わる。リアルだからこそ、戦争の怖さがひしひしと感じる。どんな生活があって今があるのか、日本人には絶対見てほしいと思う。すずのおっとりとした性格がよく出ていて、能年玲奈さんを抜擢したのは正解だと思う。上手に、芝居がかってないリアルな演技をしていて引き込まれた。
coli321
テーマとしてはこれまでにもたくさん触れてきたはずなのに、とても斬新だった。戦時中はみんな強くたくましかったと勝手に思っているけど、本当は今と同じように、すこしどんくさい普通の女の子や猫もいて、恋もして、空襲警報の空振りにうんざりするような、平凡な日々があったということが分かる。それがより、戦争への恐怖を感じさせる。
flowermurmur
試写
原作漫画をそのままフルカラーにしたような世界観。悲惨さより戦時下の市井の人々がどう暮らしたかを描いた映画。わたしの中のすずちゃんそのものがスクリーンの中にいた。幸せが逃げていかないように、今すぐその左手で右手を握って。そっと、きゅっと。
いやでも、リンさんのノートの切れ端エピソードはバッサリカットですか。ノートは出てきたのに!ところどころセリフが聞き取れない部分もあり。原作読んでないと理解が難しい会話も(それが作風なのですが)。号泣するかと思ってたけどそれほどでもなかったなあ。

2回目
「うちはよくボーッとしてる子じゃあ言われとったけぇ」冒頭のたったこの一言で、2次元の主人公に命が吹き込まれる。なんだろうこの映画は。原作ものはたいていどこかしら失敗するものだけど、これに関しては非の打ち所がない。ずっと心の奥にしまっておきたい。
原作を知らない人のために言っておくと、本来リンさんはあんな何のために出てきたのかわからないような役どころではないのだ。そのエピソードがあって、すずちゃんの周作さんに対する気持ちっていうのが響くんだけどなあ。わたしが一番泣けるのは、嫁入りの夜です。
3回目
極上音響上映にて。この映画はシネマシティで観ないと罰が当たると思ってました。爆撃シーンの音のリアルさで改めて「あ、これ戦争映画だった」って思い出した。もし誰かがこの世界の片隅にわたしを見つけてくれるのなら、左あごにホクロを描いてみようかと思う。

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