2017年7月6日更新

『宇宙人ポール』隠れ名作SFコメディ映画の魅力を大紹介【ネタバレあり!】

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宇宙人ポール

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おもしろトリオが生み出す名作SFコメディ映画『宇宙人ポール』の魅力

サイモン・ペッグ、ニック・フロストが脚本、出演を担当、セス・ローゲンが宇宙人ポールの声で登場する『宇宙人ポール』はSFコメディの隠れた名作です。“ばかばかしい”と思うも“面白い”と思うもあなた次第?! 様々なSF映画のパロディーも出てくるので、それを探しながら観てみるのも楽しいかもしれませんね。パロディーの元ネタも後程いくつかご紹介します。まずはざっと本作あらすじから見てみましょう。

『宇宙人ポール』のあらすじ

2人のイギリス人SFオタク、グレアムとクライヴが休暇でアメリカ、サンディエゴで開催された〝コミコン〟に出かけた後のこと。キャンピングカーをレンタルし、UFOがよく目撃される場所へと向かいます。 ロズウェル付近で2人は車が衝突するのを目撃し、ポールと名乗る緑色の小さな生物と遭遇。ポールは政府諜報員に追われているので、逃れるため2人に助けてほしいと懇願します。 諜報員らは60年以上も彼を監禁していたということでした。こうして宇宙人映画お決まり満載の波乱万丈の旅が始まるのです。

『宇宙人ポール』のキャスト

グレアム・ウィリー/サイモン・ペッグ

ブロックワースに生まれたイギリスの俳優、作家でありコメディアンのサイモン・ペッグは1990年代の初頭にロンドンに移り、お笑いとして成功し始めます。 それに続いてドラマでも数々の役をもらい、1999年には、ジェシカ・ハインズとエドガー・ライト監督のカルトシチュエーション・コメディ、『スペースド』を共同で脚本を担当し、出演も果たしました。このシリーズにはペッグの親友ニック・フロストも主演しています。 彼の映画でのブレイクはゾンビもののラブコメ、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(日本劇場未公開)。エドガー・ライトと共同で脚本を担当し、またしてもニック・フロストが主演しています。この3人組は『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-』(2008)でも大成功を収めています。 さらなる大成功といえば、特に象徴的なのが『スター・トレック』(2009)のモンゴメリー・スコット、通称〝スコッティー〟。そしてもう1つがトム・クルーズ主演の大人気スパイシリーズ『ミッション:インポッシブル3』(2006)と『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)のイーサン・ハントをサポートするベンジー役でしょう。

クライヴ・ゴリングス/ニック・フロスト

『宇宙人ポール』(2011)でクライヴを演じたニコラス・ジョン・フロスト通称ニックは、イギリス人俳優、脚本家であり、コメディアンでもあります。 サイモン・ペッグと大の仲良しで、様々な作品で共演。イギリスのコメディ映画、スリー・フレーバー・コルネット三部作『ショーン・オブ・ザ・デッド』(日本劇場未公開)、『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-』(2008)、『ワールズ・エンド酔っぱらいが世界を救う!』(2013)などの作品で有名です。 彼は以前フィンズベリー・パークに住んでいたことがありましたが、そこは『ショーン・オブ・ザ・デッド』の撮影場所にもなりました。 カトリックとして育てられた彼はイギリスのサッカーチーム、ウェストハム・ユナイテッドのファンでもあり、ラグビーもやっていて、以前はバーキングRFCというチームでプレーしていたそうです。2011年6月22日には息子が誕生しました。

ポール(声)/セス・ローゲン

俳優、コメディアンで作家でもあるセス・ローゲンは10代の頃から長いこと笑いの分野で活躍していた人物です。彼はカナダのバンクーバー生まれで、16の時にバンクーバーアマチュアコメディーコンテストで準優勝しました。 ジャド・アパトーの『フリークス学園』(2002)ケン・ミラー役でテレビドラマ初出演を果たします。このドラマは長くは続きませんでしたが作品自体の評判は上々でした。 しばらくヒットには恵まれませんが、アメリカのコメディショー『アリG』に幼なじみのエヴァン・ゴールドバーグと共同脚本家としてセカンドシーズンからラストまで参加し、脚本家チームはエミー賞にノミネートされています。 近年ではダニー・ボイルがメガホンをとった『スティーブ・ジョブズ』でアップルの共同設立者の1人スティーブ・ヴォズニアックを好演し、高い評価を得ました。

エージェント・ゾイル/ジェイソン・ベイトマン

ジェイソン・ベイトマンはアメリカのテレビ、映画で活躍する俳優で、シチュエーション・コメディ・ドラマ『ブル~ス一家は大暴走!』のマイケル・ブラスや『ヴァレリー』などで知られています。 1980年代中頃に18でディレクターズ・ガイド・オブ・アメリカの最年少監督になり、その時『ヴァレリー』でトータル3話の監督を手がけました。 2000年代は鳴かず飛ばずで苦労しましたが、2005年にミュージカル・コメディー、テレビシリーズ、『ブル~ス一家は大暴走!』でゴールデングローブ賞、主演男優賞他を獲得、ノミネートされることになります。 彼の妻は女優アマンダ・アンカ(歌手ポール・アンカの娘)で、幸せな家庭を築いています。2006年10月28日ロサンゼルスで初めての子どもフランチェスカ・ノラ・ベイトマンが生まれ、一家はカリフォルニア州ロサンゼルスに暮らしているそうです。 近年では、2016年公開され大ヒットを記録したディズニー映画『ズートピア』でキツネの詐欺師ニック・ワイルドの声優を務めていました。

若い頃のタラ・ウォルトン/ミア・スタラード

ミア・スタラードはニューメキシコ出身の女優で、5歳から役者としてのキャリアをスタートさせます。彼女はタオスのスーパーで南東で最も大きなスカウト会社にスカウトされたそうです。 スカウトされた後『オフ・ザ・マップ』に出演、それをきっかけにテレビや映画の仕事が広がっていき、11歳の時初めてホラー映画『7デイズ』に主演を務め、同年の後半にミアはアテナ賞を受賞しています。 その後デニス・ホッパーの相手役(ドラマ『クラッシュ』)やジャッキー・チェンの相手役(『ダブル・ミッション』)、ジェシカ・アルバの相手役(『アイ』)などを次々と務めるなど現在期待の若手女優です。

『宇宙人ポール』元ネタ

その1:『スター・トレック』

サンディエゴのコミコン会場で、グレアムとクライヴは『スター・トレック』オリジナル版のテレビシリーズのあるエピソードをスクリーンで観ています。 キャプテン・カークがゴーンという名の緑色のエイリアンとヴァスケス・ロックで戦っているシーン。これはテレビや映画史上最もひどい戦いのエピソードとして有名なシーンの1つです。 ちなみにグレアムとクライヴはそのあとヴァスケス・ロックに写真を撮りに行きます。もちろん一人がゴーンのマスクを被って戦いのシーンの真似をして。

その2:『E.T.』

二人はポールと出会った後、旅に向けガソリンを入れるためスタンドに立ち寄ります。そこでポールはチョコのおかしリーシズピーシズ(Reese's Pieces)をせがんでいました。これは明らかにスティーブン・スピルバーグ監督作『E.T.』へのオマージュでしょう。

その3:スピルバーグ

スティーブン・スピルバーグに関して言えば、本作の中に他にもオマージュがいくつか出てきます。ある小さな町で3人がコミックショップへと歩いているシーンでのこと。背景の映画館で上映されている映画がスピルバーグの名を世界に知らしめた名作スリラー『激突!』でした。 またフラッシュバックのシーンで、ポールがスピルバーグと電話で話すのですが、その時スピルバーグの『レイダース/失われたアーク』に出てくるエリア51に座りながら『E.T.』に関するアイディアを伝えていたのです。 (さらに話しは『インディ・ジョーンズ』、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』にまでおよびます)

その4:『スター・ウォーズ』

我らがヒーローたちがバーに入っていくとハウス・バンドが『スター・ウォーズ』に出てくる定番の酒場曲を演奏しています。細かい演出がイキですね。

その5:『フラッシュ・ゴードン』

ある時、クライヴはミン皇帝のTシャツを着ていますが、これは『フラッシュ・ゴードン』の悪党が元ネタでしょう。

その6:『X-ファイル』

キャンピングカーの駐車場で、ポールが二人にモルダー捜査官(『X-ファイル』)は自分のアイディアだったと伝えるシーンがあります。

その7:『タイタニック』

グレアムのキャラクターはアーティストという設定で、クライヴの運転中、キャンピングカーの後ろでポールの絵を描くシーンが出てきます。その時ポールは、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』でディカプリオがウィンスレットの絵を描くのでおなじみのシーンをパロディしていました。

その8:『未知との遭遇』

花火屋さんで一行は“ペンタトニック―5つの音色”という名の花火を購入します。その花火からは、スピルバーグの『未知との遭遇』のかの有名な5音音階が流れていました。(この場面の最初で聞こえます)。

『宇宙人ポール』エンディング【ネタバレ注意!】

楽しかった珍道中はとうとう終わりの時を迎えます。ポールはタラに一緒に来て欲しいとお願いし、タラはそれを聞き入れます。クライヴは書いていた原稿をポールに手渡しますが、それを読んだ彼の感想はまずまずで、将来性はほとんどないと言われてしまいました。 しかしポールはそれを帰りの宇宙船で仲間のエイリアンに見せてみます。すると〝3つのおっぱい︎すげ〜︎〟と叫びます。別れを惜しみ、宇宙船はついに遥か彼方へと消えていきました。 その2年後グレアムとクライヴは再びコミコンの会場にいます。しかし今回はただのオタクではなく、2人は〝ポール〟という大ヒットコミックの大人気著者として。2人はアダム・シャドウチャイルドに紹介されステージに上がり、ルースとパット・スティーブンソンは歓声を上げて2人を迎えるのでした。