2017年11月17日更新

映画『愚行録』あらすじ・キャスト・ネタバレ評価【クセになるイヤミスが映画化!】

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愚行録

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『愚行録』が映画化!直木賞候補にもなった話題作ミステリー

貫井徳郎原作の小説『愚行録』は、2006年には第135回直木賞候補作に選ばれるなど高い評価を受けたミステリー。貫井作品はこれまでに4度直木賞候補になっていますが、本作は初めて直木賞候補になった作品です。 端から見て幸せに溢れていた一家を襲った悲劇と、その事件を追う記者。複雑な人間関係が絡まり合い、事件は意外な方向へと向かいます。「映像化不可能」と作者自身が述べていた戦慄のミステリーが、2017年2月18日に公開されました。 記事の後半で映画『愚行録』についてネタバレ解説しております。

小出恵介の活動停止により映画『愚行録』の上映が中止に

2017年2月18日より公開された本作ですが、6月から2つの劇場で上映されることが決定していました。そんな中、未成年との飲酒行為・不適切な関係を認め芸能活動を無期限停止した小出恵介の話題が世間を駆け抜けました。 『愚行録』に小出が出演していたことから、配給会社は本作の上映を中止に。上映予定だった山形県の映画館フォーラム東根と、飯田橋にあるギンレイホールは代替作品を探すなどして対応しているようです。 小出は他にも6月10日から放送スタートだったNHKの『神様からひと言』で主演を務めており、Netflix配信ドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話』では明石家さんまの若いころを演じることが決定していました。これらの企画はすべて白紙になり、各メディアは対応に追われています。

『愚行録』のあらすじ

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(C)2017「愚行録」製作委員会
ある家族を襲った凄惨な殺害事件。その被害者である田向家は、エリートサラリーマンの父親に美しい母親、礼儀正しい娘、という誰もが羨む理想の家族そのものでした。一家を殺害した犯人の手掛かりはつかめず、捜査は難航します。 そんな田向一家惨殺事件の真相を追う週刊誌の記者・田中武志(妻夫木聡)。幸せで何一つ問題点がなかったように思えた一家でしたが、実は夫妻にはそれぞれ闇があり、それは彼らを取り巻く人間関係につながっていることがわかってきます。 取材を重ねるごとに夫妻の秘密を暴いていく田中ですが、一方で彼のプライベートにもひとつ問題がありました。妹の光子(満島ひかり)が娘の育児放棄をした罪で逮捕されていたのです。嫉妬、憎しみ、恨み、負の感情が渦巻き、事件は予想外の展開を迎えますが……。

事件を調査する週刊誌記者に扮する主演キャストは妻夫木聡

田中武志/妻夫木聡

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© 2017『愚行録』製作委員会
迷宮入りした一家惨殺事件を取材する週刊誌記者の田中。本作の主人公である彼は、被害者である田向一家の周辺人物へ聞き込みを開始し、犯人の正体に迫ります。一方プライベートでは妹の光子が起こした事件に悩まされているようですが……。 演じる妻夫木聡は、人間の愚かしさに焦点を当てた本作の出演について並々ならぬ意欲を持って演じたようで、インタビューでは「この泥沼に浸かることに決めました」という気合いの入ったコメントをしています。 妻夫木聡は1980年12月13日福岡県出身。2001年の初主演作『ウォーターボーイズ』で人気に火がつき、2010年の『悪人』では日本アカデミー賞を受賞。シリアスからコメディまで幅広く演じ分け、今や国民的俳優と言っても過言ではないほど、人気と実力を兼ね備えた日本を代表する俳優の一人です。

実力派女優の満島ひかりが参戦

田中光子/満島ひかり

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© 2017『愚行録』製作委員会
田中の妹。自分の幼い娘の育児放棄をして衰弱死させた疑いで逮捕される光子。しかし、彼女の胸中には娘への憎しみはまったくなく、むしろ彼女の抱える悲しい過去と劣等感が悲劇を生んだ原因になっています。 兄・武志役の妻夫木聡とは映画『悪人』やTVドラマ『若者たち2014』などで何度か共演している満島ひかり。そのため今回の兄妹役も問題なく演じることができたようです。愛憎渦巻く物語ですが、本人は気負うことなく「リラックスしてやりたい」とクランクイン前にコメントしています。 満島ひかりは1985年11月30日沖縄県出身。アイドルユニットFolder5のメンバーとして人気を集め、グループの活動休止後に女優デビュー。2009年に公開された園子温監督の『愛のむきだし』で注目された後、様々な映画・TVドラマに出演して高い演技力を見せ、2016年に主演したTVドラマ『トットチャンネル』は大好評を博しました。

脇を固める実力派キャストたち

田向浩樹/小出恵介

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© 2017『愚行録』製作委員会
田向一家惨殺事件で命を落とした父親・浩樹。優秀なエリートサラリーマンですが、一方ではその強すぎる正義感から、後輩をストーキングしていた男の郵便物を抜き取っていたり、罪をかぶせてそこに住めなくしてしまう仕打ちも行うなど、田中の取材で彼の嫌な部分が露わになって来ます。 演じる小出恵介は1984年2月20日東京都出身。2005年の映画『パッチギ!』に出演し、その後は『のだめカンタービレ』や『ROOKIES』などの人気TVドラマの出演で人気を集めました。本作では優秀で好感度の高いエリートサラリーマンの、隠された暗い一面をどう演じるのか注目されます。

田向友季恵/松本若菜

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浩樹の妻で同じく事件の被害者。旧姓は「夏原」でした。「美しい」「清楚」と周りからは称賛され、憧れの目で見られることも多い完璧な主婦だった友季恵。一方では大学時代に男子学生達から「公衆便所」とあだ名されていた同級生の女友達を、そのあだ名を知りながら悪びれもなく男子学生達に紹介し続けていたことがわかります。 演じる松本若菜は1984年2月25日鳥取県出身。2007年に特撮の『仮面ライダー電王』で女優としてデビュー。その後は2009年に公開された映画『腐女子彼女。』で初主演を務めます。松本若菜の美貌は作中で「美しい」「清楚」と周りから憧れを持たれる友季恵役にぴったり。友季恵の悪意を彼女がどのように演じるのか楽しみです。

宮村淳子/臼田あさ美

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© 2017『愚行録』製作委員会
友季恵の学生時代の同級生で、夫の浩樹も知る人物。田中は彼女に取材をすることで、清楚だと思われていた友季恵の性悪な一面を知ることになります。様々な人物が登場する本作ですが、宮村はその中でもキーパーソンであると言っても過言ではないでしょう。 演じる臼田あさ美は1984年10月17日千葉県出身。『CanCam』の専属モデルなどを経て女優となり、2004年には園子温監督の『ノーパンツ・ガールズ〜Movie Box-ing2〜 「大人になったら」』で映画初主演を果たします。その後は多数の映画やTVドラマに出演し、バラエティ番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』のレギュラーとしても活躍中です。

稲村恵美/市川由衣

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© 2017『愚行録』製作委員会
浩樹の大学時代の恋人。一家惨殺事件の真相を追う田中が取材した人物の一人です。浩樹が恵美とまだつきあう前に、恵美につきまとっていた元カレを嫌がらせで撃退しましたが、一方では恵美と交際を開始した直後から別の女性ともつきあっていたことを田中に話します。 演じる市川由衣は1986年2月10日東京都出身。読者モデル、グラビアアイドルを経て2003年に映画『呪怨』で女優デビューを果たします。2015年に結婚し、翌年に第一子を出産。2014年の『海を感じる時』では美しいヌードを初披露するなど、女優業に磨きをかけています。

尾形孝之/中村倫也

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© 2017『愚行録』製作委員会
淳子の大学時代の恋人で、友季恵が淳子から略奪し、一時期友季恵ともつきあっていたことがあります。彼は淳子が友季恵よりも身勝手な女性で、そのために彼女より優しい友季恵を選んだのだと田中に語ります。 演じる中村倫也は1986年12月24日東京都出身。2005年にダンカン監督の映画『七人の弔』で映画デビュー後、2009年の映画『沈まぬ太陽』や2013年の『そして父になる』に出演しています。

犯人は一体誰?『愚行録』の"3度の衝撃"とは

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(C)2017「愚行録」製作委員会

衝撃その1 光子に関する事実

武志が惨殺事件に関する取材を続ける中で明かされるストーリーと、妹である光子のストーリーとはリンクしていないように見えます。ですがこれらが同時に語られることで衝撃的な事実が明らかになります。

衝撃その2 殺人の犯人は一体誰…?

迷宮入りとなった惨殺事件の犯人は一体誰なのでしょうか?さらに武志が惨殺事件を取材する時間軸でも一つの殺人が発生します。突然のことなので絶対に目を離さないでください。誰が誰を殺すのか、ぜひ確認してください。

衝撃その3 ○○と○○との関係性

とある人物と人物との関係性が明らかになります。愚行に至る原動力とも言えるある事実が語られたその時、衝撃と共に悲しみや様々な感情が押し寄せてきます。 記事最下部でネタバレを全て紹介します。

ベネチア映画祭にも邦画唯一の長編作品として選出!

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© 2017『愚行録』製作委員会
第73回ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出されるという快挙を成し遂げた『愚行録』。今回の長編映画部門では本作のみで、2016年9月にはワールドプレミアとして現地での上映が行われました。 700名の観客の前で初公開された本作は、上映後に5分間の拍手で絶賛され、ベネチア映画祭で好評だったようです。ワールドプレミアには満島ひかりと石川監督が出席しました。

映画『愚行録』のスタッフにも注目!

監督は異色の経歴を持つ石川慶

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(C)2017「愚行録」製作委員会
『愚行録』の監督を担当したのは石川慶。1977年愛知県出身で、この作品が彼の長編デビュー作になります。実は石川監督は、東北大学物理学科卒業後に映画の道を志してポーランドへ留学しています。 その後は『戦場のピアニスト』などで知られる、ロマン・ポランスキー監督と同じポーランド国立映画学校で演出学んだ異色の経歴の持ち主なのです。 映画学校卒業後は短編映画を中心に活動し、作品は海外で高く評価されました。近年では韓国のプチョン国際映画祭企画マーケットでもプチョン賞(グランプリ)を受賞しています。

脚本は『聖の青春』も手がけた向井康介

先にも述べたように、『愚行録』は原作者である貫井徳郎が「映像化不可能」とコメントしていた問題作です。今回映画化するにあたって、小説とは違う面から見応えのあるドラマにするため、様々な映画やTVドラマの脚本を手がけた向井康介が選ばれました。 彼はTVドラマ『深夜食堂』の脚本を担当した他、最近では2016年に公開された松山ケンイチ主演の『聖の青春』の脚本も手がけています。彼の手による『愚行録』はどのような物語になっているのか楽しみですね。

『愚行録』原作者の貫井徳郎とは?

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本作の原作者・貫井徳郎は1968年2月東京都出身。妻は『ななつのこ』で有名な加納朋子です。貫井徳郎は1993年に『慟哭』で作家デビュー。2009年に単行本化された『乱反射』で江戸川乱歩賞を受賞し、彼の代表作になります。 今回映画化された『愚行録』については、小説の構成の面から映像化は不可能だと思っていたと作者自らコメントしています。しかし、映画化に関してはスタッフの熱意や、実力派である妻夫木聡と満島ひかりが兄妹として主演することに感激したそうです。 様々な登場人物が語る負の世界、すなわち人間の嫉妬や憎悪、嫌悪がスクリーンの中でどのように描かれるのでしょうか。作者が「世界にも通用する」と絶賛した注目作を、2017年2月18日の公開でぜひご覧下さい。

「語り」で構成される原作との違い

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『愚行録』の原作は、田中が取材をした人々の語りの合間に謎の女性の語りが挿入される構成です。被害者である田向夫妻がどのような人物だったのかが取材を通して徐々に浮かび上がり、合間の女性の語りが誰に対して語りかけているものなのかが判明した時に事件の真相がわかる仕組みになっています。 人間の愚かさや負の感情にスポットライトを当てた内容のため読後感はあまりいいものではなく、いわゆる「イヤミス(イヤな気分になるミステリー)」と呼ばれることも多い本作。しかし、読後感は悪くとも内容に深く感銘を受ける名作と多くの人から高い評価を受けています。 人々の語りを重視した原作が、映画ではどのように映像化されるのか、真相はどのように分かっていくのか、それが特に注目したい点です。

【ネタバレ注意】映画『愚行録』の感想評価を紹介!

見ごたえのあるミステリー作品!

southpumpkin 雑誌記者が一年前に発生した一家惨殺事件を取材する中で明かされる人々の愚行とは。全編が一対一の会話劇とその回想で構成されており、エンターテイメント性の低さは心配されますが全く飽きることがありません。日本社会にも深層にはヒエラルキーが存在し、その中で人間は善ばかりを積むことができるのか、という劇重のテーマを延々と考えさせられます。後味の悪いミステリーとのことで、最後まで嫌な気分にさせてくれます。鑑賞後は少し空気が淀みました。トリッキーな展開が続きますが、実は割と最初から感づいてしまうのでどんでん返しは期待しないほうがよさそう。でも最後は絶対驚くはずです。 海外から撮影監督を呼んでおり、この撮影がかなりグッド。ドライな画作りが徹底されており、映画ととてもマッチしています。獄中で横たわる満島ひかりに伸びる無数の手のシーン、オープニングのバスのシーンの雨の水滴などがとても綺麗でした。 終盤の満島ひかりの独白が最高。『愛のむきだし』でも長ゼリフをやっていましたが、あれのオマージュなのかな。精神の磨耗を感じさせる名演。小出恵介のクズ演技も大変よろしい。
maipote タイトルが話の芯を通っていて好きです。物凄く細かい人間観察に基づくミステリーで、見てる途中は引き付けられました。ラストは「まさか」となりますし、音楽も良いし、映像も素敵だと思います。映像に関して言えば、要所要所でシンメトリーな表現の多いところが特徴的でした。観た後は、重苦しい気分になること間違いなしです。「人間って一体・・・」という風に考えさせられる映画が好きな方は気に入ると思います。 人が愚かさを積み重ねて今を生きる、そのテーマを真正面から切り取った良い映画です。

【ネタバレ】犯人って結局誰なの?『愚行録』の"3度の衝撃"について完全解説

衝撃その1 光子に関する事実

実は妹の光子は夏原友希恵と大学の友人でした。光子は夏原の裏切りにあい、深く傷つくこととなるのです。

衝撃その2 殺人の犯人は…?

犯人は妹の光子でした。さらに兄である武志も妹に不都合な発言をするカフェ店主宮村淳子を殺害してしまいます。

衝撃その3 ○○と○○との関係性

光子と武志は兄妹でありながら恋愛関係になっていたのです。