2017年7月6日更新

安藤昇、数奇な人生を生きた伝説の俳優の特集

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安藤昇

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安藤昇のプロフィール

安藤昇
安藤昇は、1926年5月24日生まれ、東京都出身です。1965年、自身の手記『牝蜂』の映画化がきっかけで俳優へと転身しました(映画のタイトルは『血と掟』)。 驚くべき波乱の半生を乗り越えた末に辿りついた役者の仕事。デビュー作はヒットし、その後も数々の映画に出演しつつ、幅広い人気を集めていきました。 俳優以外にも、作家やプロデューサーとしての顔も合わせ持つ、安藤昇の若き日から迫ります。

ヤクザとして生きた過去がある安藤昇

実録安藤組
安藤昇は、少年時代より荒れた生活を送り、大学入学後は、不良青少年グループといわれる愚連隊を仲間と共に作り上げました。社会人になってしばらく経つと、賭博の開帳などといった裏社会での仕事も仕切るようになります。自ら設立した会社は暴力団としての様相を呈するようになり、やがて「安藤組」が出来上がります。 安藤組は、そのしきたりや考え方、スタイルが当時の若者から絶大な支持を集め、高校生や大学生といった若者も安藤組の構成員として在籍していました。 しかし、1958年に起きたトラブルにより安藤昇は逮捕されます。出所後、組の解散を表明しました。俳優転向後は、その経歴から数々のヤクザ映画に出演することになります。

安藤昇出演映画の代表作

デビュー作となった映画『血と掟』【1965年】

1965年の映画『血と掟』は、安藤昇の手記『牝蜂』を脚色して制作された作品です。非行少女グループと不良少年の出会い、エスカレートしていく悪行、暴力団の実態などが赤裸々に描かれました。 安藤昇は本作で、ナイトクラブの歌手・ヘンリー奥田役として出演。少女グループらが行うスリの現場を目撃するといった役どころを演じています。

映画『網走番外地 吹雪の斗争』【1967年】

網走番外地
1967年の映画『網走番外地 吹雪の斗争』は、「網走番外地」シリーズの10作目。昭和初期を舞台にロシアとの関わりや、複雑な人間模様が描かれました。高倉健演じる主人公の極東貿易社長・橘真一が父の仇を晴らそうとする場面もみどころとなっています。 安藤昇は、高倉扮する橘にわけあって近づく男・轟を演じました。

映画『新 仁義なき戦い』【1974年】

新仁義なき戦い
1974年の映画『新 仁義なき戦い』は、全5作が公開された「仁義なき戦い」の新シリーズとなった作品。広島県呉市を舞台に、暴力団組織の内部分裂や権力争いなどを描くヤクザ映画です。組内での派閥争いが細かに描写されており、殺すか殺されるかという緊迫感ある場面が見どころです。 主人公の三好万亀夫を菅原文太が演じ、安藤昇は広島最大の組織・梅津組の梅津卯之吉として登場。広島を牛耳るドンとしてさすが威厳ある佇まいをみせました。

映画『仁義の墓場』【1975年】

主演・渡哲也、監督・深作欣二で、あまたあるヤクザ映画の中でも傑作のひとつに数えられる本作。実在したヤクザである石川力夫の半生を、壮絶なタッチで描きました。1999年版のキネマ旬報「オールタイムベスト・ベスト100」における日本映画38位に選ばれるなど、高く評価されています。 安藤昇は組長の一人、野津喜三郎役で登場し、さすが迫力ある堂々したヤクザぶりで強烈な存在感を残しています。

歌手活動をしていた安藤昇

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俳優活動と並行し、歌手としても活動していた安藤昇。自身が主役を務めた1965年公開の映画『やさぐれの掟』の主題歌「新宿無情」でレコードデビューを果たしています。その後も、自身の映画作品で主題歌を担当することも多く、オムニバスCDにそれら曲が収録されています。 残念ながら、どの曲も大きなヒットにつながることはありませんでした。

安藤昇が残した名言

安藤昇3
安藤組の組長として極道のトップを極めた安藤昇。その数奇な半生を踏まえ、数々の著書には独自の哲学や人生訓が語られ、いくつかの名言も残されました。 「ヤクザは辞めたが、男を辞めた覚えはない」や、「人生は、山あり谷ありじゃなく、山に見えて実は谷、谷に見えて実や山」など……。また、「相手に敵意がないことを示すのが礼儀」といったものがあり、多くの人を惹きつけています。

安藤昇の家族は?息子は?

安藤組外伝
安藤昇の私生活は、あまり詳しく語られていませんが、1947年に一般女性と結婚したこと、2人の息子がいることが分かっています。息子2人は映画プロデューサーとして、安藤の映画に携わっていました。 長男は、ニック安藤と呼ばれ、プロデュース作品には映画『安藤組外伝 掟』(2000年)や映画『デコトラの鶯祭ばやし』(2003年)などがあります。次男の安藤章は、映画『実録・安藤昇侠道伝 烈火』(2002年)をプロデュースしています。

安藤昇の現在は?

安藤昇
安藤昇は、残念ながら2015年12月16日、肺炎のため89歳でこの世を去っています。すでに1979年からは俳優業を控え、プロデュースや執筆活動を中心にした生活で、華やかな場に出ることも少なくなっていました。 2016年2月28日に行われた「安藤昇お別れの会」では約700人もの映画関係者やファンが集まり、その波乱の生涯を偲びました。