2017年3月13日更新 10,133view

映画『ラ・ラ・ランド』のサントラの魅力を徹底解説!【ネタバレ注意】

2017年第89回アカデミー賞で見事6冠に輝いたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。オリジナル楽曲を使用して作曲賞と主題歌賞をも受賞した音楽性の魅力を、サントラを徹底解説して掘り下げていきます。

アカデミー賞作曲賞・主題歌賞受賞!全編オリジナル楽曲のデイミアン・チャゼル監督作『ラ・ラ・ランド』サントラの魅力は?

魅惑的な街LAを舞台に女優とジャズピアニストの恋と夢を描いたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が、2017年第89回アカデミー賞で監督賞・主演女優賞の主要部門の他、6冠に輝きました。オリジナル楽曲を使用した本作は、音楽を担当したジャスティン・ハーウィッツが作曲賞を、劇中歌「シティ・オブ・スターズ」が主題歌賞を受賞しています。

そんな『ラ・ラ・ランド』のサウンドトラックの魅力を、映画の名場面とともに15曲全曲解説していきます。気になる歌詞の内容もあわせてご紹介します。

1.「アナザー・デイ・オブ・サン(Another Day of Sun)」/ラ・ラ・ランド・キャスト

これぞミュージカル、これぞLAという、人種・音楽の多様性を画面いっぱいにダンスする人々で軽快に表現した冒頭シーンで流れる1曲目です。ここでガツンと、これは王道のミュージカル映画なんだということを見せつけられます。

明るい太陽、騒がしい高速道路と渋滞、車から流れてくるさまざまなジャンルの音楽など、LA=ロサンゼルスという街を象徴する要素とアップテンポのダンスナンバーで、一気に『ラ・ラ・ランド』の世界の中に引き込まれていきます。渋滞にしびれを切らした人たちが車から飛び出し、渋滞の列の間を縫うように踊り、車のルーフに上ってダンスする様子にはワクワクさせられますね。

「僕は頂を目指す、輝く光を追い求めて。うまくいかない時も、また立ち上がればいい。朝が来れば、新しい日が始まるから」というサビが歌われる、とてもポジティブな内容の曲で、夢を追いかける主人公・ミアとセバスチャンの物語につながっていきます。

2.「サムワン・イン・ザ・クラウド(Someone In the Crowd)」/エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ソノヤ・ミズノ、ジェシカ・ローテ

ミアのルームメイト3人がパーティーに行こうと誘って歌い出す楽曲です。あまり気乗りしないミアを「あなたに見つけられるのを待っている誰かが、どこかにきっといるから」と家から引っ張り出そうとします。

赤、青、黄色、緑の原色ドレスに身を包んだミアたち4人がパーティーへ繰り出して、通りを踊って行く場面では、カラフルなドレスが見事にダンスで融け合って、視覚的にも聴覚的にもキラキラした鮮やかさを強く印象付けてくれます。

3.「ミアとセバスチャンのテーマ(Mia & Sebastian’s Theme)」/ジャスティン・ハーウィッツ

この映画のメインテーマで、アカデミー賞作曲賞を受賞したジャスティン・ハーウィッツによる楽曲です。この曲は作中、アレンジを変えてたびたび登場する重要なものとなっています。

ここではミアとセブ(セバスチャン)が初めて出会うジャズバーのシーンで、セブがこの曲を演奏していました。クリスマスだというのにバーのピアニストをクビになってしまったセブが物悲しく弾き始め、ちょうどバーに入ってきたミアが思わず聴き入っています。

それにしても、3ヵ月もの練習を重ね、全編代役なしでピアノ演奏をこなしたというライアン・ゴズリング。このシーンでもロングショットで演奏していますが、その堂々たるジャズピアニストぶりには驚きます。

4.「ア・ラブリー・ナイト(A Lovely Night)」/ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン

ミアとセブがパーティーで再会した帰り、ミアが自分の車を探している間になんとなく踊り始めるのがこの楽曲です。「きみ/あなたはタイプじゃない」「せっかくのすてきな夜が台無し」などど歌いながらも、見事に息の合ったタップダンスを踊り続ける二人に、恋の始まりの予感がしてドキドキしてしまいます。

エマ・ストーンのお気に入りのナンバーだというこの楽曲は、なんと6分間もカットせずに撮影されたそうです!物語の重要なロケーションともなるグリフィス・パークでLAの夜景をバックに踊るミアとセブの姿は、この作品のポスターに使用されていますね。ミアの美しいイエローのドレスも印象的です。

5.「ハーマンズ・ハビット(Herman’s Habit)」/ジャスティン・ハーウィッツ

「ジャズが嫌い」と言うミアに、セブが熱くジャズを語るジャズバーのシーンでバンド演奏される楽曲です。本格的で古典的なジャズナンバーで、セブがピアノ演奏も披露しています。ミアが踊る姿もチャーミングなシーンです。

古いジャズに固執するセブの性格や夢がわかるシーンでもあり、ミアがセブに好意を抱き始める場面でもあります。それぞれの楽器を演奏するプレイヤーの独創的なアレンジがジャズを形作っていて、それがライブで聴く醍醐味だと純粋にミアに語りかける様子を見ると、自分のジャズバーを持つというセブの夢を応援したくなりますね。

そしてここで、ミアが青春ドラマの一次オーディションに受かったと聞いてぜひ『理由なき反抗』を観て研究するべきだと、セブは勢いでミアを映画館デートに誘います。二人が急接近するのを盛り上げる楽曲でもあります。

6.「シティ・オブ・スターズ(City of Stars)」/ライアン・ゴズリング

ミアとデートの約束を取り付けたセブが、夕暮れ時のハモサビーチ埠頭で一人歌います。埠頭にいる老夫婦の奥さんの手を取って踊ったりと、少し浮かれモードなセブが可愛らしく見えるシーンです。

セブの口笛から始まるこの曲は、「スターの街よ、その輝きは俺のため?見えないものばかり」と内容も少しアンニュイな感じですが、続く歌詞も「誰にわかる?ステキな恋の始まりなのか、あるいはまた叶わぬ恋か」と物語の展開を示唆しているようにも思えます。

この楽曲は第89回アカデミー賞でジョン・レジェンドによって演奏され、主題歌賞を受賞しました。セブとミアが二人で初めて踊ったグリフィス・パークからの眺めを思わせる夜景をバックに、しっとりとピアノ演奏とともに歌ったジョン・レジェンドのバージョンも必見です!

7.「プラネタリウム(Planetarium)」/ジャスティン・ハーウィッツ

婚約者とのディナーの途中で店を飛び出し、セブとの約束を選んで映画館リアルトへ駆けつけたミア。二人で『理由なき反抗』を観ていると、突然グリフィス天文台のシーンでフィルムが焼き切れてしまいます。

本物を見に行こうと言って向かったのはもちろんグリフィス天文台。プラネタリウムの中に入ると、二人はこの楽曲に乗せて星空を華麗に踊り始めます。このシーンの美しさはこの楽曲の壮大なオーケストラ演奏と、実にファンタジックな宇宙をバックに踊るミアとセブにつきます。

この楽曲はベースが「ミアとセバスチャンのテーマ」になっており、プラネタリウムが二人の心をしっかりと結びつけた瞬間を切り取った、この映画一の名シーンともいえるのではないでしょうか。ちなみに撮影で使われたプラネタリウムのプロジェクターは、古いものを探して再現されたものだそうです。

8.「サマー・モンタージュ/マデリン(Summer Montage/Madeline)」/ジャスティン・ハーウィッツ

恋に落ちたミアとセブが二人で住み始めた夏のテーマ曲です。部屋に荷物を運びこんだり、ケーブルカー乗り場で踊ったり、付き合い始めた二人のキラキラした季節を鮮やかに表現した軽いテンポの明るい楽曲です。

この作品はクリスマスに出会ったミアとセブの一年間の恋を描いていて、その中でもこの夏のシーンは二人の一番幸せな季節を魅力的な楽曲で表現した、ポップなモンタージュとなっています。

9.「シティ・オブ・スターズ(City of Stars)」/ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン

「サマー・モンタージュ/マデリン」からスッと挿入される、ミアとセブのデュエット・バージョン「シティ・オブ・スターズ」。場所は二人が一緒に住んでいる部屋で、セブがピアノを弾きながらなにげなく歌い始め、途中でミアが歌いながらセブの隣に座ります。

こちらのバージョンはセブ一人が歌うものとは違って「二人の夢は最後にはきっと叶うよ」と続き、歌詞が変わっています。ミアが入ってくるパートは「人は皆誰かに愛されたいから」と続き、二人が歌うパートでは「声がする。“私がいるよ、大丈夫”と」とこの時期のミアとセブの心境を表している歌詞になっています。

時おりこぼれるクスッという笑い声がそのまま収録されていて、ごく自然な感じがとてもステキです。二人の距離の近さをひしひしと感じ、この幸せな時間が永遠に続いてほしいと願ってしまいます。しかしミアとセブはこれ以降、夢と現実の間で少しずつすれ違っていくのです。

10.「スタート・ア・ファイア(Start a Fire)」/ジョン・レジェンド

セブが夢を追っていてはミアを幸せにできないと稼ぐために加入したバンド「ザ・メッセンジャーズ」が売れ始め、ツアーに出ることになります。この楽曲は、ジョン・レジェンド演じるバンドのリーダー・キース率いるザ・メッセンジャーズのライブシーンで演奏されます。セブはピアノとキーボードを担当しています。

ジョン・レジェンドが曲の制作・演奏にも参加していて、ノリの良いクールなロック・テイストのナンバーに仕上がっています。しかし、劇中ではライブを見に来ているミアがセブのキーボードを演奏する姿を見て戸惑い、セブが目指すジャズとはほど遠い音楽に少しがっかりしてしまいます。

11.「エンゲージメント・パーティー(Engagement Party)」/ジャスティン・ハーウィッツ

ミアとのすれ違いの日々で傷心気味のセブが、婚約パーティーで弾くピアノ曲です。実はこの曲、2曲目「サムワン・イン・ザ・クラウド」のスロー・アレンジ・バージョンなのです。あんなにも明るい曲がこんなに物憂げな感じになるとは驚きです。

そしてセブと決定的な決別をして、実家へ戻るバスの中でやはり沈んだ面持ちでぼうっとしているミアのシーンにも流れています。夢をあきらめて現実の成功を手に入れたけれど少しも幸せになっていないセブと、自作自演の舞台をするという夢を実現させたけれど挫折を味わって夢をあきらめたミア。すれ違っていく二人の心境を表したナンバーとなっています。

12.「オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)(Audition(The Fools Who Dream))」/エマ・ストーン

ミアと別れてしまったセブのもとに1本の電話がかかってきます。それはミアの舞台を見た配役事務所からのオーディションを受けてみないかという知らせでした!セブはすぐにミアの実家へ向かいます。

かたくなに夢は終わった、もう傷つきたくないとオーディションを受けようとしない彼女を、ひたすら信じて鼓舞するセブ。そうしてオーディションを受けに行ったミアに求められたのは「なにかを語ること」でした。

彼女が語り始めたのは、女優の憧れを抱かせたパリに住んでいた叔母のこと。初めは「セーヌ川に裸足で飛び込んだ」叔母の話をポツリポツリと話し出すミアですが、次第に自信を持って歌い始め、「どうか乾杯を 夢追い人に。たとえ愚かに見えても。どうか乾杯を 心の痛みに。どうか乾杯を 厄介な私たちに」と堂々と歌い切ります。

もちろんこれは女優の夢を持たせてくれた叔母に、そして夢をあきらめきれない自分に向けた歌です。ミアが静かに、しかし心に秘めた情熱を歌っている様子には、本当に心打たれます。

13.「エピローグ(Epilogue)」/ジャスティン・ハーウィッツ

5年後、ミアがかつて働いていたカフェに来た大物女優が映し出されます。それはミアでした。彼女は結婚し、一児の母になり幸せな家庭も築いていました。

そんな彼女が夫婦で訪れたジャズバーで、バンドの紹介をしていたのはセブでした。本格的なジャズバー「Seb’s」のオーナーとして成功しているセブを見て驚きながらも目を離せないミア。彼女に気づくセブ。そうしてセブが弾き始めたのは、あの「ミアとセバスチャンのテーマ」でした。

その曲を聴いて、ミアの視界すべてがいっぺんに目まぐるしく回想シーンのように展開していきます。それはミアが抱いた壮大な「if」の物語。もしもセブと別れていなかったら・・・。

メインテーマをはじめ、この作品に登場した楽曲・場面すべてを詰め込んだ玉手箱のようで、いわば物語のリプライズのようなオーケストラ曲です。この楽曲「エピローグ」が流れるラストは目くるめくファンタジックなシーンとして、おそらく長く記憶される名場面となるでしょう。

14.「ジ・エンド(The End)」/ジャスティン・ハーウィッツ

再び「ミアとセバスチャンのテーマ」に戻りピアノを弾き終わるセブ。急速に現実に引き戻されるミア。そうして夢の終わりを感じた彼女はその場を去って行きます。ドアの前でセブを見つめると、セブもミアを見つめ返し微笑みました。

楽曲「ジ・エンド」はそんな中、物語の終局をしっかり締めくくるオーケストレーションで幕を閉じます。カタルシスを覚えるというよりは、ハッピーエンドを見守っている感覚かもしれません。

15.「シティ・オブ・スターズ(ハミング)(City of Stars(Humming))」/ジャスティン・ハーウィッツ feat.エマ・ストーン

エンドクレジットで流れる楽曲で、エマ・ストーンのハミングがフューチャリングされています。切なさと達成感の両方が込められた、映画の余韻をじっくり感じることができます。

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