2017年7月6日更新

映画『手紙』あらすじ・ネタバレ【東野圭吾】

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『手紙』2

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東野圭吾原作映画『手紙』

東野圭吾『手紙』
2006年に公開された映画『手紙』は、東野圭吾の小説『手紙』を原作としています。直木賞候補にもなった小説『手紙』には、強盗殺人の罪を犯した兄と、その兄の罪に苦しめられ続けながらも懸命に生きる弟の姿が描かれています。 映画『手紙』は、弟のために罪を犯してしまった兄・剛志とその罪に苦しめられる弟・直貴の心情、そして周囲の人々との人間関係がていねいに、繊細に描かれた感動作です。

映画『手紙』のあらすじ

山田隆之 玉山鉄二『手紙』
高校生の武島直貴は、両親を亡くし兄の剛志と二人で生活をしています。直貴の学費の工面に困った兄は、盗みを働こうとしますが、侵入した家の住人に見つかり殺人を犯してしまいます。強盗殺人という重い罪を犯した剛志は無期懲役となり、直貴は進学をあきらめ工場で働くことに。やがて新しい環境でがんばる直貴のもとに刑務所で服役中の剛志から手紙が届くようになります。

映画『手紙』のキャスト

武島直貴/山田隆之

山田孝之『BARFOUT! 』
兄と二人で暮らす高校生の少年で、映画『手紙』の主人公である武島直貴。兄の罪に苦しめられながらも、自分の人生を懸命に生きようとする直貴は、友人とお笑いコンビを結成し、夢にかけようとします。しかし、世間の厳しい目にさらされ掴んだチャンスもすべて水の泡に。直貴は自ら自分の夢をあきらめ終りを告げるしかありませんでした。 武島直貴を演じたのは、山田孝之です。2000年に放送されたドラマ『六番目の小夜子』で注目を集め、2001年にはNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』に出演し、人気得ます。2003年にドラマ『WATER BOYS』で主演を初めて務め、その後も数々の人気ドラマで主演を務める人気俳優となりました。 映画でも話題作に多数出演してる山田孝之は、高い演技力が注目を集めている俳優で、2011年にはニューヨーク・アジア映画祭で日本人初となる「スターアジア・ライジング・スター賞」を受賞するなど、世界的にも評価されています。

武島剛志/玉山鉄二

玉山鉄二『プレイ』
弟の直貴の進学費用のため、強盗殺人を犯してしまう兄の武島剛志。服役中の身となっても弟のことを心配し、獄中から手紙を送り続けます。そんあ武島剛志に扮したのは玉山鉄二。 モデルととして芸能活動をスタートさせた玉山鉄二は、1999年の『ナオミ』でドラマに初出演し、以後は俳優として活躍します。2001年の『百獣戦隊ガオレンジャー』で一躍人気俳優となった玉山鉄二は、2005年のドラマ『ブラザー・ビート』や2008年の『薔薇のない花屋』などのドラマに出演し、2014年にはNHK連続テレビ小説『マッサン』で主役の亀山政春役を演じ話題となりました。

白石由実子/沢尻エリカ

沢尻エリカ『ERIKA2007』
直貴に真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる関西弁の女性、白石由美子は沢尻エリカが演じています。人目を避けるように生きている直貴に惹かれ積極的にアプローチを仕掛ける由美子。明るい性格の彼女ですが、実は父親の借金で家族が離れ離れになってしまったという辛い過去を抱えていました。 沢尻エリカは、雑誌『ニコラ』モデルとして活躍したのち、2003年に『ホットマン』でドラマ初出演を果たします。2005年には初主演となるドラマ『1リットルの涙』での演技が絶賛され、一躍演技派女優として人気と知名度を得ました。プライベートでは高城剛と2008年に結婚、その後2012年に主演映画『ヘルタースケルター』で本格復帰するまでは、一時芸能活動を休止していました。 2013年に離婚を発表後、2014年のドラマ『ファースト・クラス』で連続ドラマに復帰、ファッション業界で働く女性たちの壮絶な闘いを演じ大変な話題となりました。2017年には主演ドラマ『母になる』が4月に放送されます。

弟を苦しめ続ける兄の罪

兄剛志が強盗殺人という思い罪を犯してしまったのは、弟直貴の学費を盗もうとしたため。自身が服役してからも弟を心配し続け、獄中から手紙を送り続けます。兄の罪と愛が重く直貴にのしかかり、世間の厳しい目から逃れるように全てをあきらめながらひっそりと暮らしていくしかありませんでした。 直貴が働いていた工場で出会った由美子はいつも直貴に変わらず接し、最初はつれなくしていた彼も徐々に惹かれ、やがては結婚することになります。二人の間には実紀という娘ができ、幸せを味わいますが、娘・実紀もまた兄の罪に苦しめられいじめまで受けていたのです。 その日までずっと届いていた兄からの手紙でしたが、直紀は耐え切れなくなり、ついに剛志に絶縁の意思をしたためます。

犯罪者家族の視点から描かれた映画

自分のために罪を犯してしまった兄を持つ弟、直貴の視点から描かれた作品、『手紙』。理由はどうあれ、犯罪を犯したものに対する世間の誹謗中傷や差別によって、直貴はおろか、娘まで苦しめられることに。主人公・直貴の心情がていねいに描かれることによって、犯罪加害者家族もまた、被害者であるのだということに気付かされます。 一度は兄との絶縁を決意した直貴でしたが、かつて一緒にお笑いコンビを結成していた親友・祐輔のはからいで、一度限りの再結成と、兄の服役している刑務所への慰問ライブをすることに。兄への思いとこれまでの経験をそれとわからないようにネタに盛り込む直貴でしたが、ライブ中に、兄に対する思いに変化が訪れました。 例え絶縁したとしても、兄が兄であること、自分たちが兄弟・家族であることは変わることがないのです。兄の罪と存在、そして自分のこれまでの人生や想い全てを受け入れたように、強く優しい表情に変わっていく直貴。これまでの辛い経験を形にすることによって、直貴の心のわだかまりが緩やかに溶けていくような瞬間でした。