2017年7月6日更新

まるでナウシカと話題!旧ソ連の実話から着想を得たロシア映画の異色作が公開

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草原の実験

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風吹く草原で暮らす美しい少女と暗い未来。ロシアの新鋭監督の問題作が日本上陸

大草原の中にぽつんとある小さな家で、父親と暮らす美しい少女。父親は毎日、どこかへ働きにでかけていき、少女はそれを見送ります。 少女と幼なじみの少年は、少女に恋をしています。そこへ、青い瞳をした別の少年がどこからともなく現れ、彼もまた少女に恋をします。淡い少年2人と少女の三角関係。しかし、そんな日々に突如、暗い影が...。

汚れのない少女と終末的世界観が、ジブリ宮崎駿監督の初期の雰囲気と話題に

本作は東京国際映画祭で上映され、話題となりました。その理由のひとつが、スタジオジブリの宮崎駿監督の代表作『
』を彷彿させる作品であるためです。 広大な草原の美しい少女と、緻密に計算された構図が絶賛されているリアリティ溢れる作品でありながらファンタジー作品となっており、ナウシカをイメージしてしまうのかもしれません。 『風の谷のナウシカ』でナウシカ役を務めた島本須美さんが実際に下記のようなコメントをしています。
大地には風が吹き 変わらぬ日々を過ごす少女がいる。 でも、何の実験かしら? セリフはないのに、途中から胸がドキドキし始めた。

全編セリフなし。少年と少女の淡い恋と、随所に現れる不穏な描写の連続

本作はセリフが一切ない中で物語が進んでいきます。そのため人物の感情や物語の流れを観客はある程度自分自身で想像する必要があります。また、固定カメラでの美しい景色のシーンも多く、ゆったりと物語は進んでいきます。 美しい少女と2人の少年との三角関係の恋愛が描かれた雰囲気が重要な作品だと思えますが、実際には違います。 セリフがないために説明も常に不足している状態で物語は進行していきますが、彼らを取り囲む世界の不自然さが随所に散りばめられていくのです。 観客は、彼らの日常や美しい映像とは裏腹に映像の端々に散りばめられた不自然な描写に不安感を募らせていきます。

旧ソ連で起きた、ある出来事が元となっている

この作品は、1949年に旧ソ連で起こったある実際の出来事からインスパイアされており、そういった歴史上の出来事に基づき構築されたリアリティが、作品の不気味さを増幅させています。 「美しい少女」と「終末に近づいていく世界」というふたつの世界観から、『風の谷のナウシカ』を彷彿する人が多いのかもしれません。 美しいロシアの映画と思って見ると、衝撃的な展開との落差に愕然としてしまうかもしれません。今作は日本では2015年9月下旬よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開の予定となっています。