
『ミツバチのささやき』の感想・評価・ネタバレ
-
とにかく、黒である。 ここまで黒に力がある映画もなかなか見かけない。それは、17世紀のベラスケスやスルバラン、ムリーリョの絵画などに始まるスペインのリアリズム絵画独自の明暗技法を髣髴とさせる。 しかし、アナ・トレントの澄んだ瞳は違う。そこには、ただひたすらの黒に加え、神秘的なまでの白い光があるのだった。 列車のシーンは圧巻。
-
荒廃した村で映画『フランケンシュタイン』が上映され老若男女が集う。鑑賞後影響を受けた幼い姉妹の物語。 寡作で有名なビクトル・エリセ監督作品。抑えめの色調と淡々とし、どこか危うげな雰囲気映画のようです。ストーリーラインとも相まってお洒落版ちびまる子ちゃんのようにも感じられます。全編子ども目線なので一見簡単そうに見えますが、実はそうではないそうで。独裁政権への痛烈な批判が織り交ぜられているらしいのです。確かにストーリーとは直接的に関係ないような演出もチラホラ。あの毒キノコを踏み潰すシーンもメタファーだそうです。ある程度歴史的背景を知っていればもう少し違った見方ができたかもしれません。ただ、全くわからなくても単調な童話のようなお話と映像とでそこそこ満足感は得られます。
-
とても静かな作品 ニューシネマパラダイスを思い出す 会話が少なく、映像と音楽を楽しむ映画かな? アナがとてもかわいい
-
とても静かな作品。家族の複雑さ、戦争が小さな町にも影を落としている傷みが描かれていると思う。ウィキペディアの解説を読むと、その国、その時代のメタファーが散りばめられているらしい。勉強してから見たかった。ただ、そういう知識がいる面だけでなくて、迫ってくるものがある。家族の描かれ方が心に刺さる。少女の無垢な瞳の力がすごかった。
-
TSUTAYAの良品コーナーにて発見。 光の速さで手に取りました。 大昔に観てから、ずっと心に残っていた映画。 1940年代のスペインの田舎町が舞台。 内戦が終わり独裁政権が始まろうとしている社会情勢...政治的批判を子どもの視線から暗喩、メタファーで伝える難解な映画。 そんな難しい事はどうでも良いくらい、本当に美しい映画です。 構図が素晴らしく、どの画もお伽噺の絵本のようで見惚れてしまう。 主人公の少女アナがとんでもない美少女で、その無垢な瞳に吸い込まれそうになります。 心ここにあらずな両親。アナが映画「フランケンシュタイン」を観てから精霊を追い求める姿。姉妹での秘め事。 「なぜ?」を自分の感性で紐解こうとするアナ。姉との対比。 子ども頃の残酷さ、純粋さ、恐怖心、好奇心。 夢の中の世界のようで、自分の子ども時代を強烈に思い出す。 私は姉イザベルに共感しました。信じやすい妹を騙す意地悪な姉だったので…^^;
-
透明感
-
スペインの内戦を戦争描写をほとんど見せずに描いた作品。 主人公であるアナ・トレントのために作られた映画といってもいいはず! アナのあまりに無垢な瞳は、大人であることに罪悪感さえ感じさせる。 この映画のように、完璧な少女の世界が壊れたとき、少女は現実への窓を少し開いていくのかもしれない。
-
1973年公開スペイン El espíritu de la colmena ビクトル・エリセ監督作品(エル・スール ほか)[DVD所有]99分
-
『エル・スール』の後に続けてこちらを観ましたが、『ミツバチのささやき』の中で主人公たちの暮らす村がまさにそのエル・スール=南を指しているということは明快です。どちらが先でもいいけれど二本とも見たほうがより楽しめるし、ビクトル・エリセ監督の言わんとする事が読み取りやすくなると思います。 スペイン内戦やその時分の社会情勢を暗喩した内容ですが、それを抜きにしてもじゅうぶん深く入り込むことのできる、叙情的な作品でした。 @早稲田松竹
-
#eiga #movie こういう映画好きなんだよね。無音と、絵画のような風景がもう子どもの目線そのものだった。 好きなシーンは、映画を食い入るように観る子どもたちの素直な表情。毒キノコを踏み潰す父親の靴のアップ。アナの吸い込まれそうな目。蜂の巣のような窓。 そして何よりイザベルが.....子どもから大人に変わるって少し哀しいよね。純粋なものを妬み、傷つけたくなる気持ちは誰の心にも眠ってるよね。 目の前にある全てのものを信じ、受け入れることは間違っているのかな。ああ切ない。
-
1940年代のスペインの歴史的背景を知って初めて「なるほど~」な映画。でないとただの好奇心旺盛な子供の話だと思ってしまう。あからさまな政治批判はないけれど比喩的表現が随所に。まあ、本来の意味を知らなくても十分面白い映画だと私は思うよ。(面白いってのは興味深いって意味でね)