千年女優
千年女優
日本
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『千年女優』のHM world-travellerの感想・評価・ネタバレ

HM world-traveller
HM world-traveller 3 2015年10月12日

映画という虚構の世界の中で永遠に虚構の恋を演じ続ける女優。演じていたのは虚構の恋だけでなく人生そのもの。 物語は30年前に引退した大女優藤原千代子が映画会社のドキュメンタリーの企画で取材に応じ過去を振り返る形で展開される。千代子の回想に、自身がかつて演じた映画がかぶさり、戦時中、戦国時代、幕末、明治、SFと目まぐるしくシーンが変わり回想と現実の交錯に翻弄される。 が、どんな役を演じていても一貫して千代子の心にあるのは『鍵の君』だ。鍵の君に会いたくて女優になり鍵の君への一途な思いを糧にして演技をしていた。鍵の君は女優になるきっかけだったが、それはいつしか 最高の女優でいるための自分による自分自身への暗示、一種のマインドコントロールだったように思う。 『追いかけている自分が好き』この台詞が彼女が女優たる所以なんだろう。鍵の君その人ではなく、鍵の君を追いかけている自分、つまり女優として演じる自分が好きなのだ。一途な恋をひたすら描くようでいて、実は究極のナルシズムがテーマなんだと思う。でもそれこそが女優。鍵の君と再会できないから不幸せなのではなく、再会できないからこそずっと追い続けていられ充実した女優人生を送れた。 『パプリカ』でも思いましたが、今監督は回想と虚構と現実を織り交ぜた世界観の構築が上手いですね。パプリカのほうがより変化球っぽい作りで自分の好みにあっていたけど、好き嫌いが分かれそうな独特な映像は本作でも健在でした。まるで万華鏡のようです。