時計じかけのオレンジ
時計じかけのオレンジ
A CLOCKWORK ORANGE
1971年製作 イギリス 137分 1972年4月29日上映
rating 3.9 3.9
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『時計じかけのオレンジ』のHM world-travellerの感想・評価・ネタバレ

HM world-traveller
HM world-traveller 4 2015年3月8日

好きか嫌いかで言ったら間違いなく嫌いだ。犯罪を快楽やゲームのように行う狂った青年。まるでスタイリッシュなことのように描かれるレイプシーン。これでもかと繰り出される暴力には嫌悪感を覚える。悪人を善人に矯正する治療法も異様だし、あれ自体も本人の更生のためというより政府による低予算での社会鎮圧プログラムで言わば政府のため。何をとっても不快な内容と描写で満載なのに、なぜか切ないような物哀しさを感じてしまった。矯正されたアレックスは犯罪行為はしなくなったが心を入れ替えたわけではなく、『パブロフの犬』的な条件反射で行為に及ばないだけ。自分の意思で善悪を判断しない人間はもはや人間ではないのではないだろうか。犯罪や悪事を撲滅するためとはいえ、別の意味で非人間的な人間を作り出している。こんなやり方でしか犯罪は抑えられないんだろうかとか、人間らしさって何なんだろうとか、そんな自問自答が頭の中をグルグル駆け巡った。何度も観たい映画ではないけど観てよかったし、こうやって自分なりに考えを巡らせる人間が少なからずいるという時点で、表現者として素晴らしいのだと思う。