鋪道の囁き

日本
rating 3.5 3.5
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「鋪道の囁き」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 3.5 2012年12月17日

     1935年に撮影され、翌年公開予定だったが上映されぬままに終わっていた映画。デックスプロモーションより発売されたDVDで鑑賞。2013年2月までの期間限定だが銀座十字屋の店舗やウェブサイトで購入することができる。 http://shop.jujiya.co.jp/products/detail.php?product_id=4815  加賀まりこの父、加賀四郎の加賀プロダクションが制作。監督・主演は、松竹キネマ研究所の『路上の霊魂』(1921)でデビューしたことで知られる鈴木傳明。だが、本当の主役はベティ稲田と中川三郎である。ベティは言わずと知れた、カリフォルニア生まれの日系二世歌手。斎藤憐『昭和のバンスキングたち』を読んで、あまり日本語が流暢ではないような印象を受けたのだが、映画の中では日本生まれと変わらぬ滑らかな日本語を話している。一方の中川三郎だが、こちらも言わずと知れた日本タップダンス界の祖にして、日本モダンダンスの創始者である。撮影時若干19歳。アメリカ留学から帰国直後だろう。演技はややぎこちないが映画の中では華麗なステップを披露する。ベティもそれに合わせて踊るシーンは見ごたえたっぷり。  この映画の見所(聞き所)は、なんといっても音楽である。渡辺良の監修のもと、コロムビア・ジャズ・バンドの選りすぐりのメンバーがジャズの名演を聴かせる。ベティも「ブルー・ムーン」「ダイナ」「スウィート・ジョニー・リー」などの名曲を次々と披露。DVDパッケージでは音楽担当として服部良一の名が見えるが、実際には彼は主題歌「鋪道の囁き」(実際にはレコードは「鋪道の薔薇」として、ベティ稲田、リキー宮川の吹き込みにより発売されたようだ)の作曲と、挿入歌「心で泣いて」(歌はベティ稲田)の編曲のみを手がけたのみである。だが、この「鋪道の囁き」がいかにも服部らしい佳曲である。服部がコロムビア専属になるのは1936年なので、この映画撮影時にはまだコロムビアには属していなかったことになるが…。  ただ残念なのは、映画のストーリーはやや杜撰。アメリカから公演にきた二世歌手ベティが悪徳プロモーターに騙され、上海にトンヅラされたばかりか、負債まで背負わされる。路頭に迷っていたところを中川演じる沖と出会い、惹かれ合うようになる。一方新聞記者の佐竹(鈴木)もベティを助けるが…。  音楽、そしてモダンボーイたちのファッションを楽しむべき映画だろう(それだけでも十分に評価すべき映画だとは思うが)。関時男(同名異字の声優とは別)という俳優のコメディアンぶりは印象に残った。

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