ロスト・イン・北京

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「ロスト・イン・北京」のスタッフ・キャスト

「ロスト・イン・北京」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年1月2日

     シネ・ヌーヴォの「中国映画の全貌2012-3」で鑑賞。中国では2007年に上映され、翌年に入り全面上映禁止処分がくだされた問題作。これは、なかなか見応えのある映画だった。映画のセールスポイントとしては、何と言っても大胆な性描写。しかもそれを今をときめく女優・范冰冰が演じているというのは、話題にならないわけがないだろう。映画の初めの方では、そのような性描写が続くが、中盤辺りからは、コミカルな要素も目立つようになる。  プロットは以下のようなもの。地方から北京に出てきた范冰冰とその夫・佟大為。范はマッサージ店に勤め、佟はビルの窓拭きをしている。一方、梁家輝は范の勤めるマッサージ店の社長。酔った范と肉体関係を持ってしまうが、その行為を窓拭きをしていた佟に見られてしまう。范はやがて妊娠、生まれた子は梁家輝夫妻が引き取り育てようとするが…。梁家輝の妻・金燕玲も、夫に対する復讐のために佟と関係を持つなど四人の関係は錯綜していく。  中盤のコミカルな要素というのは、范の妊娠を知った梁家輝が、その子が自分の子であることをむしろ望むようになり、立派な子供が生まれるように范ら夫婦の面倒を見るなど、必死に行動する姿など。このシリアスドラマ中のコメディ、あるいはコメディの中のシリアスさを演じきっている梁家輝の演技はすごい。  物語の末尾あたりではストーリーがまた大きく展開する(のに断片的にしか情報が与えられないので、二組の夫婦の関係がどうなったのか、不透明)。最後は二人の女性同士の連帯・共感がスクリーン上に示される。そう、この映画は、イエ制度・家父長制・男性の身勝手さ(あるいは北京に蔓延する拝金主義)などに対する女性からの異議申立てと解釈することも可能だろう(ネット上の情報では、この映画の女性監督・李玉は同性愛者であるとするものもあるが、本人は否定している模様)。  李玉監督の映画は初めて見たが、『紅顔』や『観音山』(ブッダ・マウンテン)などは国際的にも話題になった。監督作品の多くは女性や同性愛者の視点が反映されているようである。主観ショットをつないでいく映像も、なかなかスタイリッシュでよかった。  余談だが、北京が舞台だけに、梁家輝のセリフの殆どは北京語だが、妻とのやり取りや菩薩にお祈りするシーンなどごく一部で広東語が使われている。広東出身の社長という設定のようである。