五人の娘

五朵金花
中国
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「五人の娘」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年1月3日

     シネ・ヌーヴォの「中国映画の全貌2012-3」で鑑賞。1959年の中国映画。かつて日本中国友好協会の中国映画上映活動で使われていたフィルムを、2012年から全国各地で再上映するイベントが続いており、今回の「中国映画の全貌」にもそれらのフィルムが提供されている模様だ。  これは、当時の中国映画の中でも特に安心して楽しめる娯楽映画だ。舞台は雲南省大理。白族の若者の恋愛を描く。大理の三月街という祭りの日に愛を誓い合った二人。翌年に約束を信じて再び大理にやって来る男。ところが彼女の住所も職業も知らず「金花」という名前しか知らない。ところが当地には「金花」という名の女性はたくさんいて、出会うのは別の「金花」ばかり。さらに、ちょっとした誤解のため、二人は互いの愛情に対する信頼を失いそうになるが…。  少数民族を描いた映画だけあって、歌もふんだんに使われる。この頃香港映画でも「黄梅調映画」と呼ばれる、安徽の地方劇の旋律を用いた映画が大ブームとなっており、それらとの同時性も感じられる。また、この映画には白族の人々以外に、(この映画を製作した)長春電影製片廠の画家と作曲家が登場し、当地の旋律や図案などを収集している。これも、香港でブームとなった、都市と農村との関係を描いた一連のミュージカル映画が想起されるところである(拙稿「映画『桃花江』における中国性」『未名』29号、2011参照)。  製鉄に関するやり取りは、この映画が作られたのが大躍進政策のさなかであったことと無関係ではないだろう。この映画の主演女優・楊麗坤は雲南省歌舞団出身、実際には白族ではなく彝族。彼女はこのあとさらに、やはり雲南を舞台にした『阿詩瑪』に主演するも、文革で批判され、精神病を発症する(2000年没)。彼女もまた、政治に翻弄された女優であった。なお、彼女は標準語を話すことができなかったため、この映画のセリフは吹き替えであるという。  残念ながら、上映フィルムの状況は芳しくなく、一部に映像や音声の欠落が見られたことも付け加えておきたい。

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