山間鈴響馬幫來

山間鈴響馬幫來
中国
rating 4 4
1 0

「山間鈴響馬幫來」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年2月20日

     1954年、上海電影製片廠の中国映画。久しぶりにDVD鑑賞。雲南行きが少し迫ってきたので、これからしばらくは雲南ものを。これは人民共和国最初の反特片(スパイ映画)、なおかつ人民共和国最初のキスシーンがある映画、人民共和国最初のアクションシーンがある映画、とされる。ただし、今の眼で見ると緊張感もないし、キスシーンも互いに頬にキスをするだけ、アクションもどことなく間延びしている。  舞台はタイ・ビルマとの国境近い雲南のミャオ族村とハニ族村。共産党政権になって収穫も増え、人々はしあわせに暮らしているが、塩などの物資が欠乏し、共産党の馬の運搬隊(馬幫)が物資を届けるのを人々は心待ちにしている。そこで暴利を貪っていたのが商人の李三。だが、彼は実は国民党残党の一味だった。彼らは朝鮮戦争を契機に、アメリカと共に「大陸反攻」を計画していたのであった。やがて、計画が実行される。だが、国民党の残党は士気にも欠け計略にも乏しく、敗退を繰り返すが、ミャオ族の娘、藍蒡を連れ去ることには成功する。彼らの計画をことごとく撃退した共産党と人民。やがて、藍蒡は恋人・黛烏に助けられ、ハッピーエンドを迎える。  と書いてしまえば他愛もないストーリーだが、少数民族同士の歌垣の場面など、微笑ましいシーンも多い。以前『五人の娘』について書いたように、ここでの音楽の使われ方も、まだこの時点では香港映画とそれほど隔たりがないように思える。実は、この映画の「指揮」としてクレジットされているのは、40年代に流行音楽の作曲家として一世を風靡した陳歌辛。後の社会主義リアリズム期の、デフォルメされた音楽とは異なり、ここでのアレンジは抑揚が聞いているように感じるのは贔屓目だろうか。(この時期、すでに陳の作曲した「玫瑰玫瑰我爱你」は英米でカバーされヒットしていたのだが、この映画がアメリカを批判する内容であるのは皮肉というべきか。)キス・シーンはもしかすると、少数民族であるからこそ描写が許されたのかもしれない(野卑な存在として…ある種のオリエンタリズム?)。  あまりにも情けない国民党残党だが、実際にビルマ・タイ国境地域には遅くまで多くの国民党残軍が残されたままであった。彼らにとって不幸なのは、この映画のように共産党側からは無能さが際立った存在として描かれる一方、国民党・台湾側からも歴史のタブーとしてずっと触れられることがなかったことだ。彼らが台湾側のスクリーンに登場するのは、おそらく(柏楊の小説『異域』を経て)アンディ・ラウ主演映画『異域』(1990)、『トニー・レオンのエンド・オブ・ザ・ロード』(原題:『異域2』、1993)を待たねばならなかった。それらについてもまたレビューしたい。

「山間鈴響馬幫來」に関連する作品