異域

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台湾
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「異域」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年2月21日

     1990年、台湾。台湾製DVDで鑑賞。『醜い中国人』で知られる柏楊が、鄧克保の筆名で1961年に連載・出版した同名小説が原作。語り手・主人公(及び筆名)の鄧克保は架空の人物だが、その他の人物は実在していたという。これまた、雲南、さらにはビルマ(一部タイ)を舞台としたフィルムである。国境地帯に取り残され、台湾の国民党政府からも見放された国民党軍の運命を描き出す。  映画版は、朱延平監督。鄧克保を庹宗華が演じている。子役からスタートし、『小畢的故事』(少年)で小畢の青年時代を演じ、その後『風櫃の少年』『孤恋花』『ラスト・コーション』などにも出演している俳優である。だが、共演者は彼よりもずっと大きな名声を得ている。まず上官役として出演している柯俊雄。台湾を代表する大俳優であり、2004年より立法院の立法委員も務めた。2001年頃まで断続的に映画に出演していたのだが、私の見た中ではこれが最も最近の映画。まだ45歳だが、それでもさすがにちょっと老けたな、という印象。  そして、もう一人、香港の大スターとなるアンディ・ラウ。部隊から離れ、馬幇として生きていく道を選んだ男を演じる。香港のスター街道を歩み始めていた彼が、どうしてこの台湾映画に出演したのか、ちょっと不思議な気がする。意外といえば、大陸出身(モンゴル族)の女優である斯琴高娃が出演しているのに驚いたが、彼女は数年前にスイス人と結婚して大陸を離れ、前年には香港映画『フルムーン・イン・ニューヨーク』に出演していた(そういえば同年の台湾映画『嫁到宮裏的男人』に出演しているのもDVDで見たことがあった)。  朱延平監督、コメディを中心とする娯楽映画を数多く手がけているが、これは珍しくシリアスなタッチの映画だ。家族を引き連れ、国境近くを転戦するも、次々と家族や友人を失っていく軍隊の悲哀が描かれる。国民党を賛美するようでいて、実はその軍事方針、対外政策に疑問符を投げかけたこの映画、検閲で問題とされたものの、デモの効果があり、結局はノーカットで上映されたという。  共産党側の映画では、滑稽でふがいない存在として描かれていた雲南国境域の国民党軍だが、裏ではこのように壮絶な人間ドラマがあったことはたしかだろう。タイで全面ロケが行われたこの映画、戦闘シーンは迫力がある。監督自身も、自身の監督作品の中でも満足いく出来だったと語っているようだ。  主題歌「家,太遠了」と「亞細亞的孤兒」(羅大佑のカバー)を歌うのは、王傑。彼の歌手キャリアの中でも、出世作となるものだったようだ。

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