娘十六ジャズ祭り

日本
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「娘十六ジャズ祭り」のスタッフ・キャスト

「娘十六ジャズ祭り」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年4月4日

     新東宝、1954年。オフィス・ワイケーから発売されたDVDで鑑賞。ずっと「積んどく」状態だったDVDだが、先日聞きに行ったシンポジウムでこの映画を取り上げた発表があり、そこで見た主演の雪村いづみ(これがデビュー作!)の歌声と英語の発音が素晴らしかったため、ついに開封した次第。  井上梅次監督のまだまだ駆け出し時期のフィルム。のちに日活で『嵐を呼ぶ男』などを撮り、さらにフリーとなり、香港のショウ・ブラザーズでも活躍した井上監督。ジャズバンドの演奏やアメリカのポピュラーソングを取り入れただけでなく、一部でセリフから歌へとなめらかに切り替わるミュージカル方式をものにしている。井上監督の回想によると、これは出演者の古川緑波からもほめられたとのこと。また、監督は、これに続いて雪村いづみ主演で撮った『東京シンデレラ娘』こそ日本最初のミュージカル映画だとしている。  フランキー堺や高島忠夫の演奏シーンが見られるのも楽しい。また、雪村いづみだけでなく、新倉美子の歌もよい。美人で、歌もうまい、こんなスターがかつてはいたんだなあ。ストーリーはやや陳腐な人情ものへと流れようとするが、監督によると「話も通俗的だったが、これを洒落れた映画に変えようと冒険を試みた」とのこと。映画の中で楽団員たちがおんぼろアパートに帰り、ここが自分たちの天国さ、と言って階段をタップするシーン、もしかして『第七天国』あたりを意識したのだろうか。  古川緑波の役柄は「浅草でオペラをやっていた」とされていて、浅草オペラ出身であることが示される。彼自身浅草で、浅草オペラ出身者を含む「劇団・笑の王国」を率いていたので、興味深い設定だ。  のちに香港で『香江花月夜』(香港ノクターン)という傑作ミュージカルを映画をものにする、井上監督の原点がここにある。

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