
『アンソニーのハッピー・モーテル』のsouthpumpkinの感想・評価・ネタバレ

ウェス・アンダーソン長編処女作。『天才マックスの世界』でも似たようなコメントをしましたが、後に『グランド・ブタペスト・ホテル』で 完成するウェス・アンダーソンの完璧過ぎる世界観は最初から備わっていたものではなかったのです。本作も奥行きや空白を感じさせる画面構成ではありますが、ウェス・アンダーソンっぽいかと言われればそうではない。観ているだけでハッピーになっちゃうような独特の色彩もありません。 しかしその片鱗を感じさせるのがストーリー。泥棒に憧れる腐れ縁の二人とその仲間たちのグダグダな泥棒計画は独特です。つい画面にばかり目を取られれ気づきませんが、ウェス・アンダーソンのストーリーの持ち味として「シュールなボケをみんなでスルーする」というのがあります。今のボケ?みたいなのを必死で観客に考えさせているうちに物語がさっさと進む。本作ラストの大泥棒ではそんなのの連続で疲れちゃう。けど、面白い。なんで冷凍室の中でおじいちゃんがブルブル震えてるんじゃ…。 オーウェン・ウィルソンは当然わかったのですが、アンソニー役が実の兄であるルーク・ウィルソンだとは知らなかった!兄弟なのに腐れ縁の友達役ってのがいいですね。