少女は自転車にのって

少女は自転車にのって

Wadjda
サウジアラビア・ドイツ 2013年12月14日上映
rating 3.7 3.7
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『少女は自転車にのって』のスタッフ・キャスト

『少女は自転車にのって』の感想・評価・ネタバレ

  • HM world-traveller
    HM world-traveller 3 2016年12月27日

    初めて行った、イスラム教徒の多い国はエジプトだった。乗り継ぎ地点のドバイや、宿泊したカイロ市内のホテル・市街地で間近に見たヒジャブとアバヤ姿の女性達。宗教や文化の違いを否定するつもりは毛頭無いし、そういう環境で生まれ育ったら私もそれが当たり前だと思い、彼女達と同じようにするだろう。が、腕の先、足の先まで真っ黒なアバヤで覆い、髪もヒジャブですっぽりと隠し、目だけを残して顔もベールで覆い隠したその姿は 私の目にはどうしても奇異に写り、失礼と承知していながら、果たして外食の時はあのベールをどうするのだろうと思い 見てしまった。カイロのホテルのレストランで、中東からのツーリストと思われるその女性は右手でフォークを口に運ぶたびに、左手でベールの裾を持ち上げていた。 それでもエジプトやトルコ国民は、腕・足・髪を覆ってはいるとはいえ、顔は出している人が圧倒的に多く、アバヤの着用もなく 普通の長袖の服に長いボトムとスカーフだからまだ違和感は少ない。が、イランやカタール、サウジアラビアなど より厳格なイスラム教徒の多い国では外出時は皆 真っ黒なアバヤをはおる。更に、黒い手袋をはめ 黒いサングラスをかけ 肌が全く見えない完全装備の人もチラホラいる。車の運転はもちろん、女性1人ではタクシーの乗車やホテル宿泊もままならない国々。彼女達から見たら私達こそが はしたない格好をした人種に見えるのだろう。異文化と言ってしまえばそれまでだけれど、日本人の私には窮屈極まりなく見えて溜め息が出た。。 前置きが長くなってしまったけれど、旅先で数多くのイスラム教徒を見かけそんな思いを持っていたため、サウジアラビアの少女が自転車を手にするまでの物語と知って興味をそそられ本作を手にした。ワジダは自転車に乗ることを夢見る少女。いつか手に入れたいと ミサンガ作りに精を出しそれを売ってお金を貯めていた。1本1, 2 リアルのミサンガ。欲しい自転車は800リアル。女の子が自転車だなんてとんでもないとして 母親は「自転車に乗る女の子は妊娠できなくなる」と脅す。学校の校長は自転車どころか雑誌や音楽など 視聴するもののチェックも厳しく規定に従わない生徒は退学などの処分に処される。厳しい書籍の検閲、メディアの規制、ごく数年前までは女子は学校での体育授業さえ禁じられていたのがサウジアラビアという国だ。ここまでくると宗教観以前の問題だと思う。 そんな国にあってこういう作品が作られたということ。そしてこれは同国出身初の女性監督作品でもある。これ自体がとても画期的で大きな一歩だと思う。2012年のロンドンオリンピックではサウジアラビア初の女性選手が派遣されたし、厳しいイスラム戒律の元でも少しずつ何かが変わりつつあるのだろう。 最後のシーン、ワジダは自転車を力強く漕ぎ、少年よりも前に進む。行く手にはトラフィックの多い幹線道路が立ちはだかりワジダは足を止める。だが、彼女はあくまでも笑顔で前を向くのだ。厳しい規律に 見ているだけで息がつまりそうだったが、わずかでも希望を感じられるラストは良かった。本作は、女性に限らずサウジアラビア国内では観ることができないらしい。同国の、自由を求める女性が自由を手にする日は来るのだろうか。

  • Daichi Yamada
    Daichi Yamada 4 2016年3月17日

    まだイスラムに毒される前の少女の物語。男と目を合わせちゃいけないとか、外出は顔を隠さなきゃだめだとか、生理中は素手でコーランを触ってはいけないとか、女の子は自転車に乗ってはいけないとか・・・大人の女たちが少女たちにこと細かく教え込む。それが文化だと言ってしまえばそれまでだが、この女性監督は映画を通じて、やっぱりおかしいでしょ、と言っているのだ。 サウジアラビア初の長編映画をサウジアラビア初の女性監督が撮ったというのは、大変意味のあることだと思う。

  • Fumihiro Yamanouchi
    Fumihiro Yamanouchi 3 2015年9月7日

    ワジダいいなぁ。いい話だ。

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