千面女郎

千面女郎
香港
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「千面女郎」の感想・評価・ネタバレ

  • changpian
    changpian 4 2013年12月25日

    1959、香港・桃源。ネット上の動画で鑑賞。1960年前後の十年間を中心に活躍した香港のディーヴァ・葛蘭グレース・チャン主演の映画。彼女の主演映画はキャセイ(國際電影懋業)のもののほとんどがDVD化され、駆出し時代の新華のものも最近DVD化されたが、それ以外の会社のものは見ることができなかっただけに貴重だ。これは彼女がキャセイ以外の会社に出演した最後の映画となる。いちばん脂が乗っていた時期だ。非キャセイとはいえ、張揚、高宝樹などのキャスト、作曲の姚敏など、キャセイおなじみの顔ぶれなのだが、でぶっちょ役は劉恩甲ではなく尤光照。  これは楽しい映画だ。一年後には『野玫瑰之恋』で恋人を演じる張揚と葛蘭が、ここでは父娘役。そして歐陽莎菲が張揚の母親役だ。実際には1933年生まれの(今年80歳で、香港でパーティも開かれた)葛蘭に対し、張揚は1930年生まれ、歐陽莎菲は1924年生まれ、とあまり年齢は違わないのだが。それにしても『千面女郎』というこの題名、本当は歐陽莎菲に捧げたいぐらいだ。上海時代から『天字第一号』などのスパイ映画に出演し、そのせいか変装の名手として若い時から老け役を演じた彼女。ずっと後に至るまで、香港映画界に老女役として君臨した。『野玫瑰之恋』でも張揚の母親役を演じている。  だがこの映画の主役は葛蘭。彼女の老け役も見ることもできる(現在のふっくらとした80歳の姿とはだいぶ異なるが…)し、ミュージカルパートでは彼女の七変化を見ることができる。そして何と言っても、本作の魅力は京劇を演じる彼女の姿。ジャズ~ブルース的洋楽や、オペラ的楽曲の印象が強い彼女だが、幼い頃から崑曲も学んでいた(今も学んでいるという)。そのような彼女の素養がかいま見られるのは本作と引退作『啼笑姻緣』ぐらいではなかろうか。その一方で、冒頭のオーディションシーンでは、服部良一を思わせるブルース的旋律も歌いこなす。  張揚演じる大学生が京劇女優(葛蘭の二役)と恋仲になるも、母親に引き裂かれる。その間に生まれた娘(葛蘭)も映画会社にオーディションに合格するが、祖母に反対される。祖母も最後には芸能界への偏見を改め、孫娘の映画界入りを認める、というストーリー。、社会的に虐げられた「歌女」の表象が、香港映画の中でいかに変化して「明るいイメージ」の歌手へと変貌していくか、という論文を書けないか、という構想を夢想したことがあったけれど、この映画はその補助線となりうるだろう。 ※特刊画像です。http://ow.ly/i/47Tdk

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