
『香港の星』のスタッフ・キャスト
『香港の星』の感想・評価・ネタバレ
-
ネット上の動画で鑑賞。宝田明=尤敏共演の香港三部作中の第二作。ここでの宝田は東南商事の駐在員という設定。一方の尤敏は難民診療所の医師の娘で、東京女子医大で学んでおり、後には医者となってシンガポール、クアラルンプールに赴任する。三部作の第一作『香港の夜』も『慕情』を下敷きにしていたが、この女医という設定からも『慕情』の影を読み取ることが可能だろう。また日本人駐在員と香港娘との恋愛はウォン・カーウァイ監督の『2046』中の木村拓哉とフェイ・ウォンの関係を想起させる。 そして北海道のスキー場のシーン。大陸の中国人もそうだが、香港人も北海道が好きだが、そのルーツはこの映画にあるのかもしれない。北海道ロケは後に井上梅次が香港で撮った映画にも受け継がれる。また、マレー半島でもロケ。観光映画として各地を紹介すると同時に、マレー半島の人々にも歓迎される試みであっただろう。 この映画の団令子もなかなか魅力的だ。冒頭、ソニーという実在の会社が登場するのは不思議だ。そして、前作同様、主役の二人は結ばれないままで終わってしまうのは、当時の香港の観客の意識に配慮したものだろうか。