男はつらいよ 寅次郎恋歌

日本
rating 3.4 3.4
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「男はつらいよ 寅次郎恋歌」のスタッフ・キャスト

「男はつらいよ 寅次郎恋歌」の感想・評価・ネタバレ

  • enchang318
    enchang318 4 27日前

    113.2017.5.28

  • theskinheads
    theskinheads 5 5月3日

    毎回同じシナリオで進むこの映画シリーズであるが、その恋模様と、その他に描かれるサイドストーリーが個性を出すのだと思うが、個人的にサイドストーリーで最も泣けて好きな話がこの8作目で描かれている。 寅次郎の義理の弟。つまり、妹の櫻の旦那、博の話だ。 1作目に出て来た、博の両親。その母親が亡くなり、急いで櫻と博が岡山を訪ねる。 そこには2人の兄とその夫婦がいて、お葬式を進める。みんなで食事をする。嫌な話だが聞かない話でもない。誰もが通る道だともいう。遺産トラブルである。長男が父親と一緒に暮らそうとする。そしたら家は空き家になるから売り払ってお金にしようと。ちなみに博は末っ子だ。父は1人で暮らすつもりだとその誘いを断るが、今度はみんなが口を揃えてお母さんを懐かしむ。 「人間、欲深いのはダメだ。その点、母はよくできる人だった」 「そこが母さんの取り柄だ」 「聖書にも『心の貧しきものは幸いなり』って書いてるじゃないですか」 父も、兄も母の素晴らしさを口にするが終始口を閉ざしていた博が言ったセリフは違うものだった。 「お母さんが世間並みの欲望がなかったなんて、それは嘘です。 小学校に行っている頃、僕は時々お母さんに連れられて港に行きました。お母さんは船を見ながら 『私の娘からの夢は大きな船に乗って外国へ 行くことだったのよ。そして華やかな舞踏会で胸の開いたドレスを着て ダンスを踊ることだったのよ。でも、父さんと結婚した時、そんな夢は諦めたのよ』って。本当は母さんだって情熱的な恋をしたかったんだ、華やかな都会で暮らしたかったのを諦めていただけなんだ」 大学にも行かないで迷惑をかけたくせにと怒る次男。 「だから僕は一軒家を持ったら母親を引き取るつもりだったんだ、東京の生活を味わわせてやりたかったけどそれができなかったんだ。大学行かなくて何が悪いんだ。大学に行かないとまともな口もきいちゃいけないのか。」 対して長男 「お前の言いたいこともわかる。しかし母さんが息を引き取る前、俺になんと言ったか分かるか?母さんは苦しみながら『何も思い残すことはない』そう言ったんだ」 博が「じゃあ母さんは最後まで嘘をついていたんだなぁ」と熱い涙を流す。 「何を根拠にそんなことが言えるんだ!」 「もし本気でそう思ってたんなら僕はもっとお母さんが可哀想だ。だってそうじゃないか。父さんの女中みたいな生活を本気で幸せと思い込んでいたなら、そんな可哀想なことってあるもんか」 長々と書いてしまったが、こうして思い出してレビューを書いてる電車の中でも涙が溢れてくる。 それをきいて落ち込んでしまう父。きっと父はそんなことを考えたこともなかったのだろう。自分勝手に幸せだと思ってたんだろう。もう取り返しがつかないのに。 今回のヒロインは旦那に先立たれ1人で柴又で喫茶店を開いた女。美人が故、すぐに町の噂になり寅さんも惚れ込んでしまう。女手1つで子供を育てる良き母だが、息子は転校先で馴染めないでいる。心配する母のために寅さんは一肌脱ぎ、すぐに元気な友達を作ってやる。顔に擦り傷がある息子の姿を見て喜ぶ母。 しかし大きな借金があることを知り、派手な暮らしもできない寅さんが商売をして力になろうとする。その演技がなんとも素晴らしい。焦った顔で売り込もうとする寅さん。お客さんが自分のもとを離れていくとその表情はさらに険しくなり見ていられない。クラスの人気者がはずかしめを受けているような気分だ。そこに警察が現れ渋々場所を変える。その先のお客さんは子供1人。さらに先ほどと同じ警官がまた来てしまい何を言われてもペコペコと頭を下げて去っていく。 稼いだお金でリンドウの花を買いプレゼントする。ちなみに今作でリンドウの花には重要な役割がある。それは人間の幸せである。平凡な町の営みにこそ、幸せがあるのだ。リンドウの花が咲いている、赤々と電気をついた家をのぞいて見ると、そこには家族が食卓を囲んでいる姿が見える。これこそ人間のあるべき姿なのだと。 それはちょっとしたプロポーズだったのかもしれない。相手に伝わるわけのない、一方的な願いを込めたプロポーズ。これから3人で、リンドウの花が咲く家で食卓を囲もうと。しかし寅さんはヤクザゆえ、話のカタをつけに行こうと示唆する。金を借りた相手にである。指の一本や二本、いや片腕や片足くらい切り落としてもいいと。 嬉しいわ、そんなこと言ってもらえたの私生まれてはじめてよ。でもいいの。 今回はフラれたわけではない、しかし男には分かる。そこまでの覚悟を伝えてまでも断られるということの意味が。 これを最高傑作と言う人が多いのも分かる、本当に素晴らしい作品。