乱れる

乱れる

Yearning
1964年製作 日本 98分 1964年1月15日上映
rating 4.5 4.5
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『乱れる』とは

『みれん』の松山善三が脚本を執筆したテレビドラマ『しぐれ』を、本人が映画用に書き直した作品。『女の歴史』の成瀬巳喜男がメガホンを撮り、名作メロドラマとして仕上がっている。 高度経済成長期、地方都市のある家庭を舞台に繰り広げられる、未亡人と義弟という間柄である男女の許されない愛を描いており、その繊細な描写をモノクロ映像、そしてスクリーンの左右に空白を残した印象的な映像で、ストーリーを綴っている。ヒロインに高峰秀子、共演には加山雄三などを迎えている。

『乱れる』のあらすじ

森田屋酒店に嫁いだ礼子は、子供ができずに夫に先立たれ、嫁ぎ先である酒屋を独りで切り盛りしていた。森田家の次男であり、礼子の義弟である幸司は、東京で勤めていた会社をやめ、故郷に帰ってきていた。 しかし、幸司は女遊びやパチンコ・喧嘩に明け暮れ、手をつけられない程にだらしのない男になっていた。そんな幸司だったが、義姉の礼子は彼をいつも優しく迎えていた。再婚せず、18年も森田家で夫の弟である幸司の成長を見守っているのだ。 ある日幸司は礼子に、今までの複雑な想いを打ち明けた。「馬鹿と言われようが、卑怯者といわれようが、僕は義姉さんの側にいたい」と……。

『乱れる』のスタッフ・キャスト

『乱れる』の感想・評価・ネタバレ

  • southpumpkin
    southpumpkin 4 2019年11月7日

    夫に先立たれた女はそのまま嫁ぎ先の焦点に残り18年間店に尽くしてきた。店の周りにはスーパーが出来、店の入りは悪くなっていく。 この映画には常に「新しさ」と「古さ」を感じさせる。それはスーパーに対する個人商店であるが、それは徐々に人間にも広がっていく。生真面目に生きてきた未亡人はいつの間にか時代に取り残された古い人間になってしまったのだ。そのあまりに残酷な真実に劇中全ての主要登場人物が気づいてしまう。気づいた挙句、あまりに苦しい、そして日本人らしい忖度が始まるのだ。自らに正直に生き続けた男すら、その忖度の波に飲み込まれ、あまりに衝撃的なラストを迎える。今なお、いや今だからこそ評価されていい普遍的な大傑作である。高峰秀子の演技は凄まじいの一言。心情の機微を如実に切り取る成瀬巳喜男の手腕たるや。

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