おとなの恋には嘘がある
おとなの恋には嘘がある
Enough Said
アメリカ 2014年4月4日上映
rating 3.5 3.5
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『おとなの恋には嘘がある』のHM world-travellerの感想・評価・ネタバレ

HM world-traveller
HM world-traveller 3 2016年5月10日

デルタ航空機内で鑑賞。 【Enough said (もうそれで十分だよ)】 個人差はあるけれど、一般的には年齢と共に抱えるもの守るものが多くなり、守るものが多くなるとどうしても慎重になるんだと思う。地位・家族・プライド・自分のライフスタイル・世間体・いい歳して傷つきたくないという心。それらが時として素直なコミュニケーションを妨げる。 積極的な嘘をつくのではなく、聞かれないのをいいことに事実をあえて言わないことって 年齢に関係なく経験ないですか? 「その事実自体は自分のせいじゃないから」「言うと微妙な空気を招きそうだから」と、自分の心の中で言い訳をして相手に言わない。邦題の ”嘘”はそういう嘘だった。 幾つになっても不器用なものは不器用で、臆病な部分は臆病なまま。人生経験を積み処世術をそれなりに身につけて 人にはアドバイスできるようになっても 自分のこととなると頭で考えるとおりには行動できない。共にバツイチで大学生になる娘がいる熟年同士のラブコメなのに意外なほど幼くて、こういう気持ちにティーンズも熟年もないんだろうな、と感じた。 原題は「Enough Said」 「それ以上はもう言わなくていいよ」「もうそれで十分だよ」という意味のタイトル。特別ときめくことのない、”ごく普通の紆余曲折” ある展開が導くラスト。かっこよくもなくドラマティックでもない現実的な幸せと この原題のニュアンスはとてもマッチしている。なぜこんなことになったのか自分の気持ちをクールダウンして考え、素直になった先にあるのがEnough said。 実を言うと観た直後はあまりピンとこなかったのだけど、後から思い出し反芻しているうちに味わいを感じられるようになってきた不思議。熟成によって味わいと香りに奥行きが生まれ、やわらかな口当たりとなるワインのように。