めし

めし

1951年製作 日本 97分 1951年11月23日上映
rating 3.8 3.8
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『めし』とは

成瀬巳喜男監督により、朝日新聞連載中であったが未完となっている林芙美子の同名小説を映画化。林原作・成瀬監督による、記念すべき映画初作品である。脚本は、『哀愁の夜』の井手俊郎・『少年期』の田中澄江が共同で担当。 主演は『麦秋』の原節子。出演者に、上原謙や島崎雪子、杉村春子などを迎えている。第25回キネマ旬報ベスト・テン第2位。倦怠期を迎えた夫婦という陰々滅々な題材であるが、軽快に進むストーリーで親しみやすい作品に仕上がっている。

『めし』のあらすじ

岡本初之輔と三千代の夫婦の結婚生活は5年が経ち、大恋愛を経て結ばれた仲だが、倦怠期へと突入していた。周りからは幸せな家庭のように見えているが、実際は些細なことで喧嘩を繰り返し、夫婦の溝は深まるばかりであった。 そんなとき、初之輔の姪・里子が東京から家出をし、岡本夫婦の元へやってきた。単調でつまらなく、毎日家事と家計のやりくりに追われる生活に疑問を持っていた三千代は、奔放な里子が家庭の空気を乱し、さらに初之輔と楽しそうにしている姿に苛立ち、不満を募らせる。そしてとうとう耐えられなくなった三千代は、里子を東京へ送る名目で、自分の実家もある東京へと立つのであった。

『めし』のスタッフ・キャスト

『めし』の感想・評価・ネタバレ

  • southpumpkin
    southpumpkin 3 2019年11月13日

    妻の家事に理解を示そうとしない夫と、その夫にフラストレーションを感じる妻。二人の元に東京から姪がやってくる。 成瀬巳喜男監督作。フラストレーションを感じた妻が家出し、残された夫が辛い思いをする。この物語展開は『サザエさん』で年に1度くらいの頻度でやっているような気がするが、原型はここにあったか。家事に追われ息も吐く暇がない女たち、その女たちは皆自らの境遇に諦めをしているようだ。対して自由気ままに遊ぶ男たち。その男女がお互いを思いやることで映画は実を結ぶ。この映画を観た当時の夫婦たちが仲を良くする姿を想像してニヤニヤした。 この映画を観て思ったのだが、成瀬巳喜男は会話においてシーンの最後にセリフのないカットを入れるように思う。だいたい女の人がテヘっと笑うシーンなのだからこれが非常に可愛い。原節子の演技は既に円熟の域に達していると思うが、島崎雪子の可愛さは恐ろしい。デレデレになるのがわかる。 ラストで「女は男の夢を支えることが幸福である」と言っておりこれは現代のドラマには出てこないセリフだと思った。成瀬巳喜男の理想よりも世界が少しだけ先をいったということであろうか。

  • Kei Miyazato
    Kei Miyazato 4 2014年10月21日

    1951年の成瀬巳喜男作品、倦怠期の夫婦に亀裂が入る過程と関係修復を描いた、ストーリー的には何て事無い映画なのに終始 上手いな~と知った口をききたくなる憎い演出!オープニング早々に゛めしはまだか?゛と言う上原謙に は~い、と言いつつ先に猫にめしをあげる原節子、壊れた時計にもこれから起こるゴタゴタを感じてしまう、酔い潰れた上原に近寄り原節子に視線をやる超可愛い子猫に助演ニャン優賞、、などと禁断の禁句を書きたくなる程 子猫可愛し!監修は川端康成です!!

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