アラビアのロレンス
アラビアのロレンス
Lawrence Of Arabia
1962年製作 イギリス 207分 1963年2月14日上映
rating 3.6 3.6
70 21

『アラビアのロレンス』のフュリオサなbepの感想・評価・ネタバレ

フュリオサなbep
フュリオサなbep 4 2016年2月3日

思考の差異者にして絶望の踏破者、イギリス軍の変わり者ロレンスが荒漠たるアラブで命を懸ける大冒険のお話。 まずなによりも雄弁すぎる映像の膂力。『マッドマックス 怒りのデスロード』でも広大な砂漠にヒトのちっぽけさを思ったものであるが、今作の遠景の美しさったらないね。惚れ惚れする。パンフォーカスで画面が動いてもこの世の果てまで地平線。 文化と文化が衝突し、利害と利害がぶつかり、政治と政治が激突するところにドラマはまるで水底から湧く泡のように生まれる。 今作はブロマンス映画としての魁でもあり、定石が見事。金髪碧眼のロレンスと、アラブの首長で雄々しいアリ。出会いは最悪。正反対の2人が思い思われ惹かれあっていくのは胸が高鳴る。アリかわいいよアリ。不器用なのがかわいいね。 アラビアの自由のために、彼独特の感性でがんばるロレンス。しかし時代の荒波は彼の真心を砕いていく。絶望の踏破者たらんとしたロレンスがそれでも絶望に魅入られてしまうのがなんとも痛々しくてかなしい。 【任務のために政府に尽くし、生まれとは違う境遇になろうとした】…このロレンスの生きざまは僕に近藤勇を思い起こさせる。あるいは土方歳三だ。武士よりも武士らしく生きんとして武州の田舎から出てきて京都守護の大義の元に駆け抜けた彼らは、アラビア人よりもアラビアの未来を思ったロレンスに似ている。 そしてまた絶対であった政府が“正しさ”を喪失し、それに翻弄されてしまうというのがなんとも…。切なくて美しい。 劇映画としてとても面白かったが、『新・映像の世紀』の第1回も実際のファイサル王子やロレンスの姿があり、見ものである。