リトルプリンス 星の王子さまと私
リトルプリンス 星の王子さまと私
The Little Prince
2014年製作 フランス 107分 2015年11月21日上映
rating 3.8 3.8
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『リトルプリンス 星の王子さまと私』のmazdaの感想・評価・ネタバレ

mazda

星の王子さまの物語のその後、砂漠に不時着した飛行機乗りの男はおじいちゃんになっていて、1人の女の子がおじいちゃんを通して星の王子さまの物語を知るところから始まる。 「良い人生」って何なのかと考える、確かにそれなりの知識をつけて頭の良い学校に入り立派に就職できたとすれば良い人生な気はするかもしれない。でもその良い人生が楽しいかどうかはわからない、それが楽しくなるかどうかは肩書きや知識は正直関係ない。 少女は頭の良い学校へ母の言われるままにお受験して、1日のスケジュールも何から何まで時間にして事細かに気持ち悪いぐらいに決められてる。でも母と少女の2人暮らしの中、母も何にも考えなしにこんな事やってるわけじゃない。彼女なりに娘を思って、良い人生を送れるようにという思いからきた計算し尽くされた生活。 親は子供を守らなきゃいけない、きちんと大人になるまで育てなきゃいけない、それは良い人生に繋がる大事な役割だけど、その人生に楽しさを見出すことは誰かがやることではなくその子自身。 誰かから聞いたお話から得た想像力や自分が体験して感じたことや、人と触れて気づくことはどんなに一生懸命勉強しても得れることではない。知識は1つの答えに誰もがたどり着くものだけど、想像して生まれる答えは人の数だけ、人の数以上にあるものだから。 そういうことから生まれる自分の意思も、自分の意思によって気づく大切にしたいものも、人生が楽しくなるその理由も、大切なものは目には見えない。大切なもの の答えは誰に聞いてもわからないし、そもそも人によって違うから本にさえ書いてない、説明してわかるような安易なものではないし、自分で感じて気づくしかない、だから目には見えないもの。 本とは少しだけ違う形でその事を教えてくれた、多くの"大人になった人"に観てほしいと思えるから映画もやっぱり素敵な作品でした。 でも私にとって星の王子さまは、中高生の頃読んだ中で一番の衝撃を受けた本で、あの衝撃をうけるほど突き刺さる言葉達をこの映画は超えることはできない。 そもそも映画を否定してしまうようなことをあえて言うけれど、本は少しの絵をヒントにそれぞれがそれぞれのペースで読んで感じて、想像して出来上がる世界だけど、映画は誰が見ても共通している世界がある。この物語で語られてる「大人になると忘れてしまう大切なこと」の1つは、定義にはまらない、自分の感じ方で描く自由な想像力、発想力だと思う。そのことを実際に物語を聞きながらできるのは、映画よりも本だと思うしそれが本というものの魅力、だからこの映画がどんなに素晴らしくても、そもそも本を超えることはありえないんだと思った。 もう1つ懸念点として、大人になった星の王子さまが本作には出てくるけど、あれだけ純粋な心をもって自分が疑問に思った違和感を大切にしてまっすぐぶれなかった彼が、.大人しかいない国にあっさり飲み込まれて、大事なことを忘れているということがすごく考えにくいと思った。それだけきたない大人が集まると、流される人間を生み出す洗脳力がすごいということなんだろうけど、そう考えてもあの頃の星の王子さまからはとても考えられなくて、唯一この映画でものすごく嫌いなシーンでした。 みんなむかしは子供だった って言葉がこの映画の全て。ちゃんと記録したくてこうやってレビューするけど、この映画がどんな映画かなんていう説明は本当はいらない、みんな観てそれぞれが感じとればいい、そう思わせてくれる映画。