オペラ・ハット

Mr. Deeds Goes to Town
1936年 アメリカ 115分
rating 4 4
1 2

「オペラ・ハット」のスタッフ・キャスト

「オペラ・ハット」の感想・評価・ネタバレ

  • mazda620
    mazda620 4 2016年10月24日

    アメリカの田舎の青年が遺産相続のためにNYへいくのだが、一瞬にして大富豪となった彼の周りはハゲタカのようなハイエナのような、目をギラギラさせたやらしい人間ばかり。そんな中でもぶれずに、見失いがちな人間の本質が芯にぶっささったまっすぐな青年を描いた映画。 いつの時代もどこにいっても嫌な人間というのはつきまとうようにいる。例えばキラキラした夢をもって上京したり、向上心の高いきもちで就職したりしても、その行った先でもまれて数年後には熱意もなくなっていたりする人は世界中にいるだろう。その環境にいれば知らないうちにその色に染まっていたりするし、こんな人にはなりたくないとあの頃思っていたような人間に数年後なっていたりする。みんな最初からいじわるだったわけじゃない。どこかのタイミングで逆流して変わってしまったのかもしれない。 自分のことを馬鹿にする人や、見下す人、たくさんの敵のなかで、それでも自分の信念を貫くことって人の強さだなって思う。自分は流されてるつもりはなくても、本音を言うことをあきらめていたり、目の前の問題を変えることを諦めたりするのはすでに流されてるからかもしれないし、向かってくるものに立ち向かうことを諦めるのは自分の信念を押しつぶしてることといえるかもしれない。時に諦めることも我慢も必要ではあるけど、そういう瞬間がきっかけで、人は忘れてはいけないことを忘れてしまうのかもしれない。 理不尽で卑怯な社会や人々に、一瞬は諦めていた青年ディーズだったけど、それでももう一度自分の意思と向き合う姿勢に胸を打たれた。映画を見ながら出てくる人物にイライラしたりショックをうけたり、いやな人としか感じれない自分に対してディーズの言動や行動に、感動以上に自分に足りないものをつきつけられはっとさせられる。多くの人が見失っている人の本質を彼は忘れなかった。 「船を漕ぐのを諦めた人と溺れている人どちらを助けるか?」汚れを感じない直球で伝わってくる優しさ。 最近観た映画はどれも「人を信じる」ということに焦点をあてて描いた映画が多く、この映画のラストもそんなことが細やかに描かれていたように見えた。苛立ちや悲しみを信頼に変える勇気は、その人の心の強さを感じる。 私が観たキャプラの映画ではいまのところ1番低い今作、それでもこの評価。社会に向けた皮肉と人の本質を浮き彫りにさせて、所々笑いをいれながらも、最後には人生観に刺激を与えるものを作る人。難しいことを考えずにここからどうなるんだろう?と見入ってしまう、そんな映画の醍醐味ともいえる要素を必ずといっていいほどぶらさない、後半からどんどん面白さを引き出していくような作りが単純に楽しめる理由。やっぱりキャプラは素晴らしき映画監督。映画の古さなんて微塵も気にならない。古いものも、新しいものも、良いものは良い。こんなに昔でも人々に影響を与え圧倒させる映画をつくるのだから、映画の良し悪しに年代は関係ないと思った。

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