
『アクトレス 女たちの舞台』の感想・評価・ネタバレ
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壮年期の女優から期待の(?)新人スターへの世代交代、という、一見「イヴの総て」のような切なさを孕んだプロットである。しかし、アルプス広がるスイスの絶景の下での、秘書との劇中劇の台詞の応酬が、やがて主人公の立場とリンクしていくという対話が生み出すメタ構造を楽しむ映画でもある。 これより後の「パーソナル・ショッパー」と比較すると、多言語映画、スマホやタブレットの多用、映画内映画(ドキュメント)、メモ書きの受け渡し、重要な人物のプロット上からの唐突な「消失」など、演出=プロット面での相似点が非常に多く、朝安がいかに演出ありきでシナリオ執筆をしているかがわかる。音楽を用いて映画全体を三幕構成の演劇に仕立て上げるかのような、ある種の「パロディ」もユニークだ。 クリステン・スチュアートの横顔の線はしなやかで素晴らしいが、クロエ・モレッツの顔はとても見ていられない。なんであんなに流行ってるの?
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あらら、この作品、評価が随分低いですね! 新旧の女優対決というのが大筋ですが、 そういう展開になるのは後半から。 ビノシュ、クリステン、クロエと、それぞれ好演してました!
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「女たちの〜」とあるけど、実質ビノシュの独り舞台だった。三部構成の第一幕は今も生々しい過去の時代と同じつもりの大女優マリア、第二幕は役を受け入れるまでの葛藤、終幕で若手女優ジョアンとの対峙。それぞれのビノシュは見た目も別人のように変わる。若さの特権への執着、経年と変化への恐れ。舞台劇「マローヤの蛇」がマリアとジョアンに重層的に重なっていて、架空の芝居そのものを観た気になるほどきっちり作られてある。 実は個人秘書クリスティン・スチュワートがビノシュの鏡像であり一身一体(2人とも常に同じ煙草を手放さない)、彼女はマリアが認め難い真実を投げ返す。2人だけの山籠もりは修行だ。『クリード』で鏡に向かってシャドウボクシングするのと同じように、これは若手女優でなく自我と戦う「修行映画」だ。だから谷間に這う本物のマローヤの蛇を見て、裏も表もない無垢が迸る時、鏡像は姿を消す。そういう意味で最初から最後までビノシュの映画。なんだかんだいってもクロエちゃんは、あの舞台でビノシュに捻り潰されるだろう。 雄大なシルスマリアの山々と雲、クリスティンのデカパンも印象的。最後の落とし所はアサイヤス監督自身を思わせるし、2人の女優像に色々なモデルを想像させる。関連作としてベルイマンの『ペルソナ』が観たい。
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2016.1.1
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事前に内容を把握せず、情報入れずに観るタイプなのであるが、今回はそれが災いした。 どういう風に観ていいかがつかめず、???のままクライマックスへ。 役者たちの役作り、それに伴う彼らの考え方、捉え方、生き方を 観て、聞いてほほぉってなる映画かな。 わからないなりにこのまま行けば納得だわってところまで行って振り出しに戻されたので頭の中がパニックになった(多分伝わらない、申しわけない
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豪華女優陣の共演で華やかさをイメージしていましたが、ジュリエットビノシュが演じる主人公マリアの直面する老いと葛藤がテーマでした。 若くて自由奔放で、美しい若い女優とのバチバチした嫌な言葉の交換は寒くなりました。 スイスが舞台なのが、新鮮。 大自然が素晴らしいです。
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豪華三女優とスイスの絶景は素晴らしいんだけど、退屈しちゃいました(^-^;
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もう十分に「アラフォー」の域に達している自分にとって、マリアの葛藤は非常によくわかる痛い話でした。マリア、ヴァレンティン、そしてジョアン共にそれぞれの歳における魅力的な女性を演じていて、その掛け合いを見てるだけで十分満足です。特にマリアとヴァレンティンのセリフ合わせは、現実と芝居が錯綜し、さらに映画を出た先のリアルとも重なって、シルスマリアの美しい風景と共に幻想的な物語になってました。印象的に使われていたパッヘルベルのカノンの旋律は、3人の共通性と、それぞれが年代は違っていても、同じく歳を経て年老いていく様を表しているようにも思いました。
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ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ。けっこう豪華な出演陣なんだけど、「?」っていうのが感想。あれはどうなったの?どうしてそうなるの?って、回収できないところがいっぱい。クロエ目当てだったのに出番少ないし。
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成熟した女優の困難を描いた作品。 マリアの様にキャラクターを理解できた上で演じるのが役者だと思っていた僕にはちょっとびっくりした作品。 確かに、ハリウッドの映画のSFキャラクターはそもそも異次元の存在で理解できるという範疇を超えている。 マリアはそんな役を受けれるのは若さの特権だという。だからこそマリアのように悩み考えた末に演じるキャラクターはより一層輝くように思える。 この監督は俳優を見て映画を作っているようで、キャスティングがその俳優の背景も合わせて完璧。 今回の場合、成熟した大女優マリア・エンダースを演じたジュリエット・ビノシュを見て作ったらしいのですが、成熟した女優の様な作品を選びながらもやはりハリウッドの映画出演が目立つクロエ・モレッツや、成熟した女優へと移りつつあるクリスティン・スチュワート。 小さな役で最近自身で映画を手がける若手俳優のブラディ・コーベット。 バレンティンがマリアへハリウッドのSF映画の素晴らしさを説くシーンがあるのですが、僕はどうしてもやっぱり笑ってしまいますね。
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2015.10.28
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シネリーブル梅田
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