光のノスタルジア

Nostalgia de la luz
2010年 フランス・ドイツ・チリ 90分
rating 3 3
2 7

「光のノスタルジア」のスタッフ・キャスト

「光のノスタルジア」の感想・評価・ネタバレ

  • ____RiN____
    ____RiN____ 4 2015年10月28日

    「…それは、捜したわ」 たぐるまでもない記憶を、私はたぐった。 「それしかしようがなかったもの」 (湯本香樹美「岸辺の旅」) 死者を待つのは、捜すのは、悼むのは、古今東西いつの日も女ばかりだ。女ばかりが、その深い悲しみを忘れず、すがって、執着して、血眼になって捜す。逝ってしまった愛する人の影を。 1973年に誕生したピノチェト政権はその拷問と虐殺ぶりで、世界史に深く名前を刻む。チリの地で、わずか16年の政権下において公式発表3196人の死者・行方不明者という、実に多くの血を欲した。映画の舞台・アタカマ砂漠にも、悪名高い強制収容施設が存在し、おびただしい数の民間人がそこで"消失した"。言葉通り消えてしまったのだ、忽然と。 ある日突然一方的に突き付けられる兄や弟の、両親の、夫の、子供の死。遺体もなく、遺品や遺書の類もなく、あなたなら受け入れられるだろうか。 政権が倒れて約20年、今も女性たちはスコップをもって広大な砂の大地へ訪れる。愛する人の骨を捜すために。 時を同じくして、世界中の天文学者たちも探索者としてアタカマ砂漠を訪れる。しかし彼らが求めるのは大地に埋もれた骨ではなく、ほかに例を見ないほど澄んだ砂漠の空の向こうの、輝く星たちだ。彼らはまた、砂漠を捜す彼女たちに深い敬意を持つ。 星空を見上げ、生命の起源を、言い換えれば希望の種を探す天文学者たちと、砂の地でまるで巡礼者のように一心不乱に死の影を探す女性たちを結ぶ美しいドキュメンタリーは、生と死を見つめる壮大な抒情詩のようでした。