オマールの壁
オマールの壁
Omar
2013年製作 パレスチナ 99分 2016年4月16日上映
rating 4 4
10 7

『オマールの壁』のmazdaの感想・評価・ネタバレ

mazda

パレスチナに住むオマールの前に立ちはだかる数々の壁。オマールの壁はパレスチナとイスラエルの分離壁のことだけではなく、彼が自由を手に入れるために進む道に立つ、数々の試練のことをさしていた。 自分の生まれる国を選ぶことはできない、生まれてきた国がここだっただけ。どこに生まれようと仕事をもつ自由、恋愛する自由、意思を主張する自由があるはず。オマールは友達や恋人に会うために毎日分離壁をのぼって殺される覚悟で会いに行く。縛られた自由だけど、縛られた中で仲間や恋人と楽しい時間を過ごしていた、そんな生活の中でもっと自由になりたいっていう欲求が生まれるのは自然なことだし、張り裂けそうな主張も行動も否定なんてできない。 縛られた枠の中でも最低限の自由をもつ彼等からその最低限の自由さえ奪ってしまった時、どこにも誰にもぶつけられない怒り、どうしてこうなったんだという後悔、この国の不条理な仕組みに腹がたつ。その国に生まれてきたことも、大好きな仲間や恋人がいることも自然なことだけど、それらが壊されることは自然なことではない。恋人や仲間へ抱く怒りも、もはや全ての矛先はこの国にぶつけられる。 神は越えられない壁は与えないというけれど、彼につきつけられたその壁は越えられるか越えられないかという話ではない。ぶち破るしかなかった。生き方さえ縛られたような中で爆発した彼の意思を表したのがあの唖然とするラストなんだろうな。争いはつくづく人を苦しめる。