葛城事件

2016年 日本 120分
rating 3.5 3.5
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「葛城事件」のあらすじ

どこにでもありそうな郊外の住宅地。ボソボソと「バラが咲いた」を歌いながら、葛城清(三浦友和)は、古びた自宅の外壁に大量に落書きされた「人殺し」「死刑」などの誹謗中傷をペンキで消している。やがて庭へと移動し庭木にホースで水を撒きながら、ふと、この家を建てた時に植えた、みかんの木に生(な)る青い実に手を延ばす―――。 親が始めた金物屋を引き継いだ清は、美しい妻・伸子(南果歩)との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。 長男・保(新井浩文)は、子供のころから従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔(若葉竜也)は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻の伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場…。葛城家は一気に崩壊へと向かっていく。

「葛城事件」のスタッフ・キャスト

「葛城事件」の感想・評価・ネタバレ

  • southpumpkin
    southpumpkin 3.5 9月18日

    大量殺人犯を生んだ家族の事件前後の物語。 父親が住むことを固執する一軒家を建てた当初、つまり兄弟がまだ幼い頃はどこにでもいる家庭でした。しかし徐々に歯車がおかしくなってくる。お互いがお互いに悪い影響を与え、まるで必然かのような崩壊を迎える。過去と現在とを行き来する巧みな構成により、その真実が徐々に明かされていきます。全編通して非常に胸くそが悪い。 非常によいシーンがいくつもあります。母と子二人で「最後の晩餐に何を食べるか」という話をしているシーン。直後に父親が登場し空気はひっくり返ります。家族と狂気が共存する歪な空間は園子温中期の作品にも類似します。 映画のきっかけにもなっているのが、死刑反対論者で獄中の次男と結婚をしようとする女。彼女が大切にしてきた性善説は本当に酷い家族を目の前に、こちらもゆっくりと崩壊していく。とてもよいシーンが最後の父親とのシーン。絶叫の台詞が自らの信条と反するものなのです。 彼女はおそらく今後も死刑反対論を持ち続けるでしょう。しかし「死は逃避。生きて償え」という意見に変わっているはずです。僕も同じです。

  • Yamanaka__Akira
    Yamanaka__Akira 3.5 7月29日

    かなり強烈な映画でした。どこかこれからの日本の地方を映し出しているようでとても恐ろしかったです。衰退していく日本…そんな目線で観てしまいました。まったく救いのない物語。画作りも独特の暗さで少しの希望も見せようとはきてくれない。ちょっとした歯車の掛け違いというよりは、ひょんなことから、時代の潮流からはみ出してしまうとこのようなことが起こりそうで本当に怖い。あートラウマになりそう。

  • Tanaka_Hirofumi
    Tanaka_Hirofumi 5 7月15日

    これは素晴らしかった。 提示された人物描写において三浦友和演じる父が怪物的人間に思えるが、こういう人、実際にはありふれていると思う。 ありふれた人間とありふれない現実は、実は、地続きであるということをものの見事に描いている。 思うに葛城父は、家族を守りたかったわけではなく、自分の思い通りの世界を生きたかったのだ。 人間は誰しも不完全なので、何かにコケて躓いて、少し不運が重なれば、気づくと、とんでもなくとりかえしつかないことになっていたということが起こる。 自分だけは完璧だと思ってはいけない。 謙虚さと教養が、自分と、その大切な人を守る。

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