葛城事件

2016年 日本 120分
rating 3.4 3.4
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「葛城事件」のあらすじ

どこにでもありそうな郊外の住宅地。ボソボソと「バラが咲いた」を歌いながら、葛城清(三浦友和)は、古びた自宅の外壁に大量に落書きされた「人殺し」「死刑」などの誹謗中傷をペンキで消している。やがて庭へと移動し庭木にホースで水を撒きながら、ふと、この家を建てた時に植えた、みかんの木に生(な)る青い実に手を延ばす―――。 親が始めた金物屋を引き継いだ清は、美しい妻・伸子(南果歩)との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。 長男・保(新井浩文)は、子供のころから従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔(若葉竜也)は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻の伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場…。葛城家は一気に崩壊へと向かっていく。

「葛城事件」のスタッフ・キャスト

「葛城事件」の感想・評価・ネタバレ

  • EllyMimy
    EllyMimy 3.5 4月17日

    犯罪の加害者側に焦点を当てたストーリー。 正直、観ているのが物凄く苦しく、目を背けたくなるシーンが多数でした。 役者さんは皆熱演でその物語の悲惨さが更に際立っていて余計に観るのがキツくて… しかしこういう映画はなかなか無いので、久しぶりに心に岩を落とされたような衝撃でした。 もう一度観たいか、ともし聞かれたら、辛すぎて2度と観ないと答えます、とてもよく出来た作品ですが。

  • potunen
    potunen 4.5 2月4日

    メインの登場人物全員がクソなんだけど、全員に自分の醜い部分の何かしらを見つけることができてしまう、2度と見たくない傑作。予告編の「家族という地獄」のコピーが秀逸で、負の「家族あるある」が満載。その「あるある」を放置してると、誰にだって起こり得る、日常と地続きの狂気に心底凹む。役者さんも全員が素晴らしかった。。

  • mazda620
    mazda620 4 2016年8月19日

    精神病で気の狂った妻、リストラされて自殺した長男、無差別殺人で死刑判決を下された次男、そんな次男と獄中結婚を望む見知らぬ女、そしてこの家族の父。 映画の空気感に息が苦しくなる。シアター中を覆うどんよりした重苦しさ、生き地獄。まったく噛み合わない歯車。 普通の家族だったはずなのにな。こんな可愛い男の子が無差別殺人を起こすなんてこの頃誰が想像しただろう。こんなにしっかりした長男が誰にも本当のことを言えないまま自殺するなんて、誰が気づいていただろう。息子が死んでも罪を犯しても、まるで心を傷めていないみたいに笑ってられる頭のおかしい母親に一見みえる彼女が心に抱えたものに、誰も手を差し伸べれないのだから。 起きてしまった過ちをしかたのないこととは思いたくない。それでも起きたことには理由がある。殺す相手は理不尽なことに誰でもよかったただろうし、自殺したのもたぶん直感だし。それでもそこに至るまでの理由がある。生まれた時から殺人を犯す運命だったわけではない。どこかでそういう風にずれたタイミングがあったはず。 葛城家は互いに悪影響を与えていたと思う。誰か1人が100%の原因があったというわけじゃないし、この家族が幸せになる方法がきっとあったはず。噛み合わなかった、互いが互いに気づかなかった。 どんな理由があろうと、世の中は『殺人を犯した人間』『殺人犯の家族』としか見てくれない。原因を理解できても、罪という大きなくくりから他人の目線は変わらない。「俺が泣いて土下座すれば世間はそれで満足か?」この先の何も見えない父の真っ暗な言葉は空っぽなのに直球でささる。苦しい。 確実に、この父親に半分くらい原因があった。それでも何もしていない彼にとって、この先もこの家でこの世界で生きていかなければいけない彼にとって、あまりに残酷。残された人間なことに変わりはないのだから。 私は死刑制度に反対の考えなんですが、この映画を観て再度その考えに確信をもてました。 死ぬ苦しみは一瞬だけど生きてる苦しみは死ぬまで続く。苦しみを味あわなければいけない。死んだところで終わりになるわけじゃないし、なかったことにもならない。 この父親に同情なんてできないけど、それでも父親が最後に次男の婚約者に「死んだら終わりなの?」っていう言葉に思わず頷いた。誰の味方もできないけど、この婚約者の女だけは邪魔だった。馬鹿にしないでほしいって思った。犯罪者に対しても被害者に対しても、そんな軽々しく他人が、変えてあげたいとか理解してあげたいとか言えないよ。だからこそ本当は簡単なきもちで非難もできない。どんなことも私たちの感想は他人の目線にしかならない。客観的意見でしかない。 だから世の中の目線が一番に苦しかった。次男が殺人を犯したときに、立ちすくんでるんだろうけど、逃げようともしないで、その光景を犯罪者を見続ける通行人達の行動が一番理解できなかった。でもこの映画を見る私たちもある意味野次馬でしかないのかもしれない。 葛城家の庭のみかんの木は父みたいだと思った。強く立っているように見えて、身をつけてるようにみえて、支えられずに折れるんだから。どうすればよかったのかわからない。だから苦しみばかりが残った。苦しいと思うことさえも偽善に思えてきて、それがまた苦しかった。

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