帰ってきたヒトラー

帰ってきたヒトラー

Er ist wieder da
2015年製作 ドイツ 116分 2016年6月17日上映
rating 3.8 3.8
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『帰ってきたヒトラー』のあらすじ

ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた〈ホンモノ〉で、70年前と全く変わっていないことを。そして、天才扇動者である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。

『帰ってきたヒトラー』のスタッフ・キャスト

『帰ってきたヒトラー』の感想・評価・ネタバレ

  • まつり
    まつり 2 2018年10月27日

    半ドキュメンタリーのようなシーンが不思議。 もしヒトラーがタイムスリップして現代に現れたら…というストーリー。あまり歴史に詳しくないんだが、ヒトラーはメディアを利用したプロパガンダを用いてナチスを率いていたはず。現代に出現してからのメディアへのアプローチが速い。懐にガッツリ入る。SNSに登場、ネットを使いこなし、TVショーを荒らしてまわる。正体や人の本質を見抜けず、持ち上げたり歓喜したりする大衆にうすら寒さが絶えない。現代社会の無防備さを冷ややかに指摘してる感じがした(というか、ヒトラーが生きていた頃もこうだったかもしれないから、もう人間の本質への指摘かもしれないけど)。ヒトラーのカリスマ性を見抜ける人がすごくて、見抜けない人がマヌケに見える構図にぞわぞわする。 ストーリーやメッセージだけでも映画として成立しそうだけど、一番独特だったのが街の半ドキュメンタリーシーン。現代に出現したヒトラーが街頭で通行人とやりとりするシーンや飲み屋に入って客と話したりするシーンがある。このなかにモザイクがかかってる人がいる…つまりガチの一般人が登場人物に紛れている!用意されたセリフを喋ってる市民A役の人もいるんだけろうけど、話しかけてきたり眺めたりしてる人の意見・表情はリアルに街の声。ナマケモノなわけで…。 どこまで作り込まれたかわからないけれど、やっぱりゾッとした。「なになに?これバラエティー?おもしろいじゃーん」みないなのとか「あの頃のほうががよかったのでは」みたいな。私のイメージだと「ふざけているのか!テレビか知らないが、恥をしれ!」的な意見で撮影中止になるレベルだと思ってた。たしかに街の人がそう伝えてくるシーンもあったし、今がちょうど潮目なのかもしれないと思った。 なにより一番すごいのは、役者さんの度胸だと思う。ヒトラー役で街にでて、街の人と話す。それがいいことかどうかは、この映画がどういうメッセージを観客に与えたかによるかもしれない。ただ役者さんに計り知れないほどのプレッシャーと準備があったのは間違いないと思う。プロなんだなと思った。役者さん自身がどんな人なのか、この作品を見ただけだとわからないので、どんな人なんだろうと興味がわいた

  • southpumpkin
    southpumpkin 3 2018年7月7日

    現代のドイツにヒトラーが復活。偶然近くで撮影をしていた低迷中のテレビマンに見つかり出演が決定する。 ドイツの歴史、時事問題に鋭く切り込む本作。移民問題でとにかくやばい、というくらいしか知らない無教養な僕には少し難しいのか、と身構えていましたが全く気にならない。むしろ強烈な映画的面白さに社会風刺がスパイスのように効いています。本作が素晴らしいのはそのアイディア。ヒトラーが現代に復活するというホラー映画では手垢まみれの設定を踏襲し、それらを一部ドキュメンタリー形式で映します。ここは本当にドキュメンタリーなのか、モキュメンタリーなのか微妙。当然仕込みはいるのでしょうが、素のリアクションをとっている人もいる気がします。周囲の人々の反応を見ると「ヒトラーそっくりの芸人」という風に見えるわけですが、映画を観ている観客は「実はそれは本物のヒトラー」であることを知っている。しかしこれは当然フィクション。ヒトラーが現在に蘇るわけはないので、それは本物のヒトラーではないのです。本物か否か、微妙なラインを交錯している。ラストのオチは鮮やかに決まり思わず手を叩きましたが、この展開が真偽のラインをよりあやふやにしています。面白い。 この設定でコメディに仕立てあげるため、映画はヒトラーの反ナチス主義的な側面をひた隠しにします。もしかして禁忌として触れないのか…?とすら思ったのですが、映画の重要なトリガになっていました。 コメディとしても完成度が高い。『ヒトラー ~最期の12日間~』の巧妙なオマージュが仕掛けられています。あのシーンは面白すぎた。

  • Tanaka_Hirofumi
    Tanaka_Hirofumi 4 2018年1月20日

    私のごとき、保守的な凡人は、まずもって、これやっていいんだということにびっくりする。作品としては大変に成功していると思う。いつまたヒトラーみたいな人が現れてもおかしくないし、下手したらみな大歓迎で迎え入れ、気づけば同じ歴史を繰り返すということだって起こり得るということがリアルに描かれている。人間のあほさ加減にゾッとする優れたコメディー。

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