この世界の片隅に

この世界の片隅に

2016年製作 日本 126分 2016年11月12日上映
rating 4.3 4.3
192 33

『この世界の片隅に』のスタッフ・キャスト

『この世界の片隅に』の感想・評価・ネタバレ

  • Dora

    .ものすごく良い映画だった. あったかいタッチで,パッとしない,ゆるい日常を丁寧に描いていく. 一番印象的だったのは,「永遠の0」と対象的に,死ぬことへの恐怖というものが,寿命が来るのと同じくらいなものに描かれていたこと. どうやら,原作の漫画作者は実際に戦争を体験した人らしい. 今何歳やねん. いや50歳て. 全然経験してないやんけ. でも広島の人らしいから,よく歴史を知ってるんだな. いつだって,その生活の中での最適解を人間は見つけながら生きていく. 平凡な生活の中では,ちょっとした夢は「現実の流れ」に容易く流されて消えてしまう. ぼーっとして生きて,自分の希望や夢がないことは,きっと悪いことというより,現実へのフラストレーションが足りていない状態というほうが正しいかもしれない. 消化能力の高い人,受け入れて生きていく能力が高い人,諦める力が高い人,色々な言い方があるだろう. すずはそういう人だった. きっと,戦争というのは,そういう諦める力を育てる時代だったのかもしれない. 自分の力が及ばないことばかりだったんだろう. お見合い結婚,郷に入っては郷に従え,配給の乏しさ. 現代には現代なりに縛りがあり,人間はその縛りの中で常に適応しながら生きていく. それと同時に,現状へのフラストレーションも溜めていく. すずは,ぼーっと生きながら受け入れて生きていくことに尽力していた. そんな彼女を変えたのは旦那だった. 嫉妬から,すずの旧友である男と一晩過ごさせたことにすずは腹を立てた. 「夫婦ってそんなもんですか?」というすずはさぞかし勇気がいっただろう. この夫婦喧嘩を気に,すずは自我を持ち始める. 晴美の死を悔み,「みんな『〜でよかった』なんて言うけれど,何も良くない」と怒る. 戦争に負けたときも,人一倍怒っていた. きっと,適応した環境そのものが自分にとって大切なものになっていっていたんだ. 自分が環境に振り回されていることに気づいたのか,振り回され疲れたのか……. すずはそんな自我で広島に戻ることを決意した場面もあった. しかしそれは径子がすずを叱責したことを謝ることで解消された. すずは怒りを原動力に自我を持って,自分の意思で行動しようとしたが,それは脆かった. 俺みたいに弱い人間の怒りは弱い. 怒り慣れていないし,許したらすぐそのエネルギーはなくなってしまうから. 最後に,すずは自分の意思で環境を受け入れる. これは今までと違う,諦めではない,選択による消化だ. 僕らは怒りを原動力になんてできなくて,きっと現状を受け入れながら,その中での最適解を見つけて生きていく. それでも叶わない物事に関しては,少しずつ変えていく. 俺は怒っても相手の思考経路がわかると譲歩してしまうところがあるので,コミュニケーションを大切にしないといけない. 相手の思考経路を分かった上でも不満なら,適切なエネルギーで動けるはずだから. それは,怒りが原動力でも結構. いや,受け入れて生きていく強さと,その背景にある日本文化を見事に描いた素晴らしい映画だった. #ネタバレ

  • Yuzukappa
    Yuzukappa 5 2019年3月25日

    見るのおそくなったが素晴らしかった!!これほど真っ当な映画に文句の1つでもつけてみろと言いたい。 戦争状態が当たり前の人々の生活、その当たり前になった生活、を描ききり、押し付けのない明確なメッセージがこめられていた。 登場人物の魅力もすばらしい、のんさん、本当によかった。普段のほほんとしているすずさんが感情的になられると涙せずにいられない。 アニメでしかできない表現も光っていた。 戦争下のみならず、当時の結婚、食生活、人間関係、暮らしぶりがリアルに伝わってきたのもよかった。 日本で生まれ育った、という意味をもう一度考えるきっかけになった。 私たちの世代がこのことを伝えていけるか、、 全てがなくなったあと、最後に残った愛の精神にこころうたれた。

  • やじろべえ
    やじろべえ 4 2018年5月3日

    静かに静かに、淡々と淡々と… こんな戦争の描き方があるんだ…

『この世界の片隅に』に関連する作品