ファントム・スレッド
ファントム・スレッド
Phantom Thread
2017年製作 アメリカ 130分 2018年5月26日上映
rating 3.5 3.5
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『ファントム・スレッド』のKozai Szatosiの感想・評価・ネタバレ

Kozai Szatosi
Kozai Szatosi 4 2018年6月22日

PTA映画にしてはやや地味な印象。撮影がいつものロバート・エルスウィットやミハイ・マライメア・Jrではないからか、映像に棘がないのは少し残念(今回の映画にはDirector of photographyのクレジットがないため、PTA自身が撮影をしたと言われているが、実際はLighting Cameramanとしてクレジットされているマイケル・バウマンが撮影監督だと考えられる。Lighting Cameramanは英国において撮影監督を表す古典的なクレジット)。 しかし、PTAが「ザ・マスター」でも扱った二人の人間の愛憎半ばした依存関係が男女関係として昇華されている点を無視できるわけもない。 予告ではいわゆる「官能絵巻」が展開されるかと思われたが、実際のところ、性愛の要素はほとんど皆無だ。男が女を文字通り私物化し、支配する関係が、やがて女による静かな独占欲によって変化してゆく様は、神経質なその映像的・音響的感性もあって、掴みどころのないロマンスとして開花している。ラストの総てをさとったかのような親密なやり取りと夢想には戦慄を禁じ得ない。 ヒロインのヴィッキー・クリープスの決して美人ではないながらも脆い狂気を秘めた面立ち、姉役・レスリー・マンヴィルの母親的な厭さ、デイ=ルイスの神経質な魅力など、画面には何かと神経に来る容貌ばかりが揃う。