魂のゆくえ

魂のゆくえ

First Reformed
2018年製作 アメリカ・イギリス・オーストラリア 113分 2019年4月12日上映
rating 3 3
4 0

『魂のゆくえ』のスタッフ・キャスト

『魂のゆくえ』の感想・評価・ネタバレ

  • southpumpkin
    southpumpkin 4 4月13日

    観光客がよく訪れる教会の神父はある男の相談に乗る。その男は環境汚染による地球の破滅を察知し、生まれてくる子供の命を奪おうとしていた。 監督のポール・シュレイダーは『タクシー・ドライバー』の脚本家として有名であるが、実は監督作品も数多い。本作は監督脚本を務め、自らの集大成と位置付けられた映画であり、見まごうことなき傑作だ。牧師版『タクシー・ドライバー』と言えよう。いつの間にか自らの立場が、自らの信仰と相反することに気づいてしまうのだ。牧師の牧師となる相談相手はおらず(いるにしても完全に染まっている)、牧師は残されたわずかな命でせめてもの軌道修正を行おうとする。その結果『タクシー・ドライバー』のようになってしまう、かと思いきやそうならない。この映画には大いなる救済が待ち構えている。環境汚染が蝕むこの地球に住う我々が、何に生きるべきかが具体的に明示されているのだ。問題は逃げていかない。しかし死ぬ必要は全くもってないのである。

  • s_p_n_minaco
    s_p_n_minaco 0 2019年6月4日

    ガチの暗黒面&帳面派映画であり、『タクシードライバー』meets『エバースマイル、ニュージャージー』みたいな、70年代のトビー・フーパー&デ・パルマ&テレンス・マリック&フリードキンらのような、或いは70年代から続くポール・シュレイダー自身の作風を煮詰めたかのような印象が強い。オープニングの白い教会ショットに『悪魔のいけにえ』の白い家を彷彿。当時の憂鬱や絶望が呼び起こされてしまう現在って、70年代に似てる気がする。 信徒を救えず、自らも先がないと信じ、暗黒面に引き寄せられるトラー牧師。大きく豊かな教会の欺瞞は由緒ある小さな教会とも無縁ではなく、信仰だけでは救われないし、もちろん大義のため殉教しても救われない。まあ絶望するのはわかるけど、真摯なプロテスタントであるトラーはファナティックに自己破壊衝動へと自分を追い詰めていく。セラピーでもあっただろう日記は、いつしか遺書に変わる。罪を罰するのではなく、希望も絶望も引き受けなきゃないはずなのに。 カメラはグロテスクなほど絶望を直視させ、ある意味神目線で冷酷に傍観する。トラーの教会は当然質素だが、夫婦の家も生活感がさほどなく、パンケーキ屋ですらあまりに無機質で殺風景なのが異様だった。 妊婦メアリは奇跡を起こすために現れる、いささか不思議な存在だ。夫の現状に心痛めながらも自己主張は控えめで、夫を失っても受け入れ、結果的に子を救われた彼女が災いを退ける。最初からそういう存在だと思えばシュールな展開もわかるし、あくまでトラーから見た彼女なのかもしれない。黒衣の死装束から(荊で血の滲む)白い祭服へと着替えた彼は、その罪を許されるのだろうか。 近頃のイーサン・ホークはダニエル・デイ=ルイスの後継者という感じがするんだが、これはちょうどデイ=ルイスとリチャード・ギアの中間みたいな、ガチだけでなく程よい塩気があって素晴らしい味わい。あと、ファナティックな人愛用の帳面といえばやっぱりミードのブラックマーブルらしい(『セヴン』のジョン・ドゥもそうだ)。

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