ちいさな独裁者

ちいさな独裁者

Der Hauptmann
2017年製作 ドイツ・フランス・ポーランド 119分 2019年2月8日上映
rating 3.6 3.6
6 3

『ちいさな独裁者』のスタッフ・キャスト

『ちいさな独裁者』の感想・評価・ネタバレ

  • s_p_n_minaco
    s_p_n_minaco 0 5月27日

    あまりに殺伐としすぎてどんより(おかげで何か可愛くて心癒されるものをモーレツに観たくなった)。日本公開カラー版の方がむしろ刺激が強いのでは?そしてラストショットに加えてエンドロールのいたたまれなさ。一般の人はもちろん、演じる俳優が気の毒になったほど。そこまでするか。 虎の威を借る狐といえども、まったく洒落にならないどころか取り返しがつかない恐ろしい実話。敗戦間近の混乱状態、生きるための手段、権力の狂気とかでも済まされない話である。何せ身近にも現在進行形でよく有り得る話。だからこそゾッとする。 軍服はきっかけに過ぎず、それ以前にもう悪ーナチスであり戦争であり人間の業でありーは存在してて、すぐ勘付いて小悪を利用しようとする悪党、悪党をコントロールしようとする悪党、否応無しに悪に飲み込まれる者、悪を放置する者、更に愚か者たちが集まれば雪だるま式に限りなく醜悪な事態を招くのだった。映画は残虐シーンを過度に露出しないものの、状況は醜悪としか言いようがなく胸糞悪い。 けれども同時に、一種のピカレスクロマンやアウトロー映画の体裁も匂わせる。爆撃後の開き直り(みんな知ってた…)から即決裁判部隊の進撃カットは『時計仕掛けのオレンジ』のグロテスクな美学を彷彿するし、タイトルバックのタイミングとフォントも計算尽くなインパクト。そして、演出はすごくわかりやすい。それぞれの背景(誰もが何かしら嘘を演じてる)、権力勾配、目配せ、順序などシンプルに理解できて、音や音楽の印象も強い。このわかりやすさと頽廃描写は『シークレット・オブ・モンスター』に通じるような。 小柄な身体つきと、少年ぽさを残しつつ冷酷な顔つき、主演マックス・フーバッヒャーの演技は強烈だ。他も腹に一物ある演技巧者揃い。でもって、監督脚本のロベルト・シュヴェンケって『きみがぼくを見つけた日』の人だとは!あれも「服を見つける」話だった。

  • southpumpkin
    southpumpkin 3 4月22日

    ナチス脱走兵の青年が少し大きめの軍服を手に入れ、大尉を名乗る。 軍服を着た途端、冷酷な大尉となり周りに気づかれないばかりか非情かつ傲慢な行動を取る。彼を怪しむ人間もおり、バレるかバレないかのスリルは延々と持続します。気づいたのか気づいていないのか、微妙のラインを的確に狙う演出の妙。なんだよ!その目配せには何の意味もないのかよ!難しくない話だが、テーマは非常に深い。人間そのものが冷酷なのではなく、軍服に象徴されるナチスそのものが冷酷なのです。立場変われば人は変わってしまう。自分があの立場になったとき、冷酷な判断を下すか否か、あの時代にドイツに生まれた自分はナチスへ加担したのだろうか。ベルリンの壁崩壊以降、ドイツによるナチス映画はますます鋭さを増しています。

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