アマンダと僕

アマンダと僕

Amanda
2018年製作 フランス 107分 2019年6月22日上映
rating 4 4
2 2

『アマンダと僕』のスタッフ・キャスト

『アマンダと僕』の感想・評価・ネタバレ

  • s_p_n_minaco
    s_p_n_minaco 0 2019年8月25日

    美しい風景のことではなくて、所謂「景色が良い」映画だと感じた。自転車で走るパリ、窓辺から見下ろす街角、郊外の丘、公園の芝生や木々、パークゴルフ場。開放感と瑞々しい緑に溢れてるが、そこに血が通った人々が居てこそ、眺める人が居てこその切り取り方。度々映り込む街角の銅像が体温のない、既にいない過去の人物として印象に残る。そして公園で突然起きた惨劇。姉と母親を亡くしたダヴィッドとアマンダ、負傷したレナは、自然とより緑ある方へと向かう。3人で行くはずだったウィンブルドンは緑色の聖地。 どうもフランス映画だと遠慮なく言い合うみたいなイメージがあるけど、この映画はひとつひとつ、一人一人のダイアローグがものすごく自然で丁寧だった。ダヴィッドは家族や様々な友人と頻繁に会って話をするし、誰にでもオープンで会話が一方的にならない。頼りなげではあるけど、むしろ圧がなくとても親しみやすい奴。それによく泣く男は信用できる(?)。 決してあざとい涙じゃない。ダヴィッドとアマンダが泣くタイミングの違い、ふとした瞬間に堰を切って溢れる感情と困惑。若いダヴィッドは自分にアマンダを育てられるのか、7歳のアマンダはどこが自分の家で誰の元に帰ればいいのか、大事な人の不在とお互いの所在無さへの恐れがよくわかる。 レナの窓は夜も開いていて、アマンダの寝室とリビングを隔てるのはガラス扉。ダヴィッドが見る景色は閉ざされていない。公園で木の枝を払うように一つずつ一歩ずつ風を通し、2人の窓から心の景色が見えてくる。それは現実にテロを経験したパリ市民の心情を反映してもいるんだろう。”Elvis has left the building!"って表現(初めて知った)の使い方が非常に効果的に物語っていた。ママと踊るDon't Be Cruelダンスだけでもグッとくるし、ジャーヴィス・コッカーのエンディング曲がまた良い。状況が変わってしまってもお終いじゃない、だから恐れないで冷たくしないで。 そしてアマンダ演じるイゾール・ミュルトリエちゃん、私の中で歴代子役ベスト3に入りそう(『パリ、テキサス』のハンター・カーソンを思い出す)。外見も何もかもごく普通で、特にママの声に「ん」「ん」と答えるのがすごく好き。子役の自然さはそのまま監督の演出の巧さなんだろうけど、ウィンブルドン観客席での音楽と相まった理屈でない説得力が凄まじかった。

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