ある女優の不在

ある女優の不在

3 Faces
2018年製作 イラン 100分 2019年12月13日上映
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『ある女優の不在』とは

過去・現在・未来を象徴的に体現する3世代の女優の心情を描いたヒューマンミステリー。イランの国民的大女優が、女優を目指す少女から送られてきた自殺動画の謎を追求する。 監督は10年余りで世界三大映画祭で快挙を成し遂げたイランの名匠ジャファル・パナヒ。2010年に政府と対立し20年間の映画製作禁止令が出されているが、権力に屈せず映画製作を続けている。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門脚本賞受賞作品。

『ある女優の不在』のあらすじ

ベーナーズ・ジャファリはイランの国民的大女優。ある日、彼女のもとに女優を目指す見知らぬ少女から動画メッセージが届いた。家族に裏切られ夢を砕かれた彼女が首にロープをかけるところが映っていた。スマホが地面に落下したところで映像が終わっていたが、ジャファリはショックを隠しきれない。 少女が本当に自殺したのか真相を確かめるため、ジャファリは友人で映画監督のジャファル・パナヒイランと少女が住むイラン北西部の村に向かう。その村で異端児扱いされていたその少女について調査を進めていくと、イラン革命後に女優の道を断たれた大スター・シャールザードの痛ましい真実に直面する。

『ある女優の不在』のスタッフ・キャスト

『ある女優の不在』の感想・評価・ネタバレ

  • southpumpkin
    southpumpkin 4 3月25日

    女優の元に届いた一本の動画。それは女優になる夢を断たれた少女が自殺する動画だった。知り合いの監督と女優は少女の生死を確かめるべく、村へと向かった。 天才ジャファール・パナヒ最新作。イランから映画製作を禁じられる中で製作された本作には前作『人生タクシー』同様パナヒ本人も登場する。この映画でパナヒのように抑圧されるのは一人の少女だ。世界にはこのような村や国が数多くあり、その中で無数の人々が抑圧されている。パナヒによる優しい眼差しこそがこの映画に説得力を与えていると言える。 非常にミニマムな映画である。技術へのこだわりはとことん薄く、力が抜けた映画である。しかし映画としての完成度は非常に高い。女優と監督が村を訪ねるまでの緊張感をこのゆったりとした展開の中で持続させるのは至難の技だと思う。メタファーや反復も効果的に用いられていると言えよう。さらに『人生タクシー』で炸裂した映画と現実との曖昧な境界線は本作でも健在。このテクニックがそのまま映画のメッセージへと接続されるのだから、もう文句のつけようがないのである。

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