父、帰る

父、帰る

Возвращение (en.The Return)
2003年製作 ロシア 105分 2004年9月11日上映
rating 3.6 3.6
29 5

『父、帰る』のスタッフ・キャスト

『父、帰る』の感想・評価・ネタバレ

  • ベルコモ
    ベルコモ 3 2017年3月6日

    いいドラマだった。帰ってきた父は男らしいジョージ・マイケルみたいなやつだった。

  • HM world-traveller
    HM world-traveller 4 2016年3月16日

    父は12年もの間どこで何をしていたのか、なぜ突然帰ってきたのか、母と息子達の12年はどんなだったのか、父の「用事」とは何か。 物語は背景となる情報がほとんど明かされないまま進み、不明なまま終わる。 ロシアの天才、ズビャギンツェフ監督の処女作にして2003年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。ロシアの田舎の静謐で美しい風景と不穏でぎこちない緊張感に終始覆われた映画。多くをセリフで語らず、語らないことが物語の推進力となり、心を掴む原動力になっている。苦く切なく、重く、静かに強く、最後は打ちのめされたような気持ちになった。 12年ぶりに帰ってきた父は写真でしか見たことのない存在。心の底に喜びを感じながらも戸惑いを隠し切れない兄弟。父の威圧的な態度に疑心暗鬼と反発を露わにする弟。年長な分、弟に比べれば状況を咀嚼し父を受け入れようとする兄。過去が開示されないため、おのずとこちらも兄弟と同じ目線で父親を見、兄弟の気持ちが手に取るようにわかる。 弟は突然出現した「父」という権威に馴染めないのだろう。母性の強さとはまた違う種類の強さへの憧れと抵抗。愛憎というのは表裏一体で求める気持ちがあるからこそ、反発も強くなる。父に対して従順な兄さえも 父との間に微妙な距離があるのを感じさせる。 本作の父は典型的ロシア的父親像なんだろうか。威厳があり絶対的君主のように君臨する父権社会の象徴のような存在。だが、決して威張り散らすだけの大人ではなく、この父は学校の教室では教えてくれないような生き抜くための知恵や 自分の力で解決する力を息子達に授けようとするのである。町の不良に脅された時の対峙、ぬかるみにハマった車を動かす方法、ボートのモーターが故障した時に自力で漕がせる etc。困難な状況やここぞという時に父が見せる生きる術。親ど子の空白の12年間。そばにいれば とうの昔に教えてやれたはずのことを1つ1つ、不器用ながらも時間を取り戻す努力をしているように見える。 だからこそ胸が詰まるラストシーン。湖に向けた兄弟の、特に弟の絶叫と車中の写真が強い残像となって長い時間尾を引いた。 ところで本作の主人公( 弟イワン )は12才。2003年作品が当時のリアルタイムを表しているのなら1991年生まれの計算だ。父が出て行ったのも12年前でイワン誕生まもない時期と考えられる。1991年はソ連崩壊の年。父、帰るは、父と息子の物語であると同時に、ソ連を知らない世代(イワン)が急に現れた存在, つまりソ連崩壊後のロシア( 父 )に戸惑い、愛国心と反発を合わせ持ちながら前に進む物語なのだろう。今までほとんど観たことがなかったロシア映画。この監督作品をもっと観たいと思った。

  • mazda

    母に育てられた兄弟のもとにある日突然、物心つく前に家を出た父が帰ってくる。物語は父と兄弟が3人で旅行にいくだけの話。 父は今まで何をしていたか、どこにいっていたか、何で帰ってきたのか、最後まで観てもその謎は明かされないけどそこはほとんど重要じゃない。 子供にとって、とくに男の子 にとって、どれだけ父親という存在が必要なのか、父が教えようとしていたことは何だったのか。 子供の感情がありのままに自然ですごくすごくきれいで本当に素晴らしかった。母に甘やかされてきっと怒られることなく育ったであろうわがままな弟、それとは対照的に、弟が甘えん坊だからこそ大人に甘えたりしないできたからこそ、謎の父にもすぐパパ!パパ!って懐ける兄。 父のやり方は少しも優しくない、厳しくて冷たくて、愛想がなくて、でも父らしくないとは思わない。今まで子供と時間を過ごしてこなかった不器用だけど父のやり方。父のやること全てが、彼等に教えてあげたい事で、きっと息子達が大好きなんだと思った、この子達がちゃんと大人になって苦労しないで生きれるようにって、強い男になれるようにって、きっと教えたかったんだと思う。 最後の彼等は前の彼等じゃなくなったはず。父が教えてくれたことを身にしみるほど感じて、この先の彼等は確実に成長していくはず。きっと彼等もこんな不器用な父に似て、本当はパパって抱きつくくらい愛せるようになりたかったんじゃないかな、何もわからないけどこの人が自分のパパだから。むかついてもきつくても、一緒に居たかったんじゃないかな。これが『大人の身勝手さに失望・・・5選』にはいってるの、絶対違うと思うな。 大嫌いだ!大嫌いだ!って弟が取り乱すあたりから、ラストのフィルムで撮った今までの写真が流れるところまで、ずっと涙が止まらなかった。どうしてこんなに感情にあふれてるんだろう、大人も子供も、みんなの考えてるきもちが美しくて、それに伴うように、自然も空気も映像の全てが美しくて、ああすごく好きだ、また大好きな映画に1つ出会えた。 海外に行ってる私の父に無性に今すぐ会いたくなった。きっと誰でも、自分の親に会いたくなるはず。

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